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史上最強の量質転化

ビジネス書グランプリ(https://business-book.jp/)なる企画が催されています。

マネジメント部門にエントリーされているのは『START UP』『世界標準の経営理論』『Who You Are』他、経営者やMBAの先輩方が読了・感想の発信をされていた基本的に納得(妥当)感のあるラインナップです。

この一冊を除いて

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もちろん私は読了済みです。

費用対効果という面では、とても素晴らしいものだったと思います。自宅郵便受けに投函されており投資コストは0円、内容は多少情報商材テイストでしたが『人を動かす』や『7つの習慣』で伝えられていたことを平易に書いて下さっている良書とも言えます。さらに郵便受けから回収後すぐ読了しすぐ売却したため、そのタイミングでの某古本取り扱いチェーンでは500円ほどの買取価格がついた覚えがあります。(その後投函地域の店舗では売却が殺到して値崩れし、現在は販売価格100円あるいはそれ以下で本書を見つけることができます)

質(コンテンツ)量(売却額-仕入れ額※0円)両面において費用対効果に優れた良い投資でした。

ポスティングについてはSNSなどで話題となっていたようですが、考えてみると実はかなり優れた戦略だったのではないかと思いました。

本書はバックエンドの経営者向けセミナーへのリード獲得を目的とした所謂フロントエンド商品(ノベルティ)ですが、私の住んでいた低家賃アパートにも投函されるなど適切なターゲティング配信ができていない広告のような印象を当時は持ちました。

しかし、本書でビジネス書グランプリにエントリーしてきたことからこの無差別ポスティングを再考すると、

第一段階(都内のみ?):ポスティングでリーチした経営者のCV

第二段階(全国):読者「数」で優位な状態でグランプリを進め、全国書店で展開される受賞フェアに、獲得したい読者「層」にヒットする他ノミネート書籍とともに並べることによりリーチする経営者のCV

という第二段階まで見据えたCV最大化の仕込みが推察されます。

このグランプリは

・2019年12月から2020年11月の間に日本国内で刊行された書籍が対象

・出版社が1書籍10,000円でエントリーできる

・読者(誰でも参加でき、持ち票は同一書籍への複数票不可で3票)が投票し、最多得票を得た書籍がビジネスパーソンが「読むべき本」という称号で表彰される

というルールであるため、書籍の「質」以上に、出版年度中に認知された「量」が多い状態でエントリーしたものが圧倒的に有利と言えます。

もちろん、
リーチ数>読者>投票に参加する読者>『史上最強のCEO』に投票する読者

と数は小さくなっていくものの、分母の分母の分母となるリーチ数のボリュームは最小でも都内の郵便受けの数に匹敵すると考えるならば恐ろしいものではないでしょうか。またリーチを最大にした状態でエントリーしてもかかるコストは10,000円です。

最も素晴らしい書籍が「読むべき本」なのではなく、最も読まれた書籍が「読むべき本」。

強いものが勝つのではない、勝ったものが強いのだ。人はそれを「正義」と呼ぶ。

史上、いや市場最強のCEO、キャッシュイズキング。

..と、本書を繰り出したフローラル出版を称えましたが、果たして結果はどうなるでしょうか。

この大会はコンテンツ(書籍)が勝つのか、チャネル(流通)が勝つのかという観点でも非常に興味深いです。

なお真に市場最強なのは、広義の出版業界における後発組ながら大会を催し権威として出版社や書籍を評価する側に回っているflierだと思います。



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