踊ると演じるを纏って/ダンスWSの紹介
干城です。今回は、僕が今年の春から習い始めたダンスレッスン、WSの紹介です。そういうのの紹介にしては文字数多いですが、読み物として面白がってもらえたら幸いです。長いなと思ったら、ダンサー・高島昌冶の自己紹介ムーブだけでもぜひ。
はじめに(39歳のおっさんがダンスを習い始めたきっかけ)
今年の春ごろからダンスを習い始めた。というか、知り合った若いダンサー(高島昌冶。現在は友人関係で、マサヤと呼んでいる)にお願いをして少人数のレッスンをやってもらっている。フリースタイルのダンスレッスンだ。
僕はこれまでに、ダンサーさんによるWSにいくらか参加したことがある。僕が経験したのは、身体感覚とか舞台上にいるための身体などを磨くというような内容だったり、コンテンポラリー的な切り口で身体を操作するというような内容だった。舞台俳優に向けているようなものが多く、僕自身、俳優的な興味を目的としていて、踊れるようになりたいという憧れとか欲望で選んだりすることはなかったように思う。
去年、機会があって、マサヤの主催したWSに参加した。そこではダンスをマルチタスクという観点から捉えて踊るを立ち上げる、みたいなことをやっていた。(これは僕が受けて言葉にしたもので、マサヤが語れば異なる言い方になるのかもしれないが)ともかく、演技や俳優もマルチタスクと言われるけれど、直接的に身体でそれを感じられるのは面白い体験だったし、それに、ダンスってそういう捉え方もできるのかとか、そんなに言葉にできるものなのかとか、そういう驚きも大きかった。
そんなふうに、マサヤのWSを経て、俳優的な興味も持ちつつ、でもそれ以上に、何というか、直接的にダンスに触れたいと思うようになった。
彼のダンスは、むちゃくちゃすごいし、とても真似できないのだけれど、すごく筋力が必要とかすごく柔軟性が必要とか、そういう身体能力的な要求はあまり高くないように感じて、だから、これはもしかしたらダンス初心者の僕でも入りやすいんじゃないか、それにできるようになったら、とても楽しそうだなと思った。
そう、一人で踊っても楽しそうだなと思えた。それは僕にとってダンスを始める上で大きなことだったように思う。大人数で踊る機会はほとんど無さそうだったし、あと、振付を踊るのって、一人では楽しめなさそうで。
なんか今回こうやって色々と言葉にしてみると、僕はたぶんずっと、ほんとになんとなくだけど、何か、踊れるようになりたいと、どこかで感じていたんじゃないかなと思う。それに、彼に教えてもらえたら楽しく興味を持って続けられるんじゃないかと。
そんなわけで、定期的にレッスンをやってもらえないかなとお願いをした。
そうして、春からほぼ週1で続けてきて、全然まだまだ僕は踊れるってところには行けてないのだけど、このレッスンでやってること、かなり面白いよねと思っていて、でも今とか結構マサヤと1対1になることが多いし、だからもっとシェアしたいなと。
それで、レッスンで何をやってるかを単純に伝えたいと思ったのだけど、レッスンで語られることと、そのレッスンについて語ることは別もので、あんまり簡単に言葉にできない感じで。どうしたら良いかなぁと、そんなことをマサヤに話すと、彼も彼で難しさを感じていたようで。
じゃあいっそ好きに語って、がっつり記事にしてみては、という話になり、こうして今回ここでやることにした。
ダンサー・高島昌冶の自己紹介ムーブ
クロストーク
干城:
と、まあそんなこんなで、あえてざっくり始めるけど、どんなことをやってるんだろう?
