この場所から情景は見えない

風が吹く丘 一つだけ緑樹があって
花のない丘 湖が崖の向こうにあって

振り返れば 道はなかった
歩き着いた先 ではない場所にいる

あの瞬間に 素直に なれたから
今ここでひとりぼっち 望み通りひとりきり
見えないものに 怯えることは 正しいよ
白い雲が濁ったら 期待してしまう僕は耳を澄ます

音を鳴らす風 誰かが呼ぶ声をかき消して
咲くを拒む花 散るを見せない優しさだって

見上げれば 星はなかった
純粋な黒が 夜を染め上げていく

あの一瞬で 生きると決めたから
明日もどこかでひとりぼっち 言葉溢れてひとりごと
見えないものに すがることが正しいよ
黒い雲に覆われたら 終わりにしてしまう僕は目を閉じる

やがて雨になる光が 漏れる木陰で目を覚ます
湖に住み着いた 白いクジラの影は膨らむ

風はずっとすっと伸びて 音もなく雨が降って
誰かが疲れ果てたような顔をして
影まで弧を描いて すべて虹の向こうになって
僕はもう戻れないような気がして

ごめんよ

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