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アフリカの神秘「ルイボス」

 寒くなってくると暖かいチャイが恋しくなってくる。身体をより温めてくれるターメリックやジンジャー、シナモンやカルダモンなどとブレンドして「ゴールデンミルク」を作ったのはもう何年も前になるのであろうか。その後も様々な紅茶とスパイスを掛け合わせたり、スパイスを組み合わせてほうじ茶、緑茶、紅茶などと合わせて楽しめるブレンドを作ってみたりしました。どれも比較的に喜ばれたのですが、やはりカフェインレスのチャイを作って欲しいとの要望も多く数ヶ月の試作を経てブレンドが出来上がったのが「ルイボスジンジャーチャイ」。

 南アフリカ原産の赤い藪と呼ばれるルイボスは南アフリカの西ケープタウンの北に広がるセデルバーグ山脈でしか自生しておらず、その土地の過酷な環境が生み出した奇跡の植物とも呼ばれている。ルイボスが自生している土地は雨があまり降らず昼と夜の寒暖差は30度を超える。そのような過酷な環境で1mほどの高さに育つルイボスの根は土の中に長いもので10メートルも根を伸ばし、土の中のミネラルや栄養を吸収しているのだ。結果ルイボス自ら栄養を蓄える力を備えるようになり、ポリフェノールやフラボノイドといった成分を多く含むよになったと言われている。

 松のような形状をしているルイボスの葉は紅茶ではなく、マメ科の植物。南アフリカの先住民ははるか昔、約6,000年も前からルイボスの葉を煎じて飲んでいたそうで洞窟に描かれた壁画にもその様子が描かれているそうである。その後オランダやイギリスの移民たちも飲むようになり、1900年ごろにはヨーロッパで広く飲まれるようになったそうだ。日本には1980年代に紹介され健康的な飲み物として広まっていったそうである。

 自然が生み出した過酷な環境が作り出したルイボスは南アフリカのセデルバーグ以外では栽培することができず、今でも自然のまま、無農薬で栽培されている。

 何千年も前から天日で発酵、乾燥させ今の製造方法と変わらずに作って愛飲していたルイボスの飲み方、作り方を最初にヨーロッパの人々に教えたのは先住民のコイコイ人やサン人だと言われている。ルイボスの特異性や伝統的な製法が今では認められEUの「原産地名称保護(PDO)」認定を受けシャンパーニュやパルミジャーノ・レッジャーノチーズと同じように守られているそうである。

 赤い大地が生んだ赤い奇跡のお茶ルイボス。過酷な環境でたくましく育った人が素晴らしいものを持っていることが多いように、ルイボスが持っている力は人々に勇気と健康を与えてくれる。

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