91歳母の初体験
なんと、昨年の大晦日母と一緒にディズニーランドへ行った!
母は91歳。
いったいあと何回元気でお正月を迎えられるだろう?と常々思っていた私、
「たまにはさ、パーッとホテルでお正月でもしようか~」
と言ってみたのが始まり。いろいろ考え出した案の中で
「ディズニーランドは?」
に
「それいいね!」
母が喰いついた。
すでに一世紀近く生きていながら、ランドには未だ足を踏み入れたことのない母。これまでも行ってみたいと漏らすことは何度かあって、その度誘っていたのだけれど
「今さらもういい」
返ってくるのはこんな返事ばかり。
高齢になり、ほどよく頭がほどけてきて、あまりあれこれ心配することがなくなってきたせいの心変わりかもしれない。
しかし、本当に行く気なら、どうしても譲れないことが1つだけある。
「園内では車椅子に乗ること!これだけは絶対に守ってね!」
母の眉がピクッ!と…、動くかと思いきや
「うん、わかった~」
んん?あっさり承諾。
日頃から車椅子なんか絶対乗らない!と豪語している母。
そんな母だけど、口には出さずとも、心の中では足腰の衰えを十分自覚していたのかもしれない。
早速娘夫婦に相談、あっという間に私達夫婦と母と5人分のチケット付きホテルを予約してくれた。
しかし!
驚いた~、ここ数年ご無沙汰している間に、ランドはすでに私の知っている昔のランドではなくなっていた。
20年くらい前だろうか。USJ開園当時、優先的にアトラクションに乗るにはさらにお金を払わなきゃいけない!と聞いて唖然とした。
なんでもお金ですか?世知辛い世の中になったもんだ~ヤダヤダと悲しい気持ちになったけど、ああ、ランドよ、ついにおまえもか…。
おまけにプレミアムパスにミレニアムパス、スタンバイパス…、パスだけでいったいいくつあるの?
横文字ばかりでババには全然覚えられません!
その違いもいまだに???です(´;ω;`)
さらにレストランは事前に予約が必要だと娘が言う。予約しておかないとかなり待たされる可能性があり、母のわずかな体力がムダに消費されるリスクが高い。
予約解禁時間に手の空いている者(娘夫婦と私)で、それぞれの端末からネットの予約画面にアクセス。
「取りあえず何でもどこでもいいから取りまくって!」
娘の指示のもと、どんどん枠が埋まっていく画面を睨みながら、訳も分からず予約を取る。重複して押さえても、取り消しは当日で大丈夫なんだそう。
はあ、疲れた~出かける前からすでにヘトヘト…
次は当日のタイムスケジュール。
「どこへ行きたい?」
と尋ねても、ランド未経験の母にはさすがに答えられるわけもなく、残る4人で事前に綿密なミーティングを重ねる。
まず母の壊れやすい身体状況を考慮してジェットコースター系は外す。強い精神的ダメージを受けやすいホラー系もしかり。無難なファンタジーランドから始めて、様子を見ながら多少刺激の強い物を試験的に挟み、その都度軌道修正していくという方向性で合意。
一通りの流れは一応決めたけど、母の体力が燃え尽きたところで潔くお開きにしようということも確認する。今回のランド訪問の最大の目的は、ランドに辿りつくこと、そして無事母を家に送り届けることに尽きるのだから。
大晦日の朝は生憎の雨。防寒用具の他に雨具まで用意しなけりゃならない。けっこうな大荷物。
7時過ぎに実家に着くと、母は朝ご飯を終え、身支度もほぼ整えていた。前日に紙に書いて置いてきたスケジュール表通りにちゃんと行動している。
7時半には予約していたタクシーが到着。駅に着いたら今度は電車。乗り換えホームのエレベータやエスカレータの位置は確認済みだから、すべて順調。雨以外は予定通りに進み、9時過ぎに無事ランド入口で全員集合!
ワールドバザールでまず車椅子を借りて、母にゴミ袋みたいにペラペラのポンチョを被せる。もっとごついのも持ってきたけど、小雨だったのでこの程度で充分。
目指すは定番イッツァスモールワールド!
娘たちがスマホで空き状況を確認しながらあっち!こっち!と道案内、さらに混みそうなアトラクションのパスも随時取ってくれる。予約しておいたレストランで休みつつ、娘たちのエスコートのもと効率よく回れ、終わってみればなんと13コもアトラクションを楽しめた。
雨もいつの間にか止み、夜のパレードも花火も寒さを感じずに堪能できた。
母が機嫌よく車椅子に乗ってくれたお蔭で(娘はこれを一番心配していた)、普段は存在すら知ることのない秘密のエレベータに乗れたり、バックヤードのような通路を通れたり、たまに車椅子専用席に案内してもらえたりで、娘夫婦はとてもコーフンしていた。
超小柄な母の体力が花火まで持つとは想定外だったが、ホテルに着くとさすがに疲れた様子。すぐにお風呂に入って寝てしまった。
心配だった翌朝はすっきり起きて、朝食バイキングをもりもり食べ、
「全然疲れてない」
と言うので、予定通り、お不動様と八幡様に寄る。元旦ということでさすがにビックリするほどの長蛇の列。参拝は諦めて、境内でなんちゃってお参りだけ済ませて帰宅。
その翌日はお節を持って実家へ。母は疲れたと言いつつも、普段通りに動けていて案外元気。私の方がかなりヘロヘロかも…やっぱり昭和ヒトケタは筋金入りだ。
嬉しそうにお節を頬張りながら
「夢みたいに楽しかった~」
と感動冷めやらぬ様子。
「今度はシーに行く?」
と聞くと
「もういい」
ときっぱり。
あはは、やっぱり老体には少々きつかったようです。
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