べてるの家のオンラインマガジン「ホップステップだうん!」 Vol.305
・「盛り上がり悪魔」の研究者
2023年にオンラインで行われた「子ども・子育て当事者研究交流集会」で当時小学校6年生のえいしんくんと出会いました。
えいしんくんは盛り上がると周りの人にちょっかいかけちゃうという苦労を放課後等デイサービスこどもサポートほっぷのスタッフの山口さんや仲間と一緒に何度も重ねてきた研究「盛り上がり悪魔」を発表してくれました。
その日からいつか実際にえいしんくんにお会いしたいなと思っていたのが今年の夏に叶いました。べてるの家がある浦河町の隣町、新ひだか町の放課後デイサービス「こどもサポートほっぷ」に伺いました。
管理者の佐藤さんと山口さんからお話しを伺って、実際の当事者研究にも参加させていただきました。
えいしんくんは「ほっぷを平和にしたい」と話していて「当事者研究は平和活動だよ」とよく言われている向谷地生良さんの言葉を思い出しました。
ほっぷの管理者の佐藤さんとえいしんくん、えいしんくんのご家族が12月14日に東京有明で行われる日本精神障害者リハビリテーション学会の「子どもだって研究者!子ども当事者研究」で発表してくれます。またえいしんくんの研究発表をとっても楽しみにしています!
・文/写真:江連麻紀
べてる創立40周年ムービー
・応答せよ、大人たち。子ども当事者研究のすすめ2 コトノネVol. 51
特集に「応答せよ、大人たち。子ども当事者研究のすすめ2」が掲載されています!
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・日本精神障害者リハビリテーション学会 第31回東京お台場大会のご案内
学会名称:日本精神障害者リハビリテーション学会 第31回東京お台場大会
テーマ:多様性と調和 ~台場シティで調(ととの)う~
会期:2024年12月14日(土)~15日(日)
会場:東京有明医療大学(〒135-0063 東京都江東区有明2丁目9番1号)
参加者数:約1,200名
開催目的:本会は精神科リハビリテーション学に関する研究発表、連絡、提携、及び研究の促進を図り、これらの進歩、普及に貢献することを目的とする。
大会長:肥田 裕久(医療法人社団宙麦会ひだクリニック 理事長/院長)
副大会長:角田 秋(東京有明医療大学看護学部看護学科 教授)
佐々 毅(医療法人社団宙麦会ひだクリニックお台場 院長)実行委員長:中田 健士(株式会社МARS 代表取締役)
当日は、「当事者研究」をテーマとした特別企画がございます!
12月14日(土) 4C会場(403教室) 14:30~16:30
子ども若者当事者研究
進 行:子ども研究者
参加グループ:
・さっぽろ若者応援ネットワーク
・社会福祉法人静内ぺテカリこどもサポートほっぷ
・私立和光中学校
・子どもの当事者研究室もしもし
・NPO法人青空保育ぺんぺんぐさ
・社会福祉法人浦河べてるの家、他
12月15日(日) 4C会場(403教室) 13:30~16:00
「自分自身で、ともに」-べてるの家の当事者研究
進 行:向谷地生良(社会福祉法人浦河べてるの家)
進 行:社会福祉法人浦河べてるの家メンバー、他
主催:日本精神障害者リハビリテーション学会
・参加登録受付中!
精リハ学会は、2010年に浦河でも開催した学会です。
今年の東京大会はべてるからもメンバー・スタッフがたくさん参加する予定です。みなさん、東京・有明(お台場)でもお会いしましょう!
●新刊「弱さの情報公開」
2023年10月発売の最新書籍です。
2020年に発売しご好評をいただきました「弱さの研究」の続編。
不寛容な社会での孤立と孤独「つながり」を考える。
一部では、カーリング日本代表の吉田知那美選手とべてるの家の人や
向谷地生良氏との「強さと弱さ」についての対談。
二部では人と人の「つながり」を各章で考察、依存症、認知症の孤独について、本当の「つながる」ことの意味を考える。
<目次>
まえがき―「弱さの情報公開」の源流
一部 弱さの情報公開
一章 弱さの情報公開
二章 弱さを認める
三章 行き当たりバッチリ
二部 つながる
四章 わたしが「ダメ。ゼッタイ。」ではダメだと思う理由
質疑応答
五章 「認知症と繋がる」ということ
六章 あいだは「愛だ」
七章 地域と人と苦労で繋がって(向谷地生良氏最終講義)
●大反響増刷中!
