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ビーナスが作った喜びのハーブ

「汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ」

 古代ギリシャで活躍した医学の父と呼ばれるヒポクラテスの残した言葉といわれている。古代ローマそして西洋の医学にも大きな影響を与えたヒポクラテス。彼は常にオレガノオイルを携帯し、肌の炎症や胃腸の調子を整えるためにオレガノを摂取していたといわれている。

 ユーラシア大陸の南西、地中海沿岸が原産地といわれているオレガノは古くはギリシャでよく使われていたそうである。オレガノ「OREGANO」という名称も「ORE」はギリシャ語の山を意味する「OROS」、「GANO」は喜びを意味する「GANOS」からきている。「喜びの山」と呼ばれているハーブは美と愛の神ビーナスが自分の庭に喜びのシンボルとして作ったと信じられている。

 古代ギリシャで愛されていたオレガノは古代ローマの人々にも伝わり、とても重宝されたそうである。ローマ人の溢れるオレガノ愛はヨーロッパや北アフリカまで伝わり広く使われるようになった。食用として多用されていたオレガノも中世ヨーロッパでは薬用としても使われるようになり、リュウマチや歯痛、消化不良に効くとして人々の役に立ったそうである。また負の感情や状態を取り払うハーブとしても信じらていて古代ローマの結婚式では花嫁と花婿の冠はオレガノで作られたのもあるそうだ。オレガノが幸せと喜びを持ってきてくれて、悲しみを追い払うのだとか。

 今でこそメキシコやアメリカのベーバキューラブなどには欠かせない存在のオレガノだが、アメリカに伝わったのは第二次世界大戦以降だといわれている。トマトととても相性が良くイタリア料理、地中海料理には欠かせないスパイスでもある。そのほかにもフランスのエルブドプロバンスやブーケガルニ。メキシコのチリミックスなどオレガノは美味しい料理を作るにはなくてはならない存在でもある。料理に喜びと美味しさを足してくれるオレガノ、古代ローマの美食家は「オレガノはソースを美味しくするスパイス」と書いていたそうである。

 今や世界中で愛されているオレガノは美味しい料理にも人を助ける薬にもなる。まさに「喜びの山」と呼ばれるにふさわしいハーブ・スパイスなのではないだろうか。

 温めたオリーブオイルにニンニクと唐辛子、そして少しのオレガノを加えて作る料理は間違いなくどれも美味しい。

 ギリシャでは悪魔や嫌なことを追い払ってくれるハーブとして今でも庭先にオレガノの鉢を置いている家庭が多いのだとか。

 ビーナスが作り、ヒポクラテスが認め、ローマ人に愛されたハーブは世界中に喜びをもたらしてくれている。

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