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ニャゴヤコーチンズ大解剖

アレンジコンテスト特別審査委員賞受賞作品ができるまでを大解説。

こんな感じの音楽アレンジや動画作成できますので、よろしければご用命ください。

ということで行ってみよう!!


名古屋テレビ塔発YouTube動画なごチューブが制作した名古屋テレビ塔「中部電力ミライタワー」のイメージソング「夢を未来へ!」。2023年の年末締切でこの曲のアレンジコンテストが開催され、私も参加しました。最初は楽曲のアレンジだけかと思っていたのですが、応募要項を見てみたら演奏動画で応募のこと、という内容。ボーカロイドで合唱したものを作ろうと考えていた私は大慌て。でも待てよ、いろいろとアニメーションを作って名古屋の名所名物を紹介する動画にしたら面白くなりそうだな、と考え、イメージを膨らませていきました。

2023年、私は9月から日本を離れフランス、イギリスと旅をしていました。10月11月はイギリスのロンドン郊外で、12月と翌1月はパリのシテ島すぐ北にいました。そんな中でなぜかずっと名古屋のことを考え続ける毎日となりました。

始まりは歌のアレンジから

(下の動画の中で話しかけている「平松さん」は「なごチューブ」の運営者であり司会者の方です。そして、この動画は後日なごチューブに出演した時の解説用動画で、後半はその映像の中で私と平松さんが対談をするというためにBG要素的な動画になっています。)

なんといってもアレンジコンテストですから、歌と伴奏をアレンジしていきましょう。音大を出た身としてはなんとしてもきちんとアレンジの妙義というか楽しさを示したい、そして意外性も入れていきたい。
歌は単旋律ではなく、合唱にしたい。伴奏で壮大な世界を表現していきたい。

まずは楽譜ソフトを使って合唱のアレンジ

ということで合唱アレンジを始めました。元データで示された単旋律の歌を聞くと跳ねているところ(八分音符を均等ではなく2:1の長さにした感じ)と均等にしているところがあることを確認。せっかくなのでその均等な部分は強調してしまおう。
全部3連指定で楽譜を書くのはとても大変なので、4/4拍子ではなく、12/8で書いていこう、と決めました。

伸ばすところや「寄り添ってゆこう」は「よりそ(休符)てゆこお」など工夫が必要
均等の部分はユニゾンにしてちょっと強調

さらに元データの歌よりも少し速いテンポ設定にしてしっとりした感じよりも元気良い歌になるようにしました。

musicxmlで書き出し

歌詞のデータが入っている状態のファイルを作ります。

動画の中ではファイルの種類「圧縮(*.mxl)」を選んでしまっているが、こちらが正解

ボーカロイドで歌ってもらう

もう本当に素晴らしいボーカロイドが世の中にあるのです。こちら!!

この方々に歌ってもらうために、さきほどのmusicxmlが必要なのです。

NEUTRINOフォルダの中のscore→musicxmlの中にそのデータを入れ
Run.shをテキストエディタで開きファイル名を書き換え、歌のモデルを選びます
ターミナルというアプリでRun.shを解析してもらいます
outputフォルダの中にwavファイルができました

できたwavファイルを音楽編集ソフトに取り込み

私はLogic Proを愛用しているので、そちらにできたデータを入れて各パートをそれぞれ少し左右に分けて縦を揃えます。

あんまり左右に広げすぎると耳が疲れるのでこれくらいにしました

そんなこんなで合唱が出来上がり。

歌に合わせて伴奏を打ち込む

歌はボーカロイドのために楽譜が必要だったのですが、伴奏はLogic Proで直接音を指定していく感じで組み立てていきます。アレンジコンテストですから、これでもか、というくらい派手派手にしてみたいと思います。

