惜しくも落選。 必聴なグラミー賞2023年ノミネート曲 Best15 プレイリスト
前回に続いてグラミー賞関連だが、今回はノミネートされたが惜しくも賞からは外れたミュージシャンにスポットを当てる。意外にもノミネート作品の方にクオリティが高い曲があったりもする。
知らなかったミュージシャンを知るには、ノミネートを調べるのは良い機会である。
特に主要カテゴリーではないマイナーカテゴリーに宝の山が眠っている。
R&B
1.PJ Morton/Please Don't Walk Away(Best R&B Album)
受賞したRobert Glasper の「 Black Radio III」にも客演していた、PJモートンの候補作『Watch The Sun』よりシングル曲。ニューオーリンズ出身のゴスペルシンガーでマルーン5のメンバーとしての活動で知られる。70年代スティーヴィー・ワンダーの影響が色濃く滲む。
2.Tank And The Bangas/Cafe Du Monde(Best Progressive R&B Album)
ニューオーリンズ出身の4人組タンク・アンド・ザ・バンガスは、2020年にはグラミー賞の最優秀新人にノミネートされた。
Cafe Du Mondeはグラミー受賞バンドSnarky Puppyのドラマーでシンガーでもあるジャミソン・ロスとトロンボーン・ショーティと言うニューオーリンズ出身の2人をフューチャー。
3.Cory Henry/Holy Ghost(Best Progressive R&B Album)
元SnarkyPuppyの凄腕オルガンプレーヤーだが、脱退後にシンガーに転向。今回で2度目のノミネートとなる。現代のビリー・プレストンとも呼ばれ、ゴスペルテイストのオルガンとボーカルが売り物。
5.Moonchild/Too Good(Best Progressive R&B Album)
来日公演も記憶に新しい新世代ネオソウルユニット、ムーンチャイルド。女性シンガーAmberNavranを含む3人組。3人ともキーボードプレーヤーだが、フルート、クラリネット。トランペットと管楽器もこなす。
5.Mary J. Blige feat. Anderson .Paak/Here With Me(Best R&B Performance)
5年ぶりとなる14作目の『グッド・モーニング・ゴージャス』(Good Morning Gorgeous)より。シルク・ソニック以来、今最も引っ張りだこのアンダーソン・パークとのコラボ。スタジオで共にし、曲作りとボーカル、ドラムをパークは担当。
Jazz and other categories
6.DOMi & JD Beck feat. Anderson .Paak/TAKE A CHANCE (Best New Artist)
ここにもアンダーソン・パークが参加。
キーボードのドミ (DOMi LOUNA)と、ドラムスのJD・ベック (JD BECK)による2人組ユニット。ロバート・シーライト(元スナ―キー・パピー、ゴースト・ノート)のショーで意気投合。SNSをきっかけに高い評判を呼び、ハービー・ハンコック、アンダーソン・パークやサンダーキャットなど人気アーティストと共演。シルク・ソニックのシングル「Skate」を共作したことは大きな話題を呼んだ。
2022年には、アンダーソン・パークが新たに立ち上げたレーベル、エイプシット・インクと名門ブルーノート・レコードと契約し、デビュー・アルバム『Not Tight』をリリース。
7.Brad Mehldau /Tom Sawyer(Best Contemporary Instrumental Album)
2月に来日したばかりのジャズ・ピアニスト、ブラッド・メルドーのプログレッシブ・ロックに触発された『Jacob's Ladder』からラッシュのカヴァーである「Tom Sawyer」。Punch BrothersのChris Thileがボーカルとマンドリンで参加。ブルーグラスのChris Thileであるが、彼も横断的に様々なジャンルでコラボレーションを行う人気者。2月に来日したMark Guilianaがdrums。
つい先日にはビートルズのカバーをリリースしたが、これもオススメ。
8.Jeff Coffin/Vinnie the Crow (Best Contemporary Instrumental Album)
Dave Matthews Band、Béla Fleck and the Flecktonesで活躍したサックス奏者ジェフ・コフィン。ここにもSnarky Puppyのリーダー、マイケル・リーグがベースで参加。ニューオリンズのシンガーNigel Hallも参加。
9.Jacob Collier/Never Gonna Be Alone feat. Lizzy McAlpine & John Mayer(Best Arrangement, Instrumental and Vocals)
ジェイコブ・コリアーはSNS を通じて有名になったミュージシャンの先駆けである
宅録で全ての楽器と自分の声を重ね合わせ音源を YouTube で発表してつけ調べるようにな知られるようになった
彼も様々なコラボレーションで各方面からひっぱりだこ、そしてすでに何度もノミネートされ受賞もしている
既に2021年に受賞しているBest Arrangement, Instrumental and Vocalsでのノミネートだった。
10.Louis Cole/Let it happen(Best Arrangement, Instrumental and Vocals)
KNOWERというユニットで活動し、5月はサンダーキャットのドラマーとして来日したルイス・コール。
ドラマでありながら今回のアルバム『Quality Over Opinion』はほとんどの楽器を自分でこなしたと言う。この曲はビーチボーイズかと思われるほどBrian Wilsonの影響を受けている。
11.Becca Stevens&Attacca Quartet/2 + 2 = 5(Best Arrangement, Instrumental and Vocals)
Snarky Puppyのマイケル・リーグが運営する GROUND up レーベル所属のアーティスト、ベッカ・スティーヴンスがクラシックユニットであるAttacca Quartetとコラボした作品。
ベッカ・スティーヴンスもデヴィッド・クロスビーやブラッド・メルドーなどコラボへの参加が絶えない。
Attacca Quartet自体はBest Chamber Music/Small Ensemble Performanceで2023年に受賞している。
Folk/Bluegrass
12.Punch Brothers / Church Street Blues(Best Folk Album)
リーダーでありマンドリン奏者のクリス・シーリー は自分たちのグループをプログレッシブ・ブルーグラスと呼んでいる 。メンバーは5人編成でシーリー以外はフィドル、バンジョー、アコースティックギター、ダブルベース。
シーリーもまたブラッド・メルドー、ヨーヨーマなど様々なジャンルのミュージシャンとコラボレーションしている。2019年にはグラミー賞を受賞。
13.Aoife O'Donovan - Phoenix
シーリーとも交流が深いAoife O'Donovan(イーファ・オドノヴァン)は、グラミー賞を受賞した女性フォークトリオ I'm with Herのメンバー。やはり彼女もプログレッシブ・ブルーグラスと呼ばれるようなオルタナティブな匂いがする。
Rock
14.The Black Keys/Wild Child(Best Rock Album)
「Dropout Boogie」はアメリカ・オハイオ州アクロン出身の2人組ロックバンドで、ヴィンテージ感覚でルーツ的なサウンドを特徴とするザ・ブラック・キーズ (The Black Keys) の11作目。現在までに既にグラミー賞を7部門で受賞。メンバーのダン・オーバックはソウルシンガーのYOLAのプロデュース等でも活躍。
15.Big Thief/Certainly(Best Alternative Music Album)
フロントウーマンのエイドリアン・レンカーはジョニ・ミッチェルやニール・ヤングに強く影響を受けたという。
Certaintyのシンプルなサウンドはオーガニックで暖かく、録音には8トラックのテープレコーダーが使用されたそうだ。