見出し画像

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン展


毎日暑くて地元で最低限の外出しかしていなかった。2024年8月1日、なんだか朝から少しだけ涼しい。風が吹いていてカラッとしていて「東京へ行けそう!!」。東京駅の中にある「東京ステーションギャラリー」で「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン展」をみてきた。

彼はベルギー出身で、親に建築を学ぶようにレールを敷かれたが、アーティストへの夢をあきらめきれず21歳からひたすらドローイングを描き続け、5年後アメリカの有名雑誌に採用されたことで夢が叶う。日本の美学を愛し、フォロン自身が生前日本で展覧会を企画・実施した。そのため今回の展覧会では遺族、フォロン財団など多くの人たちが大規模展覧会に協力して下さり、見ごたえのある企画展となっている。

フォロンの宇宙への「空想旅行」。フォロン自身が名刺に「空想旅行エージェンシー」というメッセージを印刷しており、彼の柔らかい色彩や形の作品群と共に、様々な社会問題をどう考えるか、フォロンの価値観に触れながら自分の価値観を見つめる空想旅行を味わう展覧会。

「旅のはじまり」という最初の章では「Less is more(少ない方がより豊かである)」という格言に出会ったフォロンが続けたドローイングやオブジェ、彫刻、絵画などが展示されている。この旅のウォーミングアップとも言える章で、私が一番気に入ったのが意外にも彫刻。小さい子供の背丈ほどの下の彫刻のそばにいるだけで温かい気持ちに包まれるのはなぜ??

この看板の絵も「旅のはじまり」の章で展示。

第一章「あっち・こっち・どっち?」

社会のルールや暗黙の了解といった矢印が世の中に氾濫し、自分で考え前へ進むことが非常に大切というフォロンのメッセージ。父親に勧められた建築という学問が単調で不快だったフォロン。その反発から、自分の意思で決める大切さを感じたという。

第二章「なにが聴こえる?」

フォロンは社会や環境問題をテーマにした作品も多く制作している。これらの問題に対して叫びたくなる日もあるし、この美しい地球を愛したくなる日もある。

第三章「なにを話そう?」

フォロンはアメリカの有名雑誌の表紙を中心として600点以上におよぶメディアの仕事をしている


そのイメージに合った素材や手法を取り入れ、鳥、矢印、大きな目、リトル・ハット・マンなど彼独自のシンボルをポスターの中にデザインすることで、フォロンの作品であることが直ぐに認識できる。

エピローグ「つぎはどこへ行こう?」

人生というそれぞれの旅路へ向かって。鳥に憧れたフォロン。自由に風に乗って、時には突風に巻き込まれ、時には風が押し出してくれて。。

学芸員により、深く丁寧に企画された展覧会。図録もわかりやすく編集されており、この夏、暑さに疲れたら是非行って欲しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?