ワンポイントヨーガ 特別編. 1 「逆転のアーサナ(ヴィパリータ・カラニー)」
ワンポイントヨーガ 特別編
今の時期、外出を自粛して家で過ごす時間が長い人も多いと思いますので、特に今の時期に有用と思われるものを中心に、家で一人でできるワンポイントヨーガを紹介していきたいと思います。
1.逆転のアーサナ(ヴィパリータ・カラニー)
これはエネルギーを強烈に上昇させるため、本来はアーサナというよりもムドラーに属するものです。
1 仰向けになる。腕を体の両側に伸ばし、手のひらは床につける。
2 両脚をそろえたまま、ゆっくりと息を吸いながら上げていく。床と直角になったら息を止め、五秒
から十秒間その姿勢を保つ(足首には力を入れないようにする)。
3 床の上の手のひらに力を入れ、息を吐きながら、腰を床から上げていく。
4 両手を腰に当てて支え、体が「く」の字になるようにする。
可能な場合は、「く」の字ではなく、体を垂直に保ってもよい。この場合は「肩で立つアーサナ」と
いう。こちらの方が効果は高い。肩で立つアーサナの場合、腕は腰に当てるか、または体側につけ
て垂直に上に伸ばす。
5 その姿勢をしばらく保持した後、足を頭の方に少し下げてから、ゆっくりと息を吸いながら背中を
床におろしていく。
6 腰まで床に着いたら、今度はゆっくりと息を吐きながら足を床におろしていく。
7 シャヴァ・アーサナ(仰向けで、腕は体から少し離し、手のひらを上に向ける。両足も少し開く)
で休む。休む時間は、4の姿勢を保持した時間と同じ時間以上とする。
※注意……逆転している時間が長くなるにつれ、腰の痛みや胃の痛みが出てくる場合があるが、これは生体反応が過敏になっているためなので、そのまま続けてかまわない。また、このアーサナを始める前には、準備運動として、首を左右にゆっくりと三回ずつ回しておく。
また、3と4の間に、のアーサナ(つま先を頭の向こう側の床におろす)を入れてもよい。特に初心者の場合、ウォーミングアップとして鋤のアーサナの後に逆転のアーサナをやったほうがいいかもしれません。
【効果】
・消化の火が強くなることで栄養分の吸収がよくなり、消化不良・胃炎を治す。
・脳・心臓・肺を養う(強化する)。
・気管支炎、肺結核、扁桃腺炎を治療する。
・リンパ腺や心臓のマッサージになる。
・高血圧を予防する。
・不老長寿を得る。
・ストレスや精神的な疲労を速やかに取り除く。
・ホルモンのバランスを整え、若返らせる。
・慢性頭痛を治す。
・リウマチを治療する。
・神経系統の働きを整え、静める。
・頭脳を明晰にし、知能を高める。
・強力に血液を浄化する。
・視力を改善する。
・腰痛を治す(ただし椎間板ヘルニアがある人は実践を避けるか指導者に相談する)。
・風邪などの身体の不調を改善する。
ヨーガ経典では、これを毎日三時間続けるならば、死をも克服するとまで書かれている。
わたしは高校生のときに、実際に毎日三時間、十日間これを行じたことがある。そしてその直後にあったテストで、全く勉強をしていなかったにもかかわらず、学年でトップになることができた。よって確かに頭脳は明晰にしてくれるようである(笑)。
しかしこの忙しい現代において、これを毎日三時間というのは無理がある。修行法も、これを三時間やるよりも他にやるべきことも多々あるだろう。よって実際には毎日数分間程度でよいと思います。
もちろん、興味のある人は、たまに長時間やってみるのもいいかもしれません。
ちなみに、近代の欧米のヨーガではこれよりも頭立のアーサナの方が人気があるようですが、頭立はストレートに頭に血流が集まるため、長時間やると脳や目に悪影響が出る可能性があるので、頭立よりもこのヴィパリータカラニーまたは肩で立つアーサナをお勧めします。
――Sri Shavari