レッスンのテーマ/「教えると発掘と実験」
マサヤ:
そもそもこう言った形で定期的に誰かにダンスを伝え始めたのが干城さんが初めてで、しかもご存知の通り干城さんは演劇人という事で、僕のダンスを伝える中で何個か僕の中でテーマを作ってレッスンしてます。試しに箇条書きで書き出してみます。
・ダンスと演劇をどう繋げるか
・単純に踊るっていう事を出来るようにしたい
・ダンスと違う世界で生きてきた人達にどう伝えるか
と、こんな感じで、意外に少なかったですが、これらは常に考えて行ってます。
恐らく、この後話すであろう事とも割と深く関係するんじゃないかなと思ってたりしてます。干城さんはどんな風に捉えているかとかも聞きたいです。「ダンスってなんかいいよね」って言うのが沢山伝わってくれれば嬉しいです。楽しいとか苦しいとかじゃなくて、なんかいいっていう部分。デジタルじゃなくて紙で読むマンガとか、なんかいいじゃないですか。それと一緒です。
干城さんにダンスを教えている時、僕もとてつもなく新しい感覚だったり考え方だったり、色々な刺激を実は受けていて、その演劇的な見方、考え方、干城さん個人の感性が僕のダンスに確実に変化を与えているんですよね。
なので変なこと言っちゃうと「教えると発掘と実験」の3つをしてる感覚でやってます。もちろん、テーマは前に書いた3つなんですけど。それとは別に。兎に角干城さんを観て、何を考えているのか、どんな風に体を動かしているのか、何が見えていて何が聞こえているのか。その逆も。
正直、僕が教えられる一般的なダンスの基礎なんてものはたかが知れていて、ダンスを習いたいだけなら他にもっと沢山いいレッスンはあると思います。あとは本当に俳優さんのための身体表現をレクチャーするためのダンスレッスンとかも。僕が干城さんとやってるのはそことは少し違くて。
まずは踊るってめちゃくちゃ簡単で、めちゃくちゃ難しいってのを僕のスキルと言葉で伝える事なんです。実際、技術的な所は春からやっていてほとんどリズムキープとアイソレの2つしかしてませんし。干城さんの成長が遅いからとかじゃ無いんですよ。むしろ逆で、干城さんの上達の速さは不器用な僕から見れば異常です笑
じゃあ他に何をしてるのかって言ったら僕が観て、干城さんと2人で考えて試す時間なんですよね。なので教えると発掘と実験で重ねると。簡単なスキルを教えて、僕が観てその中で干城さんを発掘して発掘したものを使って実験する流れです。個人レッスンじゃないと出来ないのでは? とも思いますが、3人くらいまでなら同時にできるので、この刺激をもう少し色んな人に味わって欲しいです。
干城:
僕の言葉にすると、「踊る」ってことのそのもの、根っこというか原液というか、そういうことにダイレクトに触れにいっている時間だと思う。今やっていることが振り付けを踊るっていう類のレッスンではないから、だからかな。
これは演劇的な言葉の使い方な気がするけど、「踊れる身体」を作っているような感じ。
マサヤ:
踊れる身体を作るですか。そう捉えてくれるのは僕としてはとても嬉しいですね。とはいえ、踊れるって何って話なんですけどね実際。当たり前ですけど、僕の踊れると干城さんの踊れると他の人の踊れるって多分全部違うんですよね。その人それぞれ違う踊れるに対して僕は何をどう伝えたら良いんだろうとかついつい考えてしまいます。
できる限りその人にとって必要な踊りの要素をピックアップして伝えたいんですよね。猫又先生(『ハイキュー!!』)の言葉を借りるならネットを下げてスパイクを打つ気持ちよさを味わって欲しいんですよ。きっとその気持ちよさって絶対色んな場面で役立つ気がしてます。ちなみに干城さんは今のところ気持ちよく踊れてますか?笑
気持ちよく踊る/快感や喜び
干城:
たしかにそれぞれの踊れるは違うのだろうけど、同時に、共通する部分もそれなりに多くあるんだろうと思ってる。これ別に当然のことを言ってるんだろうけど。「違う」の方にフォーカスするときと、「共通する」の方にフォーカスするときで、受け取るものは割と変わってくるような気がする。
「ネットを下げてスパイクを打つ気持ちよさ」っていいね。なるほどね。
僕は今のところ、気持ち良く踊れてるとは言えないなぁ。苦笑。
もちろん気持ち良い瞬間はちょいちょいある。それでオッケーでもあるんだろうし、そういうオッケーを積み重ねていくものだろうってのも多少は分かってるつもり。ただやっぱり常にというか、連続しなくて、それで、気持ち良く踊れてるとは言えない。
マサヤ:
気持ちいいの継続。ですね。僕自身もずっと気持ちいいは中々難しいです。ダンスって考えたり何かを意識すると一気に楽しくなくなりますよね。体に染み込むまでの時間が意外にかかるんです。加えてやればやるだけ新しい気付きとかが出てきて、1個の事から数え切れない情報が溢れてくる、、、。
逆に何も考えないで踊るってのもたまにするんですけど、僕の場合それはそれでそんなに楽しくないんですよね。瞬間的な快感は得られるんですけど、数学の問題を解いてる時みたいな快感は得られなくてなんか気持ち悪くなってきてしまうんですよね。これも人によるのかな?
