便太郎のおもひでぽろぽろ【第6話】新鑑真号!
毎週火曜日と木曜日だったかな。
蘇州号と新鑑真号と言うフェリーが大阪から上海に到着するんです。
(今も運行しているらしい)
それに乗って結構、日本人が上海にやって来る。
2004年当時、上海の安宿といえば、浦江飯店と船長青年酒店が人気を2分していた。
ホステリングインターナショナルに加盟していたホテルは、恐らくこの2ケ所だけだったと思う。
(その後、北京五輪や上海万博に向けて上海市内に、ユースホステルが乱立するのだが、それはもう少し後の話。)
浦江飯店がいっぱいで船長青年酒店に来ました~!
船長青年酒店がいっぱいで浦江飯店に来ました~!
っていうセリフを良く聞いたっけなぁ。
そこで新鑑真号に乗って浦江飯店にやってきた、
Tさんと言う日本人と相部屋となり、仲良くなった。
これがかなり胡散臭い人だった。
知り合いに頼まれて上海の某飲食店の手伝いに来たと言うTさん。
元々は料理人らしく中国には何度も来ており、フィリピンや香港でも働いていて、その時の武勇伝を何時間も聞かされるのである。
正直これには参った。
そんな武勇伝語る系オヤジのTさん!
ですが、実はアニキ肌で結構、面倒見が良くいろいろ親切に教えてくれた。
(てか、ただ自分が言いたいだけだった疑惑もある)
何にせよ、いろいろ助かった。
なに〜仕事探してんの?
まず携帯買わなきゃダメだよぉ〜
あとさ〜ビザとった方が良いよね〜!
香港でとれっからさ〜
これ1年マルチと自分が取得したビザを見せてくれた。
これあったら1年出入り自由だしさ〜
便利なんだよね〜!
Tさんは、とにかく、すべてが軽い。
そんでさ〜
これがさ〜
フィリピンのビザでこれが香港のスタンプで〜
っと自分のパスポートのスタンプ自慢が始まるのである。
もしあれだったらさぁ~
これから携帯買いに行っちゃう〜?
携帯の前に冬服買いたいっすね。と便太郎。
何~?服買いたいの~?
安いとこ知ってからさぁ~
今から行っちゃう?
てことで、さっそくTさんに、七浦路ってところに連れて行ってもらった。
服の問屋街みたいなところで、デパートの様な建物の中にいっぱい小さな店舗が入っている。
服、靴、カバン化粧品などなどいろんな物が売っている。
正直、バンコクのバイヨーク周辺の問屋街の方が安いし規模も桁外れにデカイのである。
まー安いは安いんだけどね。
とにかくここで冬服ゲット!
真冬の上海で一人だけ秋の装いだったが、
これでひとまず外を安心してウロウロ出来る様になった。
時間ある時、香港行く汽車の切符とか買うの一緒に行ってやるからさ~
と、言っていたTさん。
いろいろ自分の用事が忙しく、結局手伝ってもらえなかったのだが、香港の1年マルチビザ取得出来る代理店の住所と電話番号、上海から深圳、深圳から香港行くのが1番安いからと切符の買い方とか、めちゃくちゃ丁寧に教えてくれた。
その後Tさんは、また一か月後戻って来るからさぁ~
あ、これ携帯番号ね!
なんか困った事あったらいつでも電話して来て良いからさぁ~
と言い残し、船で一時帰国したのだった。
実は口だけじゃない頼れるTさんなのだ。
胡散臭いが、どこか憎めない良い人だった。
それから毎日ネットカフェいって前に送ったメールの返事が来て無いか確認したが、無しのつぶて…他にあてもなく時間だけが過ぎる…
それにつけても、おやつはカール!
外灘は楽しい。
おのぼりさん観光客。
それをカモにするポン引き。
物乞い。
便太郎の、大好物のくだらないお土産品の屋台。
とにかく毎日、浦江飯店から外灘へ行き時間を潰す日々を過ごす。
仕事が決まらない焦りはあったが、上海への印象も少しずつ良くなっていった。
歴史的建造物と近代的建造物を隔てる様に流れる黄浦江は実はドブ臭い…
つづく