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ウーマノミクス:職場環境の多様さを踏まえて

「ウーマノミクス」という言葉をご存知でしょうか?
二つの言葉が組み合わさって作られているとお気付きでしょう。

これは、”ウーマン”(女性)と”エコノミクス”(経済)を組み合わせた言葉で、今年いっぱいでゴールドマン・サックスを退社するキャシー・松井氏が提唱したものです。

女性が社会で活躍できる環境を作り、経済活動の活性化につなげていこうとする考え方を指します。

ここで、日本経済新聞の2020年11月17日朝刊の記事に興味深い記事がありましたので、簡単にまとめてみます。

これまで男性が社会的優位な立場にあり、企業の取締役には全員が男性で構成されることが当たり前の時代が長く続いていた。
こうした中で、マッキンゼーによる世界調査において、取締役に女性を登用することによる企業の影響を明らかにしている。
女性の幹部登用に積極的な企業の最上位25%と最下位の25%を比較したところ、2019年の利益率が全体平均を上回る確率は【女性登用に積極的な企業】がそうでない企業より25%も高かった。
さらにエスニック・ダイバーシティー(民族性からみた取締役会の多様性)と利益率の関係においては、【積極的に取締役会の民族多様性を推進する企業】最上位25%は、そうでない企業よりも2019年に全体平均を上回る確率が36%も高い水準だった。
企業経営において、これまでは男性経営陣で構成されてきたものが、社会のグローバル化・多様化により様々な企業を取り巻く”ステークホルダー”への対応が求められ始めており、そうした対応に対する新たな視点として女性幹部の存在に着目されるようになっている。

いかがでしょうか。
女性が企業の経営陣として参画している企業は、そうでない企業に比べて利益率に肯定的な影響を受けていると考えることができそうです。
企業経営に女性が携わることで、女性ならではの視点が入ることにより、経営方針に多様性が生まれ、結果として利益獲得につながっているのかもしれません。

また、エスニック・ダイバーシティーとは先に示した通り、民族性からみた取締役会の多様性を指します。
取締役会に同一国出身人物だけでなく、他国出身者も含まれていることを表します。
例えば日本企業の取締役会に日本人だけでなく、日本国外の人々も取締役に選任されているものです。

こうした企業でも、様々な国の出身者が持つ価値観や視点が企業経営における多様性や創造性に大きな影響を与え、利益に結びついている可能性が考えられるかと思います。

こうした背景を踏まえ、人材育成の場である教育界・学校で何が求められるでしょうか?
単純に、学力、社会人基礎力の育成に励み仕事に活かせる資質を磨くだけでは足りませんね。
社会は女性の社会参画を目指していますが、依然として現場レベルでは既存の労働文化が根付いているのも事実です。

そのような職場環境・社会環境の中で、女性が働いてくための心理的スキルの獲得も非常に重要です。
そして何より一番に取り組んでいく必要がるのは、男女平等な集団形成の文化造成のため、性差による男女差に関する理解を男性側にもっと深めていくよう促す必要があるのではないでしょうか。

学校という現場は多様なようでも実際は均一的で、閉ざされた環境です。
似たような人たちの集まりの中では、職場環境下での対人スキルを磨こうと思っても、学校内と職場環境には違いがあり、ただ学校生活を営むだけでは難しいのではないかと思います。

そのため、指導する教員や指導者は、意図的にこうした性差や国籍に囚われない多様な環境下においてスムーズに対応していけるスキルを身に付けられるよう指導していく必要があります。
こうした社会の変化を見据えた、長期的視野に立った視点も大事にしながら、教育を考える必要があると思わされた記事でした。

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渡辺 裕也
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