命がけで情報格差を埋めようとする手話通訳者を守ろう!
新型コロナウィルスが蔓延している中で、情報格差を起こさせないためにも命がけで首長会見などで手話通訳をしている場面が多く見られ、多くの方から疑問の声が上がってきています。
マスクをつけないのは、手話の一部に口型などがあり、顔の半分近くを隠すマスクでは情報が正しく伝わらないおそれがあるためです。例えば、親指だけを横に立てる手話は、指文字の「あ」の他、数字の「5」の2通りがあります。口型を見ないとどちらなのか判断ができません。
別室で手話通訳者のみを撮影したり、オンライン(リモート)で通訳したりして、ワイプのような形で合成する方法が一番望ましい形式ですが、放送業者に負担(人員・コスト)がかかる問題があり、簡単ではありません。合理的配慮を求める上では、建設的対話による相互理解が必要だからです。
そのために、まずは、(1) 手話通訳者の命と健康を守る、(2) 口を含めた表情などが見えるようにする この2つを両立する方法として、透明マスクやフェイスガード(フェイスシールド)が注目されています。
透明マスクは、マスクの中央部が透明になっているもの、フェイスガード(フェイスシールド)は、クリアファイルのようなシート状のものを額から吊るすものです。
そして、最近になって、次のように、都道府県の首長会見において、手話通訳者が透明マスク・フェイスガード(フェイスシールド)を使用しはじめてきました。
4/14(火) 神奈川県知事会見にて、手話通訳者がフェイスガード(フェイスシールド)を使用
4/15(水) 東京都都知事会見にて、手話通訳者が透明マスクを使用
4/16(木) 千葉県知事会見にて、手話通訳者がフェイスガード(フェイスシールド)を使用
透明マスクやフェイスガード(フェイスシールド)には、医療用や衛生用など既存の製品が多くあるのですが、需要が限られることから継続して生産している企業は少ないようです。
しかし、このような危機的な状況ゆえに、多くの企業が生産することを期待しております。私が把握しているだけでも、透明マスクに関しては、下記の5点があります。この他にも個人で開発している方もいらっしゃいます。
・防曇透明マスク「ルカミィ」
・兵庫県伊丹市が開発
・米ケンタッキー州の大学生が開発
・静岡県「ネットメロン」
・びわこ板倉 ファーム
手話通訳の健康を守るという意味では、第一歩を踏み出したと受け止める一方で、光の反射のせいで見にくい、完全に密閉していないので安全性に不安がある、息をすると曇るなどいろいろ課題はあります。今後の課題としてさらに改善されていくことを願っています。
ただ、一過性のものではなく、継続的に開発し続ける仕組みが必要です。透明マスク、フェイスカード(フェイスシールド)が必要とされるシーンは限定的で、マーケット市場が小さいため、例えば、いくつかのビジネスと組み合わせないと継続することが難しいと思います。
スタートアップには、多くの資金がかかることから、以下の補助金を活用されてはいかがでしょうか。
▼令和2年度「マスク等生産設備導入支援事業費補助金(マスク生産設備導入)」の公募について
今回を契機に透明マスクやフェイスガード(フェイスシールド)が恒常的に供給できるような体制になることを、心から願っています。
あらゆる人が楽しくコミュニケーションできる世の中となりますように!