アーモンドアイのエンジンと、手前のこと
アーモンドアイのエンジン
アーモンドアイが勝った2018年の桜花賞。
このビデオの1:30秒近く、最後の直線に入り、しばらく経ち、内回りのコースのラチのない部分を通り過ぎるあたり、大外から伸びるオレンジ帽・13番のアーモンドアイ。
ピンク帽・16番のフィニフティを交わしていくあたり、「ずどん!!」という力強い効果音が聞こえたような思いでレースを見ていました。後駆からガスが噴出され、爆発的に加速していくような。
あの「ずどん!!」。
まさに、「エンジンがかかった」という感じ。
フィニフティを交わしたあともどんどん加速し、先行から押し切り体勢に入っていて、ほぼ勝ちパターンに持ち込んでいたと言えるラッキーライラックをゴール手前で交わし、なお一馬身3/4の差をつけての完勝。
(ラッキーライラックの強さについて余計な補足もいらないと思います、牡牝混合の大阪杯含めG1を四勝した名馬です。)
私には、「ずどん!!」と聞こえたのですが、人によっては違う効果音が聞こえたことでしょう。
ちなみに、先日引退レースの香港カップを勝ったラヴズオンリーユーのゴール前のキレッキレの末脚は、自分的には「ピュッ!!」かな。
アーモンドアイの手前替え
話をアーモンドアイの桜花賞に戻すと、彼女は、フィニフティを交わすときに「手前」を左手前から右手前に変え、加速していたそうです。
そして、フィニフティを交わしたあとも、左・右・左・右・左・・というように、何度も手前を変えながら加速したそうです。
この「手前」という馬の動作、恥ずかしながら私は長年競馬を見ていながら、まだちゃんと理解できておらず、したがって馬券検討の際にもあんまりきちんと考えられていない。
・・と、「手前よくわかんないなー。」と思っていたところに、ウオッカやシーザリオを管理していた角居元調教師が自著「さらば愛しき競馬」の中で、結構なページを割いて解説してくれていました。いくつかポイントを引用すると、
この辺が基本的なところで、あとは日本の競馬場は右回り・左回り共にあるので、予想時に「利き脚」を考えると妙味になる(これが私はできていないのですが・・)、手前替えは、鞍上の手綱さばきや重心の移行によって行われる、高速で走る最中に手前を替えるのは騎手も馬も怖い、だけど、ずっと同じ手前で走ると疲弊してスピードが落ちていくので、やはり手前を替えることは重要。
・・などなど、手前の重要性がとても分かりやすく説明されています。
角居元調教師によると、手前替えが上手な馬は、それだけでも高い能力を持っている、と言えるかもしれないそうです。
そして、肩の筋肉が硬くなっている馬、首の下の筋肉が硬くなっている馬も手前変換する時の動きがぎこちなくなるとのこと。
また、サンデーサイレンス産駒の特徴に触れ、サンデー産駒は肩関節を覆う筋肉が柔軟で、「やわらかい」と評されたそうです。
アーモンドアイのお母さん・フサイチパンドラの父がサンデーサイレンスなので、彼女はサンデーの「やわらかさDNA」のおかげで肩関節の筋肉が柔軟で、おかげで手前替えを苦もなくできたのかなと思います。
もちろん、手前替えの上手さと、力強いエンジンを持っていることは、二つの別の要素。両方を兼ね備えていたアーモンドアイのレースぶりの力強さ、格別でした。