『子ども当事者研究 わたしの心の街にはおこるちゃんがいる』
本体価格:990円+税、出版社:コトノネ生活
・「北のバラバラな日々」(59)笹渕乃梨
笹渕乃梨(ささき・のり) 自己病名は『境界線ぐちゃぐちゃ症候群サトラレ型変化球言葉タイプ(現在は枯れている)』
北海道で小学生の娘と二人暮らしをしている。趣味はゆるめの野遊び、スキー、工作、手芸など。精神科のお医者につけてもらった病名はうつ病とADHD。現在は無脳薬で約3年。
「子ども当事者研究」、「子育て当事者研究」、「なさ親」などで活動中。22年4月より「nasaLAB(なさラボ)」のWebラジオ「つまり、きりがないラジオ」パーソナリティ。
「nasaLAB(なさラボ)」の登録はこちら↓
・ありす便り 〜やちゼミSpecial(Yachi Seminar Special)〜
11月の中旬、ちょっと暖かめの土曜日、横浜当事者研究会にて「やちゼミSpecial」が開催されました。
やちゼミ2度目の私はどんな会になるんだろうとワクワクして出かけました。
今回のテーマは「外在化」です。外在化は私の知る限りでは、人と問題を分ける。人と問題の間に距離をおく。確かそうだったと覚えています。
時間が来て会が始まりました。いつもの横浜の会の会場に倍以上25人くらい、びっしり人が半円を描いて座っています。
横浜の桜木町での開催でしたが、遠くは群馬や静岡からいらした方もおられました。その熱意にはびっくりすると同時にとてもよく気持ちがわかる、とも思いました。そうです、べてらーに距離は関係ないのです。
生良先生は「何の準備もしていません。」といつものように始まりました。
まず、外在化は「大事なこと」とか、「上手くなろうと思わないこと」が大切とおっしゃいました。上手くなりたいと思った私は早速つまづきました。
そして、当事者研究は「私とあなたの平和活動」「人と問題を分ける(あってました)」であると。
外在化は1970年代、家族療法から始まった発想だそうです。人が問題なのではなく、問題が問題なのだと。
外在化とは、
ー何かに例えること
ー何かに置き換えること
ー眺めること
だとおっしゃりました。
二人一組になって外在化についてフリートークです。
その後先生が感想を参加者に求めていくつか発言がありました。ベテル得意のワイガヤです。
孫のセナくんに基づいた研究が紹介されました。セナくんは学校に行こうとするとイヤイヤ星人が出てきて行けなくなってしまう。そのセナくんへの対処法が「ハグハグ」や、「放課後デイがある、遊べる日はイヤイヤ星人が来ない」など。
ありすは幼稚園が遠くて、朝よくぐずっていたそうです。昔の、田舎で通園バスなどない頃の話です。
で、母が
「そんなにぐずぐずするなら幼稚園休みなさい!」と言うと
「うん!」と言って休んでいたそうです。私は、動機は違うかも知れないけど、セナくんの気持ちがわかるなぁと思いました。
何の準備もない生良先生の話はどんどん進みます。
先生が学生時代文通されていた死刑囚の方との手紙も回されました。そんなことをされていたとは、べてらー歴長い私ですが、初めて知りました。手紙にはかなりキリスト教に基づいたことがびっしり書いてありました。そのかたは刑が実行されたそうですが、亡くなられるときにはかなり精神的に平安を見出せるような状況だったのでは、と少し読みにくい直筆の手紙を見ながら思いました。
外在化の続きですが、
「自分を眺める自分を持っていること」
が大切だとも。これはとても難しいことだと思いました。
そこには自分と問題などの間に壁が一枚挟まってないとできないことです。
本人が外在化できるように〜1人1人がテーマを持っていることが大切となって来るのだと。
そして、時間が必要であること、それは周りのスタッフや関係者も同じことだと。
とにかく肝心なのは『悩み』ではなく問題が『苦労』であることだそうです。
これも難しいことです。ありすも悩みは尽きません。それを苦労と思えるか。チャレンジワークです。
最後に先生は、問題を内在化してそれを外在化させる、そしてまた再内在化(苦労を取り込む)こともできるだろうとおっしゃいました。
途中で何のテーマか忘れましたが、また2人一組になって話し合いました。
やちゼミではこれが繰り返されます。
3時半までが4時を過ぎ、5時に会場が閉まるギリギリまでみなさんの話や、会場の片付けや、ベテルのグッズの販売が行われていました。
小さなお子さんがいて、居心地の悪そうだった伊藤さん。大丈夫だったかな。
外在化は難しいなぁ。
そんなことを思いながら、でも、みんなと集まれたことの楽しさで、心温まり、たそがれの横浜の街を家路に向かうありすなのでした。
ありす1992~2004年までニューヨークで暮らす。保護猫を飼う。大学で映画学科を学び、修了後TVプロダクションで働く。帰国後べてるの家を知り、べてらーとなる。べてる留学2回。好きなこと:映画鑑賞、バレエ、犬、猫と遊ぶ、TVドラマ鑑賞。最近麻雀を始める。
・続「技法以前」 239 向谷地生良 「6.いつでも、どこでも、いつまでも」
「研究は、時間や場所を選ばずに自分のペースでできる」
「粘菌」という、菌類でもなく、アメーバーのような動きをする面白い生き物がいます。数年前に、北海道大学で開催された学会にお邪魔した時、生命体が基本的に持っている特徴である「リアルタイムの創出知」(清水博)について話した際に、「大学に粘菌の研究者がいますよ」と教えていただきました。
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