【代理店出身者向け】D2Cスタートアップのマーケティングの実態と転職のポイント
「ココグルメ」というブランドを運営している、ペットフードのD2CスタートアップBiophilia Inc.のマーケティングを担当している矢作です。
弊社のマーケティングは99.9%をインハウスでやってきていますが、代理店の方と話すと「珍しいですね!」と言われることが多いです。
比較的歴の長い通販企業だとアド運用の大部分を代理店が担っており、社内はどちらかとリテンションやサポートをコア業務にしている会社も多いです。
一方で昨今ブーム?になっているD2Cスタートアップでは、広告は全てインハウスで回していたり、SNSなどのオウンドメディアを絡めたマーケティングを進めていたりするので、従来の通販事業者とは異なった業務を日々行なっています。
代理店出身の方や通販企業出身の方で、
D2Cスタートアップへの転職を検討されている方も多いかと思いますので、
・D2Cスタートアップのマーケティング業務の特徴
・従来の通販企業と何が違うのか?
・転職するときのポイント
をご紹介します。
D2Cスタートアップと通販企業のマーケティングの違い
2年以上D2Cのマーケティングをやってきた経験上、
いわゆるメーカーや通販企業とD2Cスタートアップでは、
・インハウス志向
・戦略よりも手数重視
という違いがあることがわかりました。
「D2Cと通販って何が違うの?」という命題はこの一年で死ぬほど語り尽くされたテーマかと思いますが、明確な定義は存在しません。
これらは意図的にそうなったというより、
業界の構造上インハウスで手数を重視する形が勝ちパターンになってきたのではと感じています。
その理由を紹介します。
理由1 WEBマーケのコモディティ化
一昔前はメーカーサイドはマーケティングのことはほとんど分からず、
ましてやWEB広告を主体としたマーケティングができる人は一人もいませんでした。
メーカーから代理店からアフィリエイターまでが当たり前にデジタルネイティブになったために、WEBチャネル全般が急速に飽和してきてきました。
商品の売れ行きに関する情報も簡単に広まり、あっという間にパクられる時代でもあります。
各社が広告効率改善に奮闘する中で、
かつて代理店の専売特許だった「媒体のハック」は一瞬で廃れるようになり、より早く・一円でも安く運用できる力がクライアントサイドにも求められるようになっています。
となると社歴の若いD2Cスタートアップが代理店に頼ることなく、独自の労力と賢さを生かして、インハウス運用を主体にするのは当然であり逆にそうできなければ生き残れません。
理由2 集客チャネルの多様化
「SNSを活用して集客しよう」というのは10年くらいまえから言われていますが、いよいよ成熟期になりました。
一部の凄腕アフィリエイターしかできなかったSNSハックも、今やメーカーが自社運用のみで生み出すようになっています。
同時に新しいSNSも増殖し続けていますが、他のSNSで成功したように自己流のハックでオウンドメディアを成立させていくでしょう。
となってくると、SNSをハックして立ち上げたメディアサイドも、クライアントとメディアをつなぐ中間の代理店も、必要なくなります。
本当にDirect 2 Consumerになりつつあると感じています。
理由3 売りにくい商品を取り扱っている
インターネットが普及して20年、スマホが普及して10年も経ちました。
AIやブロックチェーンなど注目のテクノロジーはあれど、消費者の行動やビジネス全体に影響を及ぼすほどのブレイクスルーはそれ以来ありません。
鎮痛剤的な商品や、誰しもが欲しがるビタミン剤のようなプロダクトは何年も生まれていませんし、今後も生まれてくることはしばらなくないでしょう。
となるとここ数年でできたような若いD2Cスタートアップが取りあつかうプロダクトカテゴリのは、どこもかしこもレッドオーシャンです。
そのなかで見つけたニッチを掘り下げているだけなので、純粋に売るのが難しい商品なのです。
