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短章(2022/7/3,沖縄県西原町)
昨夜過ぎ去った台風は、大したことなかった。
蝉が鳴き始める。
椰子の葉先が雲の底をなだめすかすように撫で、
鳳凰木の枝は、水滴の重みで撓んでいる。
もう海なんて見たくもなかった。
どうせ半魚人の死体が打ち上げられることなんてないから。
ちぎられた青空が狭まり、そして追いやられてゆく、水平線の向こう側へと。
空が忘れ物でもしたかのように、また雨がひとしきり降る。
昨夜過ぎ去った台風は、大したことなかった。
蝉が鳴き始める。
椰子の葉先が雲の底をなだめすかすように撫で、
鳳凰木の枝は、水滴の重みで撓んでいる。
もう海なんて見たくもなかった。
どうせ半魚人の死体が打ち上げられることなんてないから。
ちぎられた青空が狭まり、そして追いやられてゆく、水平線の向こう側へと。
空が忘れ物でもしたかのように、また雨がひとしきり降る。