ホワイトバターチキン
秋が終わりに近づき冬がやってくると特別なシーズンがやってくる。クリスマスにお正月。お祝い
事や特別な行事が続いてくる。そしてなぜなのかわからないが冬のスペシャルカレーとなるとバ
ターチキンカレーが選ばれることが多く、毎年決まって12月はバターチキンカレーを作ろうとい
う思いになってくる。毎月開催している料理教室もオンライン料理教室もこの時期はバターチキン
を作ることになる。
ただ勝手な決まりごとではあるが料理教室を開催している同じ会場では同じカレーは2度と作らないと決めているので去年やった「ちょっと大人なバターチキンカレー」のレシピも、一昨年に
やった「スパイシーバターチキンカレー」のレシピもその前の前にやった「基本のバターチキン
カレー」も作れないとなると新しいバターチキンカレーを考えなくてはならない。
クリスマスにちなんでホワイトバターチキンなんてのはどうだろうと思いレシピを考えてみる。
ヨーグルトにカシューナッツ、バターに生クリームなので白いカレーを作るのはそんなに難しいこ
とではない。重要なのはスパイス選び。香り高いカルダモンやブラックペッパー、シナモンや
フェンネルなどホールスパイスとして香りがしっかりと出るが色をグレービーに映さないものを選
んだ。ホールスパイスを香らせ、クリーミーでリッチなグレービーを重ねていく。肉の旨味も相
まって美味しいカレーが出来上がった。しかしただ美味しいだけでアクセント、パンチが足りな
い。じわじわと美味しいが一口目で驚きがない。そこで思い出したのがかつてオールドデリーの
ジャマ・マスジッドの近くの市場で食べた全く新しいバターチキン「アスラム・チキン」だ。バターチキンはデリー発祥として世界的にも有名なインド料理であるし、タンドリーチキンの味をベースとしてバター、トマト、カシューナッツ、クリームや玉ねぎなどで作ったグレービで煮込まれている。タンドールで焼いたナーンなんかをくぐらせて食べればやっぱり最高である。世界中どこに
行っても味わいは少し変わるが大体は同じである。しかしオールドデリーにあったバターチキン
の見た目は全然違っていた。しっかりと味付けされたタンドリーチキンを店の前の炭火でしっか
りと焼いたと思ったらそれをたっぷりのバター、本当にプールのようなバターに入れチャチャっ
とグリーンチャトニ、ヨーグルトソースとチャートマサラをふりかけて提供される。私が知ってい
る赤っぽいグレービーではなく「バター」なのである。そこにアクセントとなるチャートマサラと
チャトニ。恐る恐るスプーンですくって食べてみた。一口目のインパクト。すぐさまナーンをグ
レービーにくぐらせ、その世界観が違うものたちの調和を楽しむ。タプタプに入っていたバターは
瞬く間になくなっていた。
ホワイトバターチキンにはあのアクセントだ。と思い出し調合したチャートマサラで試してみる。
これは良い。ホワイトシチューにもなんでもクリーム系にはチャートマサラが合うんだな。きっと。