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1.2 「何をハックしたか?」でみるD2C事例 | D2Cスタートアップの教科書

※「D2Cスタートアップの教科書の目次」に一連の記事をまとめています

前回の記事でD2Cとは、物を作って売る行為にトレンドを持ち込みハックしたビジネスである、と書きしました。

物を作って売るビジネスは、「製造」「集客」「流通」「決済」「サポート」の5ステップに分かれます。
「インターネット」「SNS」などのトレンドを駆使し、それぞれのフローをハックしたD2Cがここ数年で大きく成長してきています。

この記事では、ハックにより物を売るビジネスの成功例をいくつか紹介します。

集客をハックした事例

Doller Shave Club

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「D2Cといえばこれ」というまさにD2Cの代表格がDollar Shave Clubです。

Dollar Shave Clubは、Dollar=1ドルで、Shave=髭が剃れる、Club=会員制サービス こと、Dollar Shave Club=髭剃り定期購入サービスです。
2012年に創業後、初年度で7億円、2016年度には240億まで成長し、Unileverになんと1000億円で買収されました。

髭剃り市場は当時P&GとEdgewellの2強だったそうですが、そこにDollar Shave Clubが食い込んで一気に成長しました。

Dollar Shave Clubが競合プレーヤーと大きく差別化した方法は、「インターネットの活用」です。
特に初期の立ち上げに成功した理由として、「Youtubeのプロモーション動画がバズった」ということが挙げられます。

https://youtu.be/ZUG9qYTJMsI

この動画はとんでもなく攻めた訴求をしています。
・価格は超安いが質は業界水準である
と前置きしながら、

ブランド(Gillette)の髭剃りに月$20も費やすのがお前は好きなのか? その$20の内の$19はRoger Federer(Gillette Fusionの広告塔)に行ってるぜ!vibrating handle(グルグル回るハンドル)やten blades(10枚刃)が必要なのか? お前のハンサムなじいちゃんの時代は1枚刃だったよな(なぜ、無駄に刃の数が増えているか考えたことがあるか?Gilletteが値上げしたいからだよ!)
無駄な機能満載の髭剃りを買うのを辞めて…賢い金の使い方をしよう! 俺たちはDollar Shave Club.com、そして、Partyはもう始まってるぜ(お前も一緒の舟に乗ろうぜ!)

意訳はこちらを参考にしています。

と業界とトップを強烈に批判しています。

この動画がバズったことで広告費を浪費せずに大手と戦えるくらいの知名度獲得に成功しています。

また、生産ロットが少ない初期の段階から商品自体をかなりの低価格(1/10以下)で販売できたことも大きいかった。

ユーザーの利便性を超えた不要な機能の追加、TVCMなどの莫大な広告費の垂れ流しなど、業界の歪みをうまく突いたということでしょうか。

アパレル系D2C企業(17kg/COHINA)

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前述のDollar Shave Clubほどの規模ではないですが、国内の新興アパレル企業も、集客に「今」を取り込み成長しています。

これらの企業は「Instagram」を駆使して自社ブランドへ集客しています。

ひと昔前の集客ハックといえばSEOでしたが、アパレルという業界は超分散市場なので、オウンドメディアをいくらやってもビッグワード上位には上がりにくい。

潜在顧客にはリーチするためには、ZOZOやamazonなどのモールに出品するだけで、ただ横並びになるだけ、という構造でした。

Instagramには、FacebookやLINEやmixiにはない「世界観を表現する」という文化ができています。
これがアパレルという業界とうまくマッチし、「潜在層へのリーチ」と「顧客の育成」というアパレル業界最強の集客ツールとして使われるようになりました。

成長したD2Cアパレル企業は、ハッシュタグの上位を勝ち取り、多くの潜在ユーザーが進んでフォローしたくなるようなアカウント育成に成功しています。

流通をハックした事例

casper

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Casperは海外でここ数年急速に成長してきている「マットレス」のD2Cです。
2014年に創業し三年弱で売上100億円まで成長しています。

CapserはSNSを駆使したマーケティングや、サポート・リレーション作りなども強みとして挙げられますが、1つ「流通」という観点もハックしています。

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今までマットレスというのは、サイズの問題で二階以上のアパートに配送するのが困難だったり、配送料が高くなってしまうという問題がありました。

Capserは写真のようにシンプルな箱と圧縮袋を使うことで、従来の配送に置ける課題を克服し、手軽に安くマットレスを配送する仕組み作りに成功しています。

またコンパクトにまとめることで、倉庫での保管コストも下げることができます。


さらに配送を低価格化したことで、「100日間無料トライアル」という利便性まで提供可能になりました。

マットレスは試用期間が長く高価な買い物のため、実際に試して買いたいというニーズは強いのですが、実際できるのは「店舗で横になってみる」程度しかできませんでした。

また、自宅に送って試してもらうとなると「送料の高さ」が障壁となり、従来の企業は実現できていません。


そんな中、Casperは「流通」をハックしてユーザーの課題を解決したため、急速に成長しています。

サポートをハックした事例

Quip

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Quipは米国の「電動歯ブラシ」D2C企業です。
サポートをハックした事例であり、2014年の創業後から100万人以上のユーザーに電動歯ブラシを届けており、2018年には4000万ドルの資金調達を行なっています。

Quopの特徴の一つは、3か月に1度新しい歯ブラシと歯磨き粉を配送する「サブスクリプションモデル」を取り入れたことです。

歯ブラシや歯磨き粉は従来まで単なる消費財であり、「口内環境を改善する」という目的は目を背けられていました。


口内環境の改善に一番重要なのは、歯ブラシや歯磨き粉などツールではなく、日常的な歯のケアを「正しく」「継続的に」行うことです。

Quipは電動歯ブラシをサブスクリプション化することで、単に安く手軽に始められるというだけではなく、ユーザーに歯のケアの継続的なサポートを提供しています。


たとえば、
・定期的な新品の電池や歯ブラシヘッド歯磨き粉を提供する
・30秒ごとに定期振動し、2分間で自動的に止まることで最適な歯磨き時間の管理を行う
・米国内の歯科医院と提携し、定期的な診断を促す
など、「口内環境の改善体験」を顧客に提供しています。


サブスク系のビジネスモデルは、単に高い商品を安価で提供できるという見られ方をされますし、付加価値があったとしても後付けっぽいサービスがほとんどです。

Quipは、定期的な関係性を持つからこそできる本質的なサービスを提供する、サポートをハックしたD2Cだと言えます。

国内外D2Cの事例研究まとめ

自分はD2Cに一番重要なのは、物を売るという伝統的な商売の「ハック」にあると考えています。

D2Cにおいては、「世界観」や「作り手の思い」や「ソーシャルグッド」という観点も注目されがちですが、スタートアップとして成長することを目指すなら、それ自体はあまり重要ではないのかもと思っています。

上記で紹介したD2C企業はほんの一部です。もっと良いハックをしている事例があればぜひ教えてください。

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