代理店やメディアは、収益モデルの関係上、売りやすいもの・売れるものに割く労力が大きくなります。
D2Cスタートアップが扱っている商品は、売り方・届け方をあらゆるチャネルで掘り下げ切って初めて売れるようなものなので、代理店に頼る・任せることもできず、長期的な組織体制構築のためにもなるべくインハウスに寄せることで自社のスキルを磨いていくのです。
このように代理店やメディアが担っていた業務は、新興企業であるほど急速にメーカーサイドに寄っていく力学があるため、現時点でも通販企業のマーケティングとD2Cスタートアップのマーケティングは業務内容が大きく異なっているのです。
D2Cスタートアップのマーケティング業務の実態
自社も含め、他社の方のお話を伺っても以下の2種類に分類されます。
拡大期: 手数重視のしらみ潰しマーケティング
月商~2億くらいまでの拡大期フェーズでは、とにかくエコノミクスの合うチャネルの開発と拡大がメインの業務になります。
「マーケティング戦略」なんて無いようなもの。
組織だった運用もほとんど存在せず、ごく限られた人数で可能な限り全ての施策を高速で出し続けることになります。
獲得チャネルとそのファネルの分析と改善案の洗い出しと実行、そして新規のチャネルの開拓・施策の立案と実行という、マーケティングのあらゆることを超少人数でひたすら毎日やり切っていきます。
目標CPAも目標件数も予算もほとんどありません。
やれるだけ価格を下げて、取れるだけ取る。以上。
これをやり切れた企業のみが生き残ります。
このフェーズではデザインもライティングもSEOもSNSも全部をそれなりにこなせつつ、スピード感を持って取り組める人が活躍し、その実績をもって安定期フェーズでマネージャーになるケースが多いです。
安定期: 組織によるスケーラブルなマーケティング
月商数億円に達し広告予算も月数千万円以上かけられるようになると、
拡大期のようなしらみ潰しは完了し、主要なチャネルを効率化して安定運用することになります。
このフェーズではそのチャネルで実績をあげた人が、その経験と知見をベースに組織を持ってマネージメントをしますが、代理店や外部のメンバーも多く参画しますし、組織の人数も100人近くに増えてきます。
この頃にはすでに知名度も高く、採用への応募も殺到するでしょう。
しかし、このフェーズでは既にやり尽くされているので、新しいメンバーには大きなチャンスは巡ってきません…
以前はD2Cスタートアップといえば年間数倍から数十倍以上に成長していく会社だらけでしたが、それらは既に成長期フェーズを脱して安定期フェーズに入っているという話もちらほら聞きます。
D2Cスタートアップのマーケティングに関わりたい方へ
転職を希望する理由は人それぞれ様々ですが、広告代理店や事業会社でマーケターとして活躍していた方の多くは、将来のマーケ責任者クラスを目指してキャリアアップを志向して転職される方がほとんどでしょう。
もしそうであれば圧倒的に成長期のD2Cスタートアップに参画するのがおすすめです。
前述の通り、D2Cスタートアップの成功・失敗の明暗をわけるのは成長期フェーズでどれだけスケーラブルなチャネルを開拓できるか?と安定期に向けて組織化できるか?の2つにかかっています。
もちろん安定期のスタートアップ自体もきちんと実績は出せますし、新規事業で大きくグロースさせれば活躍のチャンスはあります。
かし、新規事業が立ち上がる可能性と、成長期スタートアップで新規事業を成り立たせる可能性は全く同じです。
リスクが同じならリターンが大きいチャレンジの方が魅力的ですよね?
もし今
・広告代理店で運用経験を積んだから次のキャリアに進みたい
・もっと幅広くマーケティングに携わりたい
と考えていたら、
是非成長期のD2Cスタートアップに転職してみてはいかがでしょうか?
ということで、弊社も現在ゴリゴリの成長期フェーズのD2Cスタートアップです!
もし少しでも興味をお持ちでしたら、是非一度お話しましょう!