不労所得が欲しいの
不労所得が欲しいの。
彼女はそう言うとかわいいラテアートを小さなスプーンでかき混ぜながら、少し居住まいを正してから店内を見回し小声になった。実はいい話があって、今の仕事を辞めずに収入が増やせそうなの。とぼくの目をじっと見据えて、何かいたずらが見つかった時、相手の反応を伺うような表情でぼくの言葉が出てくるのを待っているようだった。ぼくはちょうど彼女のすすめで印鑑を作り終え、試し押しをしたくてウズウズしていたので、で、どういう話なの、と続きを促した。全ての物語には始まりとなるきっかけがあり、一つの印鑑から始まる奇跡もあれば、終わりのない責め苦のような地獄もある。だいたいにおいて、振り返った場合はターニングポイントというものを推論できるような気がしてしまうが、渦中において我々はこの先どこに向かうのかということにそれほど自覚はない。
夏のツナことキノコです。
よく目のTシャツを着ている人、として認知されておりますが、資本主義、資本家、と書かれたTシャツもよく着ています。文字も読みましょう。
アイデンティティーとしてキノコを名乗り始めてから12年ほど経ちます。なぜキノコを名乗るに至ったのか、というのは長くなるので図書室プレオープン時などの機嫌の良さそうな時に聞いていただきたいです。簡単に言うとキノコが好きなんです。
そうそう、プレオープンといえば、ようやくベンチ的なものや照明的なものを適切に選び抜き、あとは未開梱の本を棚に収めつつ適所に分類しさえすれば開室できるというところまでたどり着きました。ゴミ箱も設置されましたし。インテリアについての方針などが、基本的には本を収めるための空間であるという前提故になかなか決めることができず、大変長らくお待たせすることになってしまったわけですが、ついに、という感じです。詳しいご案内はまた改めてこのnoteやSNSで告知していくことになると思われますが、いつになるとは明言できませんのでお見逃しのないようにこの機に各所ご登録、ご購読などのお手続きをしていただければと思う次第でございます。
何かを成し遂げるということがないまま生きてきている大器晩成型なので、これからも皆様のご支援を賜りつつ、図書室プロジェクトを完遂できればと、切に願っております。
やや時流に乗ってしまった感がある図書室プロジェクトですが、書籍、本というものに注目が集まることは我々も望むところでありますし、本に囲まれて泊まる、本とともに文化を喫するといった試みも良い事だと思います。Bibliotheque_de KINOKOもそんな風に本を大事に思い、そこに記された知の営みの痕跡を貪り読む人々の一助になればと思うわけです。
いつか見つかり焼かれるその日まで。
さて、今回は話題のフィンテックを、と思ったのですが、流行りに乗りすぎるのは自分のスタイルではないなと思い直したので、不労所得が欲しい、という話をしていきたいと思います。そもそも不労所得が欲しくない人間なんていないと思うので、これはまあ全人間が購読する価値があるのではなかろうかと思う次第です。
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