ボビーは五セントを持っていた。
今週は、うでパスタが書く。
キノコさんと週代わりで書いている、このBibliothèque de KINOKO Weekly Magazine。私の回もいままでは何とか毎回それなりにエモい区切りを付けてきたつもりだ。スモール・トーク、本編、そして次回への期待。
これは私が最近通い始めた英会話教室・Gabaのレッスン構成とだいたい同じである。私はずっとこれを「ギャバ」と呼んできたが、実際行ってみると日本人のスタッフは一様に「ガバ」と発音している。働いている英語話者はみなこれに違和感を抱いていると思うが、決まりなので「ガバ」と言っている。なかには曖昧に「グァバ」みたいな発音をしてささやかな抵抗を示す講師もいるが、異民族に抑圧される被支配民としては模範的な態度であると思う。
ともあれ、こうしていると一回の原稿が八千文字を超えるような分量になってきて、単品百円、月額三百円のマガジンで公開するのはさすがに惜しいというわけでもないが、読む方にとってもこれは大変だろうし、いくら安くても読まれない文章を書くのはなかなか心にくるものがあるので、前回と今回は同じ話を前編と後編に分けた。
従って今回のnoteは「承前」ということになる。まぁ正直にいえばこれもひとつのマーケティング手法だと思ってもらって構わない。だいたい私の担当する回は初めから一度も話が終わらないまま続いているのだ。これはこれで、私が酒を飲んでいるときの与太話と同じ構造である。
セラノスの時価総額がもう少しでそのピークに達するという二〇一三年十一月。ある別の会社では、世界中から四千人の社員が見守るなかで毎週金曜日に開かれる全社集会にCEOが登壇した。
彼女の髪は濡れ、化粧もしないままだったという。
グーグルから移籍したCEOの就任を熱狂が包んでから一年あまりが経ち、いまや社内には疑念が渦巻くようになっていた。
彼女は社員たちとの約束を守ることができるのか?彼女には本当にこの苦境から抜け出すためのアイデアと手腕があるのだろうか?
社員が息を呑んで見守るなか、CEOは子ども向けの絵本を朗読し始めた。
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