でも僕は自分に枷を付けている方が楽しいので、レッスンでもなるべく枷を作るようにしてます。ほんとすみませんと思ってます。ある意味振り付けをやらないのは自由を与えたくないからなんだと思います。話逸れました。
気持ちよくないのは、ある意味欲が出てる証拠だと思うので、僕としてはダンスしてくれてるなぁ!って思えて嬉しかったりもします。もちろん気持ちよく踊ってくれるのも嬉しいです。両方嬉しいです。
干城:
マサヤのレッスンが面白いと僕が感じるのの1つには、ダンスが読解されてるってことがあって。あ、ダンスってこんなに言葉にして伝えられるものなんだ、っていう驚きがある。もちろん言葉が分かっても、僕がそれですぐに踊れるようになる、身体に落とし込めるってことはないんだけど、ただ真似するっていう方向からだけじゃない喜びがある。
マサヤ:
僕が言葉にしようとするのは、僕がダンス始めたての時にダンスの先生はYouTubeの中のダンサー達で、それを観て真似してたんですが、僕は不器用過ぎて、というか全くセンス無くていちいち分解して言葉にして理解しないと出来るようにならなくて、それが癖になってしまったと言うのもあるんです。
言葉にし過ぎるのも良くないと思うので、その内バランス良くレッスン出来る様になれればなと思ってます。ですがその結果言葉にするという、なんとも言えない失礼な気もしてしまう行為がダンスをする以外の目的を持っている人にもダンスを伝える機会に繋がってるのは嬉しくて、ダンスのセンス無くて良かったと思う所でもあります。
干城:
僕がダンス見てるのはかなり少ないと思うのだけど、そういうYouTubeとかを見て、真似できないし、そもそもダンスを立ち上げるってことを取り組もうとまで思えなかった。
まあ、ダンスをやっていこう、ダンサーになろうと思ってなかったから、っていうモチベーション的なことを言ってしまえばそれまでなんだけど。
ただダンスできるのっていいなとは思ってたし、でも基礎のレッスン動画とかステップとかを練習したいとは思えなかった、っていう。
というのも、それができてダンスってできるようになるの? っていうか、なんかダンスってものの全体像みたいなものが結局つかめないし、なんか喜びを見いだせなかったんだよね。
で、レッスンを受けるようになってからは、練習しようと思えるようになった。というのも、基礎的なこととかステップとかの技が活かせるってことが分かってきたからだし、そういう技術を増やしていけばダンスにつながるって感じられるようになったからなんだよね。つまり、ダンスとか踊るってことの全体像みたいなものが、なんとなく体感としてわかってきたように思えてる。それってとても大きなことだと思うんだ。
掘り下げる/伝える
あと、これまで僕はどうもダンスをただの身体の動きとして見ていて、たぶん音楽をほとんど聞いていなかったし、音楽との関係みたいなものをほとんど見ていなかったんだと思う。
レッスン続けてきて、最近になって、どうもそうだぞって気がついて、自分でびっくりした。
マサヤ:
ダンスってこういうものだよという伝え方はなるべくしたくないです。
僕の性格が融通効かないので、納得出来るまで自分の中で掘り下げたいですね。なので、何故これが必要なのかっていうところをあくまで僕なりですが伝えようとは努めてます。
何故リズムキープが必要なのか、何故ビートを感じないと踊りにくいのかとか。何故これが基礎なのかを僕はなるべく考えていきたい。そしてその考えてる事を細かくシェアしたら、僕の考えがダンスに限らず何かしらのきっかけになるかもしれない、とか少し思ったり。
