知らなければ分からないこと-ルイ14世~ルイ16世の王位継承-

 漫画「ベルサイユのばら」の新作劇場アニメが公開されているのに併せて、YouTubeで旧作のTVアニメが公開されているようです。我が家では妻が上の子を誘って一緒に観ているのですが、ある時「この人はルイ14世?」という声が聞こえてきて、ついつい「マリー・アントワネットお輿入れの時点でルイ14世が生きてるわけないでしょ!」と口を挟んでしまいました。
 で話を聞いてみると国王(ルイ15世)が「おじい様」と呼ばれていたため、混乱したもようで、なるほど知らなければ分からないかもしれないと納得した次第。王位が順調に長子相続されていくとは限らないんですけど、なんとなく先代の王は次代の王の父親のような気がしてしまうのは無理からぬことですね。
 ルイ16世は先代ルイ15世の孫です。間になるルイ16世の父は王太子でしたが、ルイ15世より先に亡くなって、即位することはありませんでした。
 実はルイ15世即位の時は更に凄くて、先代ルイ14世が当時としてはかなりの長寿だったため、長男の王太子が先に亡くなっただけでなく、続いて王太子になった孫まで先に亡くなってしまい、ルイ15世はルイ14世のひ孫なんです。

 さて世界の歴史の中でも特筆すべき長寿の王、と言えば古代エジプトのラムセス2世が有名ですが、90歳を超えていたかもしれないと推定されているラムセス2世なら後継者は玄孫くらいかもしれないと思うとさにあらず、次代のメルエンプタハはラムセス2世の実子です。ただしこの方はなんと第13王子という生まれ。先に後継者に指名された兄3人を先に亡くし、4番目に指名された後継者という意味ではルイ15世を凌いでいると言ってもよいかもしれません。

 他に長寿な君主と言えば、我が国の昭和天皇がご崩御された際は87歳と歴史的に見れば大変な高齢だったと言えます。現在の感覚ですと80代後半は長寿ではあっても特別な長寿という感覚は薄いと思いますが、昭和の終わりには「もの凄く長生き」という感じでした。まあ、僕自身が子どもだったせいもあるかもしれませんが。
 改元で平成に改まった時には「昭和があまりに長かったから、平成は大正の様に短いだろう」などと、世が世なら不敬罪に問われかねないことを口にしていたのですが、次の天皇は退位して上皇陛下となられた後もご健在で、あれほど長生きだと思った昭和天皇の年齢も既に超えられています。
 英国に目を転じれば、女王エリザベス2世が96歳という大変な長寿を全うし、最晩年まで公務をこなしておられました。昭和天皇もエリザベス2世もともにルイ14世以上、ラムセス2世に匹敵する長寿を誇りながら、順当に長男が跡を継いでいます。
 古代・近代と比べると子だくさんというわけでもない現代の皇室・王室で順調な継承が行われていることは、医学、栄養状態、公衆衛生といった分野の進歩が健康年齢の延長をもたらしていることの象徴とも言えるかもしれません。これはただ社会の上層だけに恩恵があるわけではないことは、昭和天皇がなくなった頃と、現在でも80代後半という年齢に覚えるイメージが大きく違っていることが物語っているでしょう。

 欲張って話を広げすぎか、ブルボン朝の話に限って「順調に長男から長男へ王位が継承されるとは限らないんですよ」って話を纏めにしたほうが良かったか、と迷いが出てしまった文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。本業のサイトもご覧いただければ幸いです。


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びぶ
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