記事一覧
ボロット第二部第一話「交通事故と死」
桜花大学のキャンパスには全部で12棟の建物があったが、大学に通う4年間にすべての校舎に入館する機会はあるだろうか。それぞれの建物には1から18までの番号が振られている。駅を降りた玉神響が向かったのはそのうちの17号館だった。
響は建物の入り口から入って右手にあるエレベータで4階に上がると、左手奥の「17403」と番号が割り振られた教室に入った。今から「計算アルゴリズム(前期)」の講義がある。受講
ボロット物語 もくじ
白い直方体だけでできた世界で目覚めたボロットは、目覚めるたびに変化する世界に戸惑いながらも、世界に対する観察力を研ぎ澄ますことで、世界に対して干渉できる「第6の力」を自由に操れるようになる。
第一話「二度目のハジメマシテ」
https://note.com/bettergin/n/n769a3cd8465b
第二話「箱と箱」
https://note.com/bettergin/n/n08b0
ボロット第三話「なにもなくもないのに」
窓から聞こえる音はその後も鳴り続けている。
その音は、やはり何かを僕に伝えたがっているとしか考えられない程度に熱意を持ち、大事だと主張するフレーズを繰り返しながら、しかし僕が言語として認識するには程遠い無機的で調和のないノイズでもあった。
この病室には時計がない。一体どのくらいの間、僕はその音を聞き、そこから得られる意味を探し続けているのかわからない。音は鳴り続けている。それは僕の耳を通じて、
ボロット第二話「箱と箱」
物体の性質理論。
この平面的で無機質な病室は、箱だ。
いや、この世界全てが箱でできているんじゃないかとさえ思えてしまう。
世界は箱。なんの違和感があるだろう?
古代の人々が地球平面説を唱えていたように、僕は地球箱説を唱えるのだ。
ただ「箱の世界」で生きる。
それが僕の役割なのだろうか?
……そういえば最近、あの窓から声が聞こえる。
いや、声ではないのかもしれない。
ただ僕の耳に繋がりをもった音
ボロット第一話「二度目のハジメマシテ」
なんでそういう形になるのかな?
一瞬一瞬の光がまたたく合間に見える隙間を通じてその形がその形を変え、変えたのちに、また元の形に戻る、その連続が一つの形であって、時の経過とともに変容するその形の全体を捉える難しさを超えたところに、この世界から新しい世界へと飛び立つ者たちの思いは収斂されていった。
昼間。
セミの声。
夏祭り。
子供たち。
大人たち。
とは関係ないところに僕は一人、ただ天