結局、遅かれ早かれダンスって何?演劇って何?音楽って何?芸術って何?みたいな思考に誰でもなってくる訳ですから、何かを自分なりに掘り下げてみるっていう癖はつけて損は無いと思ってます。
僕のレッスンはあくまで対音楽で行ってる訳ですが、別にそれ以外でもいいんです。対空間、対人間、対自分、対色、対匂い。なんでも良いんです。ただ、最初は身体と何かは必要なのかなって思ってます。
レッスンでは分かりやすく音楽で、というか音楽と踊るっていうのをやっているだけで。音楽との関係って、恐らく表現の部分だと思うのですが、これも僕の持論で、ダンスって選択肢の1つなんです。何かを表現するための選択肢。踊って、それで何を表して何を残すか、何を救うのか、何を殺すのか。みたいな。音楽の場合、音楽がそもそも芸術だったりする訳ですが。音楽と踊りの前に音楽と音楽を聴いてる自分が存在する訳です。
その関係の中で何か色んな事を感じて、それを身体で表したり、踊ってアウトプットする。最初に重要なのは、身体の動きとか見た目じゃなくて、何故それに至ったのかの1歩目だと思うのです。
干城:
このやり取りで言葉にしてくれたことって、(このレッスンに限らずな部分もあるとは思うのだけど)基本的にはマサヤがこのレッスンを通して伝えたいこと、考えていることで、やっぱり週1で定期的かつ少人数、受けているのが演劇を主とした俳優、っていうような特徴があると思うのだけど、
例えばこのレッスンの一端を知れるような、単発のWSみたいなものをやってみるとしたら、どんなテーマでどんなことをやるのが考えられるだろう?
マサヤ:
WSをやるとしたらですか。テーマにするなら「一旦、とりあえず、おどってみませんか?」って言うのと、「じゃあ、踊るということを話そう」の2つですかね。身体を気持ちよく動かしながら音楽に揺られてみるWSが前者で、それを表現者がするために何が必要なのかの持論を話しながら身体使いながらやるのが後者です。もろ干城さんとやってる事の抜粋って感じですね。なんなら前半後半に分けて合計3時間位の地獄みたいなWSにしても楽しそうです。半分冗談ですけど。
WSのお知らせ
ということで、週1のレッスンと別枠で、WSを開催します。
高島昌冶 WS
『音楽を聴いて踊るに至るまで』~音楽を聴いて身体を動かしてみる~
【内容】
音楽を聴いてまずはゆらゆら揺れてみる/マルチタスク(体+音へのアプローチ)+α シングルタスク
「ビート、リズムについて遊びながら、メロディーやそのほか好きな音に対してアプローチする」という、文字にするとシンプルだけど上で語っているようなことを無理くりぎゅっと2時間に詰め込んだ、えげつない濃さのWSになりそうです。
【日時】
2023年11月18日(土曜)、21日(火曜)
19時~21時(両日とも同時刻、同内容。以下の条件も同様です)
【場所】
練馬区内(池袋から約20分)
詳細は参加者にのみお知らせします。
【定員】
4名
【参加費】
4,000円
【服装】
動きやすい服装。
内履き、シューズは無し。靴下で行います。
【受付締切】
開催前々日の24時まで。
【応募連絡】
インスタDM、またはメールにて。
@masayadanu
tttt.nohaneあっとまーくgmail.com
この企画noteの紹介や干城の記事はこちらから。
https://note.com/beyond_it_all/m/maca6d8d671c9