講座&教材の「オフライン化」のすすめ
この1〜2年で、あらゆる学びの場が一気に「オンライン化・デジタル化」しました。
この新型コロナに伴う外出・接触自粛が求められるこの状況下では、至極当然で合理的な流れです。
そんなことは重々承知のうえで、でも、さまざまな理由から「やっぱり苦手」と感じ、なかなか「オンライン」にスムーズに移行できないでいる(しないでいる)講師の皆さんも、一定数いたのではないでしょうか。
私もその一人でした。
そんな皆さんに、あえて提案したいのが「講座と教材のオフライン化」の発想です。
【オフライン】=インターネットに繋がっていない状態
今となっては、「え? そんな状態で遠隔で講座ができるの?」と思われるかもしれません。
ですが、20年くらい前までの通信講座を思い出してみてください。
PCもインターネットもまだまだ一般には普及していない時代でしたが、
テキスト教材+添削課題
ビデオ教材+添削課題
に
郵便
FAX
等を掛け合わせることで、「遠隔学習」は充分可能でした。
(『進○ゼミ』とか『○ペンの○子ちゃん』とか… 一定の年齢以上の方であれば、ご存知の方も多いと思います)
そう考えると、今この時代においても、かつてのような通信講座(インターネットを使わないやり方)をしたって何ら問題ないのです。
むしろ、「なんでもかんでもオンライン化」という今の状況下では、この通信講座型(オフライン型)のほうが際立つのでは? 差別化されるのでは?と
も思います。
オンラインでも「オフライン要素」を増やす
私自身もコロナがやってきたタイミングで、これまでずっと対面で行なってきたセミナーをすべて「オンライン化」しました。
が、実は「オンラインセミナー」と銘打ちながらも、できる限り「オフライン・アナログ」を混ぜ込んでいます。
さらに、オンラインであっても、可能な部分については「非同期型」(※)を取り入れました。
同期型に比べて、講師側の身体的・精神的な負担が少ないように感じるからです。(この辺りの「得意・苦手」「好き・嫌い」は、人によって分かれる部分だと思います)
※「非同期型」とは:
「オンラインコミュニケーション」には以下の2種類に分類できます。
1)同期型 →双方向性が確保されたコミュニケーション(例:ライブ授業)
2)非同期型 →双方向性のない一方通行型のコミュニケーション(例:動画配信)
ちなみに、私が主催する「オンライン風」のセミナーは、こんな運用をしています。
▼セミナー申込後の流れ(受講生目線)
印刷製本されたテキストが郵送で届く
あらかじめテキストを読む
テキスト内のQRコードを読み取り、予習動画を観る ☆
宿題:テキスト内のワークシートに手書きで記入する
Zoomでのライブ授業1日目に参加する ★
宿題:テキスト内のワークシートに手書きで記入して写メして提出してもらう
赤ペンで添削されたワークシートがPDFで返送される
Zoomでのライブ授業2日目に参加する ★
例えば、こんな形式で学習してもらうセミナーです。
太字の部分 →オフライン(アナログ)
☆の部分 →オンラインの非同期型
★の部分 →オンラインの同期型
と、「オンライン」は限定的で、「オフライン・アナログ」の要素を多用しています。
もちろん、このようなセミナーの運営には、「100%オンライン」に比べて、ちょっとした費用も手間もかかります。(テキスト印刷費や送料、封入・発送の手間など)
ですが、この形式の講座を運用するには、より緻密な「受講生とのコミュニケーション設計」が必要なので、これまで以上に受講生のことを考えたり、受講生の目線を意識するきっかけになり、結果として、講座全体をブラッシュアップすることにつながるケースが多いです。
もともと「アナログ派」の方であれば、それも苦にならない、むしろ楽しめる要素のほうが多いのではないかと思います。
自分にとって心地よい「オンライン・オフライン割合」を見つける
講座や教材設計のコンサルを行う私の持論の1つに、(講師・主催者として)「気が乗らないやり方でやろうとしても、長く続かない」というのがあります。
「みんながやっているから」「流行りだから」「これが今のスタンダードだから」という理由で、自分の感覚を軽んじて無理にやろうとしても、すぐに苦しくなってしまうと思います。
もちろん、講座や教材作りにおいては、第一に「受講生目線」(受講生のユーザービリティ)を考えるのが鉄則です。
ですが、長期的に続けていきたい講座であればこそ、受講生目線と同じくらい「講師としての得意・苦手」もあえて考慮することをおすすめしたいと思います。
このような「オフライン講座」「昔スタイルの通信講座」の学びを支えるのが、テキストやワークブック、マニュアル、ハンドブック、資料集などの【冊子型教材】です。
この教材のあり方ひとつで、「講座の価値」や「受講生の成果」が大きく変わります。
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