ニームの木
綿花や宝石、シルク、白檀やスパイスなど遥か昔から様々な人々がインドのものに魅了され自分たちの土地へ持って帰ろうとしてきた。しかし7000年前からインドの人々に重宝され、薬や肥料、食料として使われてきたものを彼らは見つけることができなかった。
それは「神秘の木」とも呼ばれている「ニーム」の木である。インドのいたるところに植わっているニームの木は20メートル近くに成長する。夏は激しい日差しから人々を守ってくれる、早朝のニームの木の下はオゾンがあるともいわれ、時には旅人が休息の場所としたり、お釈迦様が瞑想の場所としても使っていたといわれている。
医者がいない村ではニームの木をたくさん植えて医者の代わりにしている人々もいるくらい効能が豊富だといわれている。インドではそこら中に見ることができるニームの木だが、その葉は天然の虫除けとしても使われたり、抗菌作用もあることから穀物や米などを貯蔵する際に一緒に入れて置いたり、土壌に混ぜることによって虫を寄せ付けないように使ったりしている。
ニームの種子から抽出される油には害虫予防の効果があり、オーガニック農園などで活用されているそうである。環境を汚さず、動物や植物、益虫にも被害がない天然の防虫剤としてインド以外の様々な国々でも注目されているそうである。またニームの油を抽出した後に取れる絞りカスは農園の土壌に入れたり、シロアリ対策にも効果があるそうである。
またニームの花から取れた蜂蜜は肥満になりにくいともいわれていたり、ニームの木は昔から歯ブラシとして使われてきたそうである。
ニームの葉は葬儀の時にもよく使われ、棺の中に入れたり、葉を水で濡らして人々にかけたりするそうである。
インダス文明で有名なモヘンジョ=ダロでも多くのニームの葉が使用された痕跡が見つかったように古くから身近で頼りになる木としてインドでは愛されてきた。
全てを余すことなく活用できるニームはこれからもっと大事にされていくであろう自然栽培や有機栽培、アップサイクルや持続可能な生活などにとって重宝されていくのではないだろうか。
スパイスや野菜、ハーブなどが植わっている所にはニームの木をたくさん植えておくと良いのかもしれない。
ガンディーが大事にした自分たちのものを自分たちで作ること。カディという手で紡ぎ手で織った生地を作っている場所ではニームの石鹸や化粧品なども作っているところが多くあった。
インドのニームの木のような存在が日本にも身近なところにきっとあるのであろう。
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