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「開拓使別海さけ缶詰」②—伝統を受け継ぐ缶詰所での加工、完成

1. 厳選された鮭の加工プロセス

水揚げされたばかりの鮭は、別海漁協さんにて新鮮な状態で大きさや品質を判断し、素早く選別されます。その後、手早く氷水に入れられ、セリにかけられます。

2. 下処理

加工場にて鮭はまず内蔵と頭を取り除かれます。この工程を水産用語でドレス(Dressed=下ごしらえ)と呼びます。鮮魚は加工形状ごとに名称があり、ドレスになる前の、内臓を取り除いていない未加工の魚1尾を「ラウンド」(Round)といい、内臓を取り除いたものを「セミドレス」(Semi-Dressed)と呼びます。みなと新聞さんが詳しく解説されていますので是非読んで見てください。


トラックにて根室へ


3. 輸送と缶詰所

再び氷水に入れられた鮭はそのまま缶詰加工所に運ばれます。
(株式会社マルユウ)さんでは衛生管理が徹底され、厳重な管理体制のなか、ヒレや不要な部分は取り除かれ、手作業または半自動のラインで缶に詰められます。缶詰加工所の職人さんたちは、一つひとつの缶に心を込めて鮭を詰め、密封の工程は機械で行います。こうして完成した缶詰は、長期保存可能な味わい深い製品に仕上がります。

徹底した衛生管理

4. 熱処理と品質管理

缶詰は密封後、ボイラーで加熱されることで殺菌処理が施されます。この工程により、缶詰の中の鮭が柔らかくなり、骨ごと食べられるようになります。株式会社マルユウさんにおいてもHACCP(危害分析重要管理点)などの衛生基準に基づき厳しい品質管理が行われ、安心・安全な製品として出荷されます。

重厚なボイラーにて高温処理

5. 伝統を受け継ぐ

明治11年に設立された開拓使別海缶詰所、様々な変遷を経て民間へ払い下げられました。今回缶詰を製造いただいた株式会社マルユウさんもその伝統的なながれを汲む事業者のひとつ、現在は根室にて缶詰製造を中心とした事業を行なわれています。製造を支えるのは、世代を超えた技術と知識を伝えてきた職人さんたちです。かつて開拓使によって導入された缶詰技術は、今なお地域の誇りとして受け継がれています。ただ鮭を加工するだけでなく、その風味と品質を守ることに誇りを持っています。

6. 完成した缶詰の活躍

こうして完成した開拓使別海さけ缶詰は、開拓当時の味わいを楽しめる、別海町の文化と自然が生んだ技術の結晶です。缶詰は、非常食としてだけでなく、贈答品や食材としてもお楽しみいただける自慢の一品です。

時を超えて復刻された缶詰

最後に

伝統を受け継ぎながらも、品質向上への探求を続ける姿勢が、この地域の未来を支えています。別海町の鮭缶詰は、かつて北海道の味を世界に届けたパイオニアであり文化そのものと言えます。これからも地域の発展と共に歩んでいくでしょう。

現在はイベントでの対面販売のみとなっていますが、web販売の展開も検討中です。販売が開始されましたらまたこちらでも告知をいたしますのでよろしくお願いいたします。


別海町地域おこし協力隊 文化財活用担当 大谷

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