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ニコンF4S 長年一線で使い続けたカメラを顧みる
仕事で撮影するようになってニコンのカメラを長く使っている。撮影中に故障が起きると困るのでフィルムカメラの時は耐久性の高いフラッグシップ機と呼ばれるカメラを使うことが多かったがその中でも長く使ったのがニコンF4Sだ。
長年写真を撮ってきたということでフィルムカメラは何台も持っているが最近はフィルムの値段高騰とフィルムで撮りたいものが減ったことからニコンF6とコンタックスRTSⅢを主に使っている。
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RTSⅢを未だに使うのはツァイスレンズの描写が
気に入っているからだ。
F6を使う理由は撮影の大半ではデジタルカメラも一緒に使う。最近のニコンのレンズは絞りリングのないレンズばかりで対応できるのは自分が持っているカメラではF6のみ。F4Sでも使えるが露出はプログラムのみと撮影がスムーズにいかない。
F4Sを買ったのはフリーのカメラマンになって半年ぐらいの時でそれまで使っていたのはニコンのF2とFM2N。仕事の撮影ではポジのフィルムが主で日中シンクロが1/250で出来、視野率100パーセントのカメラをということで購入した。
ファインダーは眼鏡をかけていても視野が欠けないハイアポイントになっていて今のデジカメと違って周囲が見え難いということもない。露出の表示も+-2段と今と変わらず露出がシビアなポジでも露出の判断がしやすい。
測光方式も中央部重点、マルチパターン、スポット。多くのカメラが中央部重点しかなかった時に3種類を選べる。特にスポット測光は風景やライブなど明暗差がある時には重宝した。
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視度調整がボディに内蔵されたのはニコンでは初めて
の機種。
露出補正値、撮影したフィルムの枚数もファインダー内に表示されるなど今では当たり前の機能が搭載されていてファインダーを覗いた状態で把握でき撮影を楽にした。
数年後に2台目を購入したが当時はF5が発売されていた。どちらも絞り値をファインダー内の直読窓で見ることができるがF5には暗い時に絞り値を明るくするイルミネーターがない。当時はブライダルの撮影で使うことが多く暗い時に絞り表示が見えないと困るのでこの機能があるF4Sを選んだ。
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イルミネーターが点灯する。
AFも使えたが中央1点の狭いエリアのみで使うことがなかったが一時ブライダルの撮影で使うことに。1台をメイン、もう1台をサブとして同じものを2回撮らなければいけない撮影で時間に制約もあることからサブの方はAFで撮ったがゆっくりとしたスピードだがまずまずのピントの精度だった。
デジタルカメラは数年で性能が良くなってしまうのでオーバーホールをするということはなく新しい機種を導入するというパターンになっているがF4Sは何度か行ない使い続けた。オーバーホールの目安となったのは絞り連動レバーが少しづつ下まで下がらなく状況になること。途中までだと絞りがきちんと絞られず露出がオーバーになってしまう。
ネガなら多少の露出の誤差でもあとで調整できるがポジは命取りだ。この症状が起きるのはF4のみのようでニコンに原因を聞いても無回答と欠陥かもしれない。調べるにはシャッター速度を1秒にしてシャッターを切れば一目瞭然だ。
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ニコンではもう修理しないのでこの症状が起きた
2台目はお役御免で部品取りに。
2007年にはF6を購入し徐々に使用回数が減っていた。
やがて仕事ではデジタルのみになりプライベートの撮影でのみ使うことになったが他にもF2やFM2もありボディの大きさもあって出番は減るのみだった。
今はポジ、ネガカラーは使わなくなりカラーはデジタルのみ。唯一のモノクロも前述の理由から出番なしと寂しい限りだが先日この記事を書くために少し使ってみたがまだまだ使えるだけにマニュアルレンズを付けて撮ってみようかと思っている。
連動レバーの件を除けば2台とも故障せずと仕事で使うカメラとしては合格点だ。今フラッグシップ機と呼ばれるカメラはF4Sよりはるかに高性能だが価格も3倍以上とコスト面と性能や耐久性を考えると適しているか疑問に思うし自分が求めているカメラとは違うので使うこともないだろう。
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切換えられるようになっている。右手だけで電源を
入れられるのは自分にとってカメラを選ぶうえで
大事な点のひとつ。
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連動ピン(右側)がずれたりするとファインダー
表示がおかしくなることも。
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ことになったのもF4が最初か。
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あとどのくらい使えるか分からないだけに長年使った姿で終わらせるのが良いかもしれない。