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NOPE感想【ネタバレめっちゃあり】

久しぶりに、映画館で予告編を見て「何これ!?面白そう!絶対に見る!」と思った作品です。

映画って、一度行くと予告編を見て行きたいなと思い続けていきますよね。

それはさておき。

『NOPE』ですよ!

何か得体の知れない敵と戦うのだと思ってたけど、最後まで得体が知れないのがたまりません。

見えない…見てはいけない敵と戦うのは、特に何かの能力に長けているわけでもない、それでも自分達の知識と技術とお金への執着心で戦い続ける人たち。

お兄ちゃんのOJは、最初はお金目的での撮影に否定的だったのに、最終的には一番ノリノリで、逃げ腰となった2人に喝を入れ、ラストには(特に何もしていないのに)馬に跨り、バーン!と誇らしげに現れるのが大好きです。

何もしてないわけじゃないんだけど、なんていうか…頑張って写真撮ったの妹じゃん?

その妹なんですが、器用で愛嬌もあるから、いろんなことができちゃうんだけど、なにか一つ突出した才能があるわけではなくて足掻いている感じがリアルで怖いですね。

完全に巻き込まれもらい事故なんだけど、自分から巻き込まれに行ったショップ店員のエンジェル。一番の怖がりで、妹のエメラルドと2人して自室で現実逃避のゲームしているところも含めて、決してヒーロー的な存在にならなかった辺り、すごいなと思いました。
大抵、彼のような登場の仕方をしたら、余計な口出しをして敵にやられるか、身を挺して主人公を守るじゃないですか?それが、めっちゃビビりマンなんですよ。暗いとこで仕事してて、同僚に声をかけられてヒッ!って驚くほどのビビりなんですよ。
でも、そう考えると、クライマックスではめっちゃ頑張ったな!グッジョブ!

そして、なんと言ってもカメラマンのホルスト!
最初からこだわりがありすぎてめんどくさそうな撮影カメラマンのオーラで登場して、この人絶対に後で出てくるでしょ!?と思ったら案の定。
でも、最終的に役に立ったのは本人じゃなくてカメラだったというオチに驚きです。
彼が救世主となると思ってたら、最高のキチガイ(褒めてる)で驚きだけど、ラスト近くではホルストが大好きになってました。
きっと、彼は、誰も感じたことのない多幸感の中で死んでいったと思います。
羨ましくもあります。

ちょっと話がそれますが、例えば『ブラック・スワン』とか『レスラー』って、自分のやりたいことをやり続けて、叶えて死に向かっていきますよね。それって、私はハッピーエンドだと思っているんですよ。
周りは悲しいかもしれないけど、本人は幸せなラストだと思っています。

閑話休題。

そういうわけで、ホルストは幸せな死に方だなと思うのです。

元子役リッキーの歪んだ人生は、気の毒以外の表現が見つからない。
でも、ああして生きていくことしか出来なかったのだと思う。

私は、2度目をIMAXで見たのですけど、その時には普通のスクリーンで見るよりも、ずっとずっとゴーディの目が怖かった。
こちら(リッキー)を見るゴーディは、リッキーをどう思っていたのか。仲間?友達?兄弟?
私には「こいつは…どちらの仲間だ?白人か?こいつもやっちゃう!?…俺の仲間だよなぁ。だって白人じゃないし。」って思ってるように見えました。

この『ゴーディ 家に帰る』の事件がなぜこの映画に登場するのかを色々と考察している記事も見かけました。沢山ありすぎて、どれを読んだらいいのかわからないから読んでません(笑)。

そろそろ、読もうかな…

それはさておき。

映画を見ている時は、リッキー=ジュープが西部劇のテーマパークをという、街から離れた、だだっ広い環境でショーをして、UFOを操るのに失敗した阿鼻叫喚の地獄絵図を監督が見せたいからかなと思ってたんですが、考えれば考えるほど恐ろしくなってきました。

