渡辺 裕也

大学教員(講師)。博士課程満期退学(体育科学修士)。専門はコーチング学(体育方法学)。…

渡辺 裕也

大学教員(講師)。博士課程満期退学(体育科学修士)。専門はコーチング学(体育方法学)。3年間の大手ビジネスホテルチェーン勤務を経て大学教員へ転職。小学校から大学まで野球部に所属し、大学では学生コーチとして全国大会出場。高校地歴・公民科教員免許所持。アスリートセンタードコーチング。

最近の記事

コーチに求められる知識①「専門的知識」

前回の記事では、CoteとGilbertによる2009年の論文から、コーチングにおける「専門的知識」「対他者知識」「対自己知識」の3つの知識をご紹介しました。今回は、その中から「専門的知識」に焦点を当てて掘り下げていきたいと思います。 スポーツ選手の競技力向上を目指す際、コーチとして最も重要なのは、よく「技術」と呼んでいる運動動作を的確に伝えることです。この「技術」には、言葉で表現して伝わるものだけでなく、いわゆる「コツ」や「感覚」といった感覚知も含まれます。これら「技術」

    • より良い指導を考える:指導者が持つべき知識について

      はじめに より良い指導を考える上で、今回は指導者が持つべき知識に注目してみたいと思います。2009年にスポーツコーチング学の先駆者であるCôté氏とGilbert氏の両研究者は、多くのコーチングに関する論文をレビューし、指導者が持つべき知識として「専門的知識」「対他者知識」「対自己知識」の3つに整理しました。 専門的知識 「専門的知識」とは、スポーツの技術、戦術、ルールといった、普段選手に指導している内容そのものです。多くの指導者はこの「専門的知識」を高めようと日々努め

      • 高校野球部員の調査が明らかにした、理想の指導者像とは?

        スポーツにおける理想の指導者像を考える際、まずは選手の視点を知ることが重要です。2018年に報告された直井らの調査(第二著者で私も研究に関わりました)は、高校野球部員を対象に、彼らが考える「教わりたい指導者像」を探りました。その結果、選手たちが求める指導者像が浮き彫りになりました。 選手が求める指導者の条件 高校球児が考える理想の指導者は、競技力を高める確かな指導力を持ちつつ、次のような特徴を持っています。 明るさや愛情を持って接する 選手の主体性を支援する 親密な

        • 大学教員3年目の抱負

          今の大学に採用していただき、3年目に突入しました! 今年度の辞令があり、助教から講師に昇進しました^ ^ 大学の世界はざっくりいうと、助手→助教→講師→准教授→教授というステップで職位が上がります。 そこに、だいたい助教までは特任、任期付、嘱託などの雇用形態がついてまわります。 講師はよく非常勤講師と混同されがちですが、助教の次のステップ。 研究面や教学面で自立し独り立ちした証です。 職位に見合う仕事が出来るよう、大学教育に励んでいきたいと思います! 今年は担当するゼ

        コーチに求められる知識①「専門的知識」

          大学教員2年目の振り返り

          しばらく記事を書いていなかったので、アウトプットの習慣のためにもコツコツ再開したい。 ひとまずは2023年度がもうすぐで終了ですので、今年度を振り返ってみたいと思います。 2023年度は大学教員2年目。 だいぶ大学の世界も慣れて来ました。 仕事としてはスポーツ科学系の教学、校務としてキャリアセンターの担当が決まり、授業の合間は就職相談や面接練習等。 朝9時から面談が始まり、夕方18時頃まで授業か面談かという日々でした。 自分の仕事は18時からやっと始まるというようなバ

          大学教員2年目の振り返り

          大学教員として半期が終了しました

          皆さんこんにちは。 今年4月に大学教員になって約5ヶ月経ちました。月日が経つのもあっという間です。なんだかんだで、春学期の講義と定期テストが終わり、成績登録も終わってひと段落したところです。 とはいっても、秋学期の講義に向けて授業準備をしたりしなくてはなりませんので、夏休みといえどそんなに気を抜いてはいられませんね。 春学期の主な仕事といえば、授業をすること、各委員会の活動、4年生のゼミ生の就職支援、1年生ゼミ生の学習支援、などといったところでしょうか。 それに加えて、

          大学教員として半期が終了しました

          教育現場で起きた「指導死」から考える研修会を行いました

          先月の7月19日火曜日に、生徒指導に起因した子どもの自殺・「指導死」をテーマにした特別授業を実施しました。 私が春学期に担当していた「スポーツ指導論」の授業の一環として実施し、受講生だけでなく学内の学生・教職員の参加もありました。 さて、みなさんは「指導死」という言葉はご存知でしょうか? 「指導死」とは、学校現場において教師の行き過ぎた生徒指導がきっかけとなった子どもの自殺をさす言葉です。 この特別授業は、スポーツ指導論のシラバス上の一コマ、「スポーツ現場の課題、部活

          教育現場で起きた「指導死」から考える研修会を行いました

          オンライン授業の見えないところでの素晴らしい助け合い

          新年度が始まって一ヶ月が経ち、大学の授業も4週目が過ぎました。 学生たちも新年度のスタートの忙しなさから、少しずつ落ち着いてきた頃かと思います。 私が勤める大学では、オンライン授業と対面授業を組み合わせたハイブリッド式で授業を行なっています。 新入生である1年生は、慣れないオンライン授業へのアクセス方法もだいぶ慣れてきている様子です。 とは言えど、初めのうちはやはりうまくアクセス出来ずに困っていた学生もいたようです。この間、私の担当のあるオンライン授業でとても良いな!と思

