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【選挙に行く前に知っておきたい 経済のしくみ#3】 なぜ日本のGDPは成長しないのか
GDPが30年間成長しなかった国 日本
ジュース1本のお値段で、選挙における投票の重要な判断基準となる経済について学べるこのシリーズ。第3弾は皆さんもよく耳にするGDP(国内総生産)です。
第1弾でもデータでお見せしたように、過去30年間日本のGDPはほとんど成長しませんでした。こんな先進国は日本だけですし、世界全体で見ても日本より成長をしなかった国はわずか1カ国でした。詳しくは下記の記事をご参照ください。
国の経済力を測る指標はたくさんありますが、もっとも代表的なものがGDP(国内総生産)であることは言うまでもありません。我々が経済成長という場合も、GDPが前の期に比べてどれくらい伸びているかで判断をします。
GDPとは何か?
GDPとは国内で生産されたすべての付加価値の総額を指します。例えば原材料から消費者の手元に届く最終加工までがすべて国内で完結している商品があった場合には、GDPは下のグラフのように表せます。オレンジ色の部分の各生産段階での付加価値額を全部足しあげた100円がGDPとなります。仮に原材料を外国から輸入している製品であれば、原材料段階での付加価値は計算されず、AとBとCの段階の付加価値を足しあげた50円がGDPとなります。
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さてこのような概念のGDPですが、通常は下記のグラフのように各要素を足したり引いたりして算出されます。今回のクイズは、このGDPの構成要素でもっとも大きな割合を占めている項目は何かという問題です。
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AからDまでの選択肢を見て、「政府最終消費支出」や「民間最終消費支出」という言葉に、なぜ国内総生産という財やサービスを生産・販売する指標に、政府や民間の支出がといった消費や購入の項目が入っているのかと違和感をもった方は鋭いです。
ここで皆さんに覚えておいていただきたいのが、経済における三面等価の原則というものです。GDPは生産、分配、支出のいずれの側面から算出しても同じ金額になるということ経済学の原則で、生産活動で生み出される付加価値、雇用者への給与・報酬あるいは企業の利益などの形で行われる分配、分配された所得から個人、政府、企業が行う支出の、それぞれの合計金額は一致します。
同じような原則で言うと、政府の借金は国民の所得になるという事実が挙げられます。政府が国債を発行してまさか国庫にお金を積んでおくわけはりませんから、当然政府支出として民間への支払いや公務員への給与という形でお金が回ります。そして誰かの所得は次の消費という形で別の人の所得につながり、国内の総需要が喚起されて景気は良くなっていきます。このような事実を知っていても、政府の借金は国民の借金とでも言わんばかりの荒唐無稽な前提で悪質な記事を垂れ流すメディアは本当に罪深いです。この辺については、今後の記事で詳しく取り上げます。
クイズの答え合わせ
話を元に戻すと、先ほどの問題は支出面から見たGDPの構成比となります。 今回は無料部分で答え合わせをしてみましょう。実はGDPの50%以上を占める最大の項目はCの民間最終消費支出です。
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出所:内閣府「国民経済計算(GDP統計)」年次GDP実額データ
先ほどのGDPのグラフと同じものを、少し形を変えて表したのが図5になります。今度は100%積み上げ棒グラフではなく、シンプルな積み上げ棒グラフで表示しています。
このため、グラフの所々(特に2005年まで連続して)でマイナスの領域に「在庫増加」と「財貨・サービスの純輸出」という項目が表示されています。企業は仕入れた材料や商品、生産した製品を在庫として保有していますが、その増減額が「在庫増加」としてGDPに計上されます。また、財やサービスは海外に輸出されたり、逆に海外から輸入されたりしますが、その代金の受取り分を差し引きした金額が 「財貨・サービスの純輸出」として計上されます。「財貨・サービスの純輸出」がマイナスで表示されていれば、輸入が輸出を上回っているということになります。先ほどの図2の例を思い出してください。
さて、ここから本題の「なぜ日本のGDPは過去30年間成長しなかったか」の原因解明は有料パートとなります。今回も前回の実質賃金下落で主犯だったあの税金が出てきます。
繰り返しになりますが、当マガジンの仕組みの説明です。毎回記事の有料パートでは、テーマに関連した経済データとその見方をわかりやすく解説します。また1テーマごとに、記事内で使用した経済データとグラフの作成方法をわかりやすく解説した解説編をアップします。
解説編を読んでいただければ、皆さんでもご自身の目でデータを確認することができ、この先は自由自在にデータのアップデートや分析が可能となります。自分でデータを検証して。自律的に判断できる日本人が増えていくことで、日本が良い方向に進んでいくことができると信じて当マガジンを運営しておりますので、是非有料パートもよろしくお願いします。
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