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消毒という業務もタイミングを考えて行わなければねっていう話

今回は私のホテルマンとしての仕事におけるお話。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、ホテルにおいても館内の消毒作業を徹底して行っています。
その中で、もともとフロントのデスクに設置しているペン(お客様がチェックインの際などに使用していただくもの)も、据え置きだったものをやめて、複数のボールペンを用意しています。
そして”消毒済み”のケースに入っているペンをお客様にはご利用いただき、使用後は”使用済み”のケースにおさめていただくようにしています。

ホテルスタッフは、使用済みのペンがあれば都度消毒作業を行い、”消毒済み”のケースへ移して…という作業を繰り返しながらチェックインを進めていきます。

ホテルは、宿泊施設ですので、言葉を変えれば滞在中のお客様にとっては家に代わる場所となります。
そのため、一層感染症予防対策については気にされる方が多いのではないでしょうか。
お客様に安心・安全のサービスを提供するためにも、出来る限りの対策を講じていく必要がホテルには求められます。

そんな中、あるスタッフの行動が気になることがありました。

私たちのホテルでは、フロントデスクで予約確認を行った後、自動精算機で精算をしていただいています。
あるスタッフは、お客様にレジストレーションカード(チェックインの際に名前などを記入する用紙)の記入をしていただいた後に、自動精算機で精算をお願いしていましたが、精算の手続き中にそのお客様が利用されたペンの消毒作業をしていました。

何気なく行った消毒作業ではありますが、いざお客様の目線に立ってみると、あまり気分がいいものではないように思います。
まるで自分が触ったことで汚くしたというように思われてしまうかもしれません。

この場合は、お客様がお部屋へ向かわれた後に消毒する、もしくはお客様の目の届かない場所で消毒するといった配慮が必要かと思います。
常にホテルマンの行動はお客様に見られているという自覚を持ち、ある一つの行動でお客様にがっかりさせてしまうことがあるということを意識するべきです。

そのため、お客様の視点に立って考えること、お客様が望まれていることを深読みする習慣を持っておくことが大切といえるでしょう。

もちろん、消毒をする姿も、感染症予防に対する安心をお客様に感じていただけることでもあります。
多くの人の手に触れる精算機を消毒している姿を見ると、安心して利用できるでしょう。

しかし、それはT.P.O.に応じて行うことが肝要です。
お客様が使用されてすぐに消毒に取り掛かってしまえば、お客様はいい気分ではないかもしれません。
「わざわざすいません」と遠慮させてしまうかもしれません。
「汚らわしいように扱われている気がして嫌な気がする」と不快に思われるかもしれません。
「淡々と業務をこなしているだけ」というような思いをお持ちになる方もいるでしょう。

”虫の目鳥の目魚の目”という言葉があります。

虫の目は、物事の詳細を分析することです。
鳥の目は、俯瞰した目で全体を見渡す視点をさします。
魚の目は、物事の流れを掴む視点です。

この3つの目を上手く活用して、お客様にいかに安心・安全を感じていただきながら、同時にホテルならではのホスピタリティにご満足していただけるのか。

こうした観点で考えていく必要があると思わされた出来事でした。

そのスタッフとは、お客様の視点に立ってどのように感じられるだろうかと一緒に考えながらアドバイスを行いました。
正解・不正解のない接客の話だからこそ、一緒に考えていくというアドバイスを今後も続けていきたいものです。
その中で、私自身も新たな気づきを得ていきたいと思います。

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渡辺 裕也
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