まずは『ゴーディ 家に帰る』の家族について。
白人一家の中に存在する唯一のアジア人
なんでアジア人が白人夫婦の子供として存在しているのか。それに関しては描かれていないので、ずっと疑問のままです。
一方、ゴーディは一家と共に生活するチンパンジー。彼が自分を家族の一員だと思っていた上に、白人家族の中では自分とリッキーだけが違うんだと思っていたとしたら?
それであれば、あの状況でも襲わずにグータッチをしたのが理解できます。
劇中の家族だとわかるのは人間だけで、チンパンジーが果たしてそこまで理解できていたのかどうか…というのは置いておいて。

そういった経験をしたリッキーがまともに育つはずがない。
そんな彼は、一体何をしたかったのでしょうか。なぜ、UFOを操ろうとしたのでしょうか。

なんて書くと、色々と考察しそうでしょ?
しないから(笑)
だって、私にとってのリッキーは「壮絶な体験をした子役が、演技よりもその経験込みで興味を持たれ、やがて自分の演技など見ていない大人たちに気がつき、世界に絶望し、UFOと出会い、未知の物体を使いこなすことにより自分の実力以上の出し物を見せて、チヤホヤされたかったし、自分を見せ物として扱っていた大人たちへの復讐で、俺はこんなにすごいんじゃーい!と意気込んでたけど失敗して食べられちゃった」だけですから。

冒頭の馬の目。ゴーディの目。OJの目。それらに共通するものは!?などと考えてみたのですが、それらを考えたのは映画鑑賞後。鑑賞中は、もっぱらハラハラドキドキで、そんなこと冷静に考えられませんでしたよ!
怖かったよ!
IMAXで見てみぃ!
吸い込まれて、中でぐちゃぐちゃされるシーンなんか、もう自分もUFOの中にいて襲われているみたいだよ!臨場感ハンパないから!おしっこちびりそうだよ!でも、それを味わいたくてIMAXで見に行ったよ!悪い!?文句ある?喧嘩売ってんのか!?(誰も売ってない)

え?なんか私、めっちゃ長く書いてない?大丈夫?
みんなついてきてくれてる?
そろそろ飽きてきた!?

そんなわけないよね!みんな『NOPE』に関しては、三日三晩語り合いたいよね?こんなの序の口だよね?

マイノリティとマジョリティの話とか、きっといろんな人がまともなこと書いてると思うからそっち読んでください。
私は、まだまだこのまま、突っ走りますよ。

この映画、見た直後に友人になんて説明したらいいんだろう。どこまで話をしていいんだろう…でも、ほんとみんなに見てほしいと、とても悩みました。

鑑賞直後のツイッターでは
「久しぶりに映画館で恐怖心を感じた。でもめっちゃ笑ったりもする。生きる事と生き抜く事の違いを見た気がする。そして彼らの生き抜く事の根本がブレてない、その根性に脱帽」って書いてましたね。

この時の「生きる事」とは「UFOの食事」であり、「生き抜く事」は「食っていくために一攫千金狙って、命懸けでUFOの写真を撮ろうとする人間」です。

今でも、その感想は変わらないかなぁ。

他にも、バイクで来た新聞記者の事故後の姿が、チューブマン(空気でグネグネ動く人形)みたいでおかしかったり、「金よりも、この牧場の経営者として馬を愛してる」という結果になるかと思ったら、めちゃめちゃ守銭奴と化したお兄ちゃんとか、撮影の時に妹が来ないと何も言えなかったのにいつの間にか場を仕切っているお兄ちゃんとか、他人の写真に映り込んじゃう妹とか(まぁこれはのちにとても重要になるけど)、とにかく登場人物全てを好きになってしまいました。

UFOだってさー、ただお腹が空いただけなんだよ。それなのに、変なもん食べさしたりして、人間ムカつく!

と、最終的には、いつもの「怪獣や怪物の味方」になってしまうんですよね。マイノリティとしての怪獣たちに共感…は!そういうことじゃん!?
※多分違う。絶対違う。

てかさ!この映画、まさに「生馬の目を抜く戦いの映画」だったんじゃない!?ポスターも馬の目だしさ!

なんてことを言いつつ、久しぶりにシャマランの『サイン』でも見ようかなと思ったBettyでした。

おしまい。

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