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価値は伝えるもの、意味は感じるもの

「感情で食べている」

これはマーケターの関橋英作氏がハーゲンダッツのブランディングを手掛ける際、アイスクリームを楽しむ女性へのアンケート調査から発見したインサイトだったそうです。

アイスクリームは他のお菓子とは違う食べ物、心までも幸せな気分にしてくれるものという消費者インサイトから「おとなの男女の究極の愉しみ」というクリエイティブを生み出し、お菓子というジャンルからハーゲンダッツを独立させたのでした。

実は私はwebの広告代理店に勤務しているのですが、この度ブランディングについてご提案を実施する機会を頂いたため、勉強内容のまとめとして執筆させていただきます。

認知されているだけでは過当競争から逃れられない

断定的になりましたが、Googleトレンド,YahooDSインサイト他を見ていて思うところでした。

消費者はカテゴリーごとにショピングリストを頭の中に作り、購買意思決定を行うとされています。通常3~5の商品ブランドがリストに入り、それらが比較検討のテーブルに載っている状態と言えます。リストの上位ほど絆が強く、優先して選択されやすくなります。

しかし、リストの最上位になったとしても、競争からは逃れられないことを表しているのが以下です。

キャプチャ

とある業界でトップティアのカテゴリに属するものを抽出したもので、圧倒的シェア1位サービス(青)、2位3位グループのサービス(赤・黄)、後続サービス(緑)のGoogle指名検索トレンド推移となっています。

3位黄が何度か認知プロモーションを実施しており、そのたびに検索を伸ばし逆転も視野に入っている状態です。

しかし、仮にプロモーションを強化してもこの業界で独走することはできない可能性が高いのではないでしょうか?

なぜなら黄の検索ボリュームが伸びるタイミングで、青・赤もそれぞれ追随して伸びる傾向にあるからです。黄の検索の後、青→赤と検討を行っている状態と示唆されます。すなわち、同カテゴリ内のショッピングリストの序列争いでは、比較段階で優先的に検討してもらえるようになるのみであり、オンリーワンとして地位を築くことはできないということです。

逆に4位緑は黄、青、赤3者が追随して伸びている状況下で指名検索を伸ばせていないため、ユーザーのショッピングリストに入りきれていない状況と言えます。

緑がこの業界でナンバーワンとなるために取る施策は、

①認知プロモーションを実施し、序列を上げる(検討テーブルに載せる)

②カテゴリーから逃れる

のどちらかになります。


意味は「間」に生まれるもの

過当競争から逃れるためには、ユーザーから他と同一の基準で比較検討されない状態を作る必要があります。

これはすなわち、「意味」を作るということなのではないかと思います

少し話はそれますが、新卒採用選考において、学歴の差は同一基準で比較しやすいもの、「学生時代に力を入れたこと」の差は同一基準で比較されにくいものと言えます。

しかし、「学生時代に力を入れたこと」の部分でも、バイトリーダーとしてまとめ上げたメンバーの人数、海外留学に行っていた期間、建てた学校の数などは複数の学生間で同一基準での比較が可能な要素となります。

つまり、定量的に突出した数字を持っていない場合(または持っていたとしても競争相手がいる限り)は、採用の決め手にはなりえないということではないでしょうか。

逆に、バイトリーダーとしてメンバーをまとめ上げる過程での努力・創意工夫といったストーリーは、同一基準で比較できないものの「意味」が存在するものではないでしょうか。それは担当者が共感した場合、採用の決め手となりうるからです。

消費者の購買活動に話を戻すと、商品のメリット訴求では比較検討の余地を残す一方で、商品そのものに「意味」がある場合には、消費者の共感によって即決買いされるということです。

そしてその「意味」とは、ブランドが一方的に訴求するものではなく、消費者がブランドのストーリーから感じるものであり、ブランドと消費者の「間」に醸成されるものであるというのが私の考えです。


機能は存在価値、ブランドは存在意味

ここまでまとめると、広告訴求するべきは機能による優位性や買うことで得るベネフィットであり、関係を築くために大切なのはストーリーを語るということではないでしょうか。

価値は交換されるものですが、意味は交換できないものです。価値のあるものはより上位のものにリプレイスされていきますが、意味のあるものは残っていくということでしょう。

ブランドがストーリーを語り、消費者との間に意味を作ることができれば、認知されている状態からブランドが確立されている状態へと前進することができます。ブランドが確立されれば、競合に振り回されずに本当に届けたい価値を届けたい人に作っていくことができるでしょう。

売上は商品を通した共感の総量、利益は市場から与えられた自由

という言葉が好きですが、

ブランドとは

共感者から与えられた自由であるとともに、共感者に対して果たす使命

ではないかと思うところでした。


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