3人のスパイスたち
夏に向けて使いこなしたいスパイスがある。
それはクミン、フェンネルにキャラウェイである。
同じような形をしているが、香りが違う3種のスパイス。
力強く、ビビッドな味を引き出してくれるクミン。
爽やかで、涼しげな風を流してくれるフェンネル。
異国に連れて行ってくれる、どこかミステリアスなキャラウェイ。
クミンの香りを嗅ぐとインド料理やカレーを思い出すように、カレーの土台をしっかりと支えてくれている感じがある。暑さを払いのけ、食欲を掻き立ててくれるような力があるクミン。
芯が強く、ハキハキと話すようなひとのようである。
眩しい陽が射す青空の下、優雅に涼しい風が吹いてくる。鮮やかだが、淡い緑色をした植物たちを揺らしながら、ふわっといなくなる。一瞬の出来事であったがいつまでも余韻が残る。振り返ってもそのひとはいない。
私の中のフェンネルはそんな感じである。
キャラウェイは憧れである。
みたことがない世界に連れて行ってくれる。その人がいるだけで新しく、エキゾチックな世界観が醸し出されてくる。怖くて近づきがたいが、気が合えば一瞬で異国へ連れて行ってくれる。
クミン、フェンネルにキャラウェイ。
メキシコ料理やインド料理を中心に肉料理などにも多用されるクミン。
世界での使用量はスパイスの中で2番目に多いのだとか。クミンシードを煮出して飲むクミンティは暑い日にはぴったりの飲み物だ。
魚料理、南仏や南イタリアなどでも多く使われているフェンネル。
リラックス効果があると言われ、こちらもお茶にして飲むととても美味しい。
キャラウェイは石器時代から使われていると言われ、様々なものやことから守ってくれると信じられ、中世ヨーロッパでは子どものベッドの下に入れ病気から守ったり、家にある大事なものに入れ盗難から守ったりしたと言われている。惚れ薬の材料としても広く使われたとされている。アーユルヴェーダでは興奮や刺激の作用があると言われている。
それぞれの花言葉もそのスパイスの雰囲気を表しているようである。
クミンは「憂鬱を払う」
フェンネルは「賞賛に値する」、「背伸びした恋」
キャラウェイは「迷わぬ愛、強い心」
である。
どのような料理を作りたいか、どのような環境を作りたいか。選ぶスパイスは変わってくる。 それぞれの持っている「雰囲気」を感じながら個性豊かな3人を活かせていければ素晴らしいスパイスサマーが待っている。
ドイツにある森の中に一人で長年住んでいる老人は森の声が聞こえるそうである。
スパイスの声が聞こえるようになりたい。
この3人の声が聞こえたら、なんて素晴らしんだろうか。