          オンライン授業の見えないところでの素晴らしい助け合い

          「お客様に育てられる」というホテル業界で働いていて感じた仕事の魅力

          ホテリエ(ホテルマン)をしていた頃、仕事のやりがい・魅力ってなんだろうとふと考えたことがある。 おそらく誰しもが、自らの仕事について少なからず考えたことはきっとあるだろう。 世間一般的に言われている仕事のやりがいや魅力は、今ではネットで探せばいくらでも知ることができる。 でもそれは、ある意味その業界の多くの人たちが感じていたことの集約の中から共通項を見出した平均値的なものだったりする。 うんうん。確かに。と思うことだらけだが、個々の現場のコンテクスト(文脈)の中にあるエ

          「お客様に育てられる」というホテル業界で働いていて感じた仕事の魅力

          自分の可能性を信じ”ぬく”ことを語っていきたい

          「自分自身の可能性を信じぬくこと」 これって結構その時々に自分が置かれた環境によっては、とても難しい。私自身も実際に経験して感じている。 高校から大学、大学から大学院修士課程までは、一貫して将来は「高校野球の指導者になるんだ!」と明確な目標を持ち、その実現に向けて努力してきたつもりだ。 しかし、博士課程に進学してから、経済的理由から民間企業で働くことにした。結果的にそのことが、今の自分にとってはかけがえのない財産になっているのだが、当時の自分自身は少しネガティブに捉えて

          自分の可能性を信じ”ぬく”ことを語っていきたい

          大学院進学を決めたことを振り返ってみて〜先生の一言と自己実現〜

          最初に教員になりたいと思い始めたのは、いつだったかはっきりとは覚えていない。中学生の頃は、「防衛大学校に入って海上自衛官になりたい」と強く思っていた記憶がある。中学の時の野球部の顧問の先生には、「お前は指導者が向いている.教員になれ。」とはっきりと言われたが、いまいちその時はピンときていなかった。 教員になろうと固く決心したタイミングはボヤッとしているが、明確に今に至るまでの筋道を決めた瞬間の記憶は、高校の時にお世話になった野球部の部長先生の一言。 「大学院でもう一回やり

          大学院進学を決めたことを振り返ってみて〜先生の一言と自己実現〜

          本業、大学教員。副業、高校と中学の講師。

          学校の先生と言っても、校種にはいろいろな種類があります。 法律で定められている”学校”には、さまざまな種類があります。 そしてそこで働く先生たちは、いわゆる専門職という立ち位置に位置づけられています。 学校で働くには、教員免許が必要です。 ただ、大学は免許などの資格は必要がなく、その代わりに大学院を出て優れた研究能力を有しているか、もしくは民間企業など実業界で実績を積んだその道のプロ、といった専門性が必要になります。 当たり前ですが、学校はこうやって法によって体系化されて

          本業、大学教員。副業、高校と中学の講師。

          仕事の進め方を掴む新年度が始まった10日間

          「こんにちは!」 「お疲れ様です!」 「good afternoon!」 先週より大学の授業が始まり、学生がキャンパス内に来校するようになって活気あふれる雰囲気になってきました。 留学生も多数在学する国際色豊かな本学は、挨拶ひとつとってもいろいろな挨拶が聞こえてきます。 グローバルな社会に変化する中で、国内のそれも日常的に過ごす場所である大学内で、日本国内だけでなく海外から勉学に励むために来日した学生たち と一緒に過ごすことは、とても良い経験や学びが得られると思います。

          仕事の進め方を掴む新年度が始まった10日間

          大学教員としての新生活が始まりました

          昨日4月1日づけで、日本経済大学 経済学部健康スポーツ経営学科に助教として着任しました。 いよいよ、大学教員としてのキャリアがスタートです。 早速、広い研究室をいただいたので机の配置などをアレンジしました。 学生が気軽に立ち寄れて、学び合いのコミュニティになればと思い、それを意識した配置にしました。 研究室は第二の家になるので(笑)、少しずつ環境整備していきます。 これまでは、3年間大手ビジネスホテルチェーンでホテルマン(ホテリエ)として働いてきましたが、今回の転職(就職

          大学教員としての新生活が始まりました

          アカデミアへの就職が決まりました

          いつも私の投稿をご覧くださいましてありがとうございます。 この度、博士後期課程の最終年次を終え、4月から都築育英学園 日本経済大学で助教として働くことになりました。 所属は経済学部 健康スポーツ経営学科で、スポーツ科学系教員としてコーチ学を専門に研究と大学教育に携わります。 大学院は最終年を迎え満期退学をしますが、大学で勤務しながら引き続き博士論文の執筆を進めて博士号取得を目指すつもりです。 なかなか大学への就職は門戸が狭く難しいと言われますが、教員として働くことができる

          アカデミアへの就職が決まりました

          進路設計を振り返ってみたところ・・・

          新年明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 昨年はほとんど投稿できていませんでしたが、今年はコツコツ投稿していきたいと思っています。 年をまたぐにつれ、一つの節目として過去を振り返ったりするわけですが、今年は高校生の頃に描いた進路設計をふと思い返していました。 学生野球の指導者になりたいと志した私は・・・高校生の頃、将来学生野球の指導者になりたいと志した私は、 ・元プロの指導者が指導して全国に出れる大学野球部に学生コーチとして入り、高い野球の

          進路設計を振り返ってみたところ・・・