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サポーターはチームの営業であり、広報である。~サポーターとチームの幸せな関係を探る~

先日、大手会計事務所デロイト社の系列であるデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー社が発行した「Jリーグマネジメントカップ2017」を読みました。
デロイト社と言えば欧州サッカーチーム・リーグの財務状況を明らかにした「フットボールマネーリーグ」が有名ですが(欧州の放映権ビジネスを取り上げた大学の卒論で大変お世話になりました)、2014シーズンからJリーグについても各クラブ、リーグ全体の財務状況と経営効率・戦略について炙り出しています。しかも全て無料。誰でもデロイト社のHPから閲覧が可能です。

内容については多岐にわたるので、みなさんご覧になった上で思う所をぶつけて頂ければと思いますが、2017シーズンでの我らがサンフレッチェ広島については、J1全18チーム中スタジアム集客率ではビリ(28.1%)、平均入場者数は15位(14,042人)その中でも新規観戦者割合は14位(2.7%)と悲惨な結果になっています。

大きく立ちはだかる現実と、一方通行の片思い。

確かに2017シーズンは降格圏争いに巻き込まれたシーズンでもあり、成績も当然良くなく、集客があらかじめ見込めるゲームと言えば残留に向けて一大コマーシャルを打ったホーム最終戦ぐらい。さらに集客率なんて言われた日にはやれスタジアムがどうだのとかアクセスがどうだのとか、言いたい不満は山ほどあるでしょう。しかし数字は実に雄弁であり、クラブの置かれた環境を実に分かりやすく表しています。チームが財政的もジャンプアップする為には、ジャンプできる財政的な基盤がしっかり整っていなければなりません。大きな会社がバックについている訳でもない地方クラブがこれを目指そうとした場合、このビジネスモデルでは全くと言っていいほど儲からないのは明らか。早急な改善が必要な事態と言えます。

しかしながら大前提として、私達はどれだけチームを応援しようが所詮一介のサポーターに過ぎず、クラブを大きくするために営業活動を行ったり、集客を呼び掛ける宣伝部や広報の様なお仕事をやる義務はありません。むしろ試合やグッズに対しての対価を支払っているのは我々サポーターであり、サービスを享受する立場にあります。
他方、クラブの目線に立って考えてみると、サポーターの持つ発信力や情報拡散能力にある程度期待を掛けた上でサービスを提供しているのも事実です。これは例えば口コミでおいしいと言われるお店が人気になったり、Twitter他SNSでのいわゆる「バズる」状態に近いものがあります。

サポーターとチームの一見片思いに見える不思議な関係。ここに改善のカギがあるはずです。

置かれた環境下で、如何に最善を尽くすか

今このコラムを読んでいるそこのあなたが仮にユニフォームを買うほどのサポーターだったとすれば、自宅から観戦に出かける際に一つの判断に迫られるでしょう。それは「ユニフォームはどの時点で着るべきか」。家からなのか、最寄りの駅からなのか、それともスタジアムに着いてからなのか。これは人によって回答が分かれる事でしょう。
この疑問に正解はありません。そんなもの皆さんの自由です。しかしこれをクラブの目線で考えるとどうでしょう。まずユニフォームは大体チームの色で染め上げられています。広島なら紫ですね。そしてもう一つ。ユニフォームにはチームのエンブレムや背番号以外にも、スポンサー企業の名前が圧着されています。同じ色のユニフォームを身にまとった人が電車やバス、街中にいるとどうでしょう。嫌でも周りの人の目に付きますよね。今日はサッカーの日と認知して貰える率はグンと上がります。スポンサー企業についても、当然露出が増える方がいいですよね。一人ユニフォームを着用して街を歩くだけで、看板を一つ出している程の威力を持つ宣伝になるはずです。

先ほど書いたクラブのサポーターへの片思いとはこういう所になります。クラブだって自分達で出来る営業や宣伝には限界がありますし、そこにサポーターは介入できません。しかしサポーターは良い事も悪い事も、その効果を何倍も何十倍も大きくする発信力と数の力を持っています。2018シーズンもサンフレッチェが集客に苦戦しているのはサポーターの皆さんであればお分かりでしょう。集客減はスポンサー獲得への足かせにあるのは言うまでもありません。あなたがもしクラブを愛し、クラブを大きくさせたいと願うならば、SNSや皆さんの行動の工夫でクラブは大きくなる事が出来るという事を忘れないで下さい。皆さん一人一人がチームの「物言わぬ営業」や「物言わぬ広報」になれるのです。最近起きたコールリーダのドタバタだって、過去の不祥事だって、結局クラブ側の立場に立たないで物言うからこういう事になるんですよね。もちろん、強制されるものではありませんが。

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