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色鮮やかなインドのお祭り「ホーリー」

強めの風が吹くと春を運んできてくれるような気がする。

新しい命がそこかしこに芽生え、豊かな色がそこかしこに現れる。

毎月行う料理教室の買い物をしに野菜の市場を見渡すと鮮やかな色の野菜たちが気持ちをウキウキさせてくれる。自然と作るものも色鮮やかになっていくので、料理をする時も春を感じることが多い。またスパイスを使うことによって野菜や食材に色をつけている感じもどこか春を撒いているような気分になる。

春になるとインドでは色のお祭りがそこかしこで開かれる。「HOLI(ホーリー)」という名前でインド暦の11月(太陽暦では3月)の満月の日から二日間祝われる。春の収穫祭でもあるし、春の訪れを祝う祭でもある。なぜ祝っているのかは諸説あり、誰も正解は知らないが、昔々から祝われている。民家に入ってくる悪鬼を追い払うために土や汚物を投げ始めたのが黄色や赤色や緑色に変わりそのうちに様々な色を投げ合うようになり今の形になった、「春」を祝う儀式から始まったという話もある。それとは別に元々は結婚した女性が満月の夜に家族の幸福と繁栄を祈る儀式から始まったという説や悪い王が人々を思い通りに動かそうとして、それに反発した人々がその悪い王と悪魔を焼き払ったのを記念して祝っているという話もある。

また別の話ではクリシュナ神が自分の母親になぜ自分はこんなにも黒いのにラーダー神はあんなにも白いのか聞いたところ、母親がクリシュナにラーダーにも色を塗れば良いじゃないかと提案したのが、色をつけ合うお祭りに発展したともいわれている。クリシュナがラーダーに色を投げたり、水をかけたりしていたずらしていたのがやがて恋になり愛が生まれていったといわれている。
様々な食物や花が芽吹いてくる「春」を祝う祭り。
家族の繁栄や健康、幸福を祝う祭り。
悪を追い払い、それに打ち勝ったことを祝う祭り。
色を投げ合うことで違いはなく、みんな同じであることを祝う祭り。

新たなスタートに過去の様々なものを焼き払うかごとく、町のいたるところでは大きな焚き火が行われる。

それぞれの人々の新しい生活や年や人生が色鮮やかで豊かなものになることを、はるか昔から願っていたのであろう。それは今の時代もこれからの時代もずっと変わらないことなんだろう。

クリシュナ神のようなちょっとしたいたずらな心と春のような暖かい気持ちと色鮮やかなホーリーのようなスパイス使いで、新たな年になってくれるといいな。

そしてみなさまにも素敵な春が訪れることを願っております。

ハッピーホーリー

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