新米手配師の日常

通翻訳者として地道に活動してきた私がひょんなことからコーディネーター(手配師)に。
これまで見てきたのとは別の世界がそこに…そんな新米手配師が気づいたことを徒然なるままに書いてみます。
 
デビューへの道のりは遠し
通常、通訳者・翻訳者として稼働したい場合は
(1)        エージェントに履歴書と職務経歴書などを提出する
(2)        書類審査通過後にトライアルを受験
(3)        晴れて合格!登録&デビュー!
ですが、残念ながらそうは上手くいかないのです。特に2と3の間の距離は
非常に遠くて道のりも険しい!
今回はなぜ中々デビューに至らないのか、ではどうすればいいのかを書いてみます(多々主観が入っていますので、ご了承ください)

<原因>
・その1:そもそも通訳・翻訳案件が少ない
エージェントの主な業務が通訳・イベントの場合は通訳案件が少ないということはないでしょうが、エージェントの主な業務が翻訳の場合は、通訳業務自体が年に数件という場合もあります。また、少数言語も入国管理局・警察・刑務所関係、多国籍従業員を抱える会社からのお仕事が定期的になければ案件数はどうしても低調になりがちです。

・その2:レギュラーメンバーでほぼ業務をこなしていける
では、案件数の多いメジャーな言語ならばお仕事が沢山あって、私にもデビューのチャンスが巡ってくるのでしょうか?そういう単純な話でもありません。
各社とも「レギュラーメンバー」「エース」などと言われる固定のメンバーがいて、その人たちで仕事は回っていけますので、「あえて新人を」という流れにはなりづらいのです。
繁忙期は特に、慣れたメンバーの方が仕事の目途や出来栄えの予測もつくので楽ですしね。同じ人達に依頼する気持ちはわかります。
(私は意識して新規登録者を使うようにしていますが、弊社の方法に慣れてもらうまではそれなりに時間と手間はかかります)

だからといって何もせずにまた、履歴書を送り→トライアルを受けて→連絡を待つ、では状況は改善しないので、私なりに「いいかもしれない」という方法を書いてみます。
いずれの方法にしてもキーワードは「手配師に思い出してもらうこと」です。
誤解して欲しくないのですが、手配師に「媚びろ」というのではありません。ただ、例えば芸能界にはマネージャーさんがいらして新人の売り込みをしてくださいますが、マネージャーのいない通翻訳業界の場合「自分を売り込む」という視点は必要かと思います。

■方法1 最新の職務経歴書、通訳・翻訳実績表の送付
大手のエージェントは通翻訳者に年末や年度末に送ってきてください、と一斉メールなどで依頼するようですが、特に求められていなくとも区切りのいいときに実績表をエージェントに送るのは有効です。
この方法のメリットは①手配師の記憶に残る②お客様より最新の経歴書を求められたときにすぐに提出できるので、手配しやすいという点です。
欲を言えば、添えてある一言や書き方には工夫がほしいところです。
これについてはあらためて別の機会に書きたいと思います。

■方法2 ちょっとした贈り物を渡す/贈る
仕事が来ないなあ、顔つなぎに、など様々な理由で年末年始、お中元、バレンタインデーなどに手配師宛てにプレゼントを贈ってくださる方はいらっしゃいます。内容はカレンダー、美術館やイベントのチケット、お菓子というものです。
これも、手配師に顔と名前を覚えてもらう上では有効です。
ただし、あくまでさりげなく、「ほんの気持ち」という姿勢で贈ってほしいものです。
仕事が欲しいと「ギラギラ」ムードで来られても、こちらは圧倒されるだけですし、お菓子も案外処分に困ったりします(筆者はテレワークメインのため、会社に送ってくださったお菓子をほとんど食べることができませんでした(悲))

■方法3 SNSやブログでのアプローチ
最近の流行りですが、対エージェントに有効なのかはわかりません。
私自身、通翻訳者でもあるため、他の通翻訳者さんの投稿を目にしますが、そこからわかるのは「最近の行動」「好み」「考えていること」のため、これを見て手配師の立場からお仕事を頼むかというと「う~ん」ですね。
SNSで有効なのは友達やフォロワーのつながりだと思っています。
私の場合、この人とこの人がつながっているならば、このレベルのお仕事は一緒にお願いできるかも、とか通翻訳者の紹介をお願いするときに使っています。
この話もあらためて別の機会に書きたいと思います。

■方法4 スケジュールの開示
週末空いています、年末年始も対応可能です、などとスケジュールを開示してくださる方もいらっしゃいます。緊急の案件やちょうど頼みたいことがあったときにとても役立ちます。
ただし、これも頻繁に行うと仕事がないのかと思われますし、最初は頻繁にスケジュールを送ってくださったのに、突然連絡が来なくなったりしたのではあまり効果がないと思いますので、戦略的に使うことが必要かと思います。
 
新米手配師の学んだこと
登録後に稼働するには手配師にどう思い出してもらえるか、どう手配師の気持ちを動かすかという視点も必要。ただし、アピールをするには、状況を見極めながら戦略的にバランスよく行うこと。
 
 
 

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