名古屋からの発信ということを最重要課題に

名古屋テレビ塔「中部電力みらいタワー」から発信するわけですから、名古屋の魅力を紹介できる内容にしたい、と考えました。

名古屋城、歌舞伎座、東山動植物園、水族館、大須、いろいろとありますけれど、多すぎても入れ込めないのでこの中から選んでいきます。

お祭りは大名行列もあるし、どまつりもあり、名古屋港花火大会もすてき。

出来上がりの映像をどのようなストーリーにするか

まず、ストーリーを決めていきます。法螺貝の合図で始まり、途中からどまつりを意識して和のお祭りっぽくして最後は花火を打ち上げよう、と大枠を決めました。
ホラ貝の音はLogic Proに無いのでさまざまな音源サイトから最良の音源を3種類いただきました。その3種類を同時に鳴らしています。

ホラ貝の音色を3種類重ねています

1番より2番の方が盛り上がりたい

1番は弦楽器、木管楽器、ハープの伴奏、2番は金管楽器、打楽器も加えてより華やかになるようにしました。

1番の伴奏は弦楽器と木管楽器とハープ
2番は金管楽器も加わります

その後のサビは雰囲気をガラリと変えたい

サビからは和太鼓も混ぜて、リズムも跳ねているリズムと均等割のリズムを同時進行させるという荒技で進んでいっています。

和太鼓も入れてお祭り感を加えました
和太鼓が入ると打楽器も大忙しです

キャラクター作り

「こんな歌ができたんだけど、歌っている4人組ユニットのキャラ描いてくれないかなぁ。」と相方の画家に頼んでみました。そこで出てきたのが驚きの鳥ユニット。イメージしていたのとはだいぶ違ったのですが、何度も見ていると愛嬌があってなんとも良い感じです。頭にテレビ塔の帽子もかぶっています。「名古屋だからね、名古屋コーチンだね。」ということで、4人組ユニットの誕生です。名前はさらに名古屋弁ぽくした「ニャゴヤコーチンズ」で決定!!

名古屋愛に満ちたキャラクター作り

他にも和太鼓と共に出てくるキャラは濃い方々です。名古屋といえばコメダコーヒー、そして名物「シロノワール」。このデザートをもとに考案された頭にクリームを乗せた人たちが激しく踊ります。

\シロノワールの語源をご存知ですか?/ コメダの奥義ともいえるシロノワールは1977年に誕生した歴史深いメニュー。フランス語で“黒”をあらわす『ノワール』はデニッシュの部分を指し、その上に白いソフトクリームが乗っていることから、『白ノワール=シロノワール』と名づけられました。

Posted by コメダ珈琲店 on Friday, November 7, 2014

シロノワールの名前の由来がそういうことならば、こちらのキャラの名前は黒白にしよう。フランス語で白はブラン。クロブランよりも「ノ」を入れて「クロノブラン」の方が響きが良い感じ。

もう一つのキャラはゆかりせんべいをもとに考案されたダンサー。ゆかりはえびせんなのでエビのような長い髪が特徴的です。足はエビの尻尾そのものだし、手もハサミ状態です。名前はそのまんま「ユカリーズ」。

できたキャラクターを部品に分ける

キャラクターを動かすにはそれぞれの部位を別々にする必要があります。それを時間軸によって微妙にずらしたり歪めたり置き換えたりすることでアニメーションができるのです。なのでまずはそれらを分けた状態の透過pngを作ります。

アルトのトリエの分解図。見えないけれどどこかに目の白い部分もあります。

アニメーションが作れるソフトへの取り込み


取り込むとこんな感じになります

アニメーションにはunityがサクサクと作ってくれるので重宝しました。

Spriteという機能で部品に分け、さらに動きの中心点の場所を指定します
こんな感じにバラバラになった部品を今度は組み立てます
組み立て中

組み立てる時、どのパーツを前に表示するのか、その重なり順をしっかりと考えながら組み立てます。
口は同じ位置に「あいうえお」と閉じている時の形をセットして、その時に必要な形が顔の前に出てくるようにしました。

閉じている口が前面にある時は「あいうえお」は全て顔の後ろ

曲のスピードと動きを合わせる

ここで算数の世界です。
今回曲のテンポは104に設定しました。つまり1分間に104拍あるということです。
一方でアニメーションの方の設定は1秒間に60コマという設定にしてあります。
1拍のコマ数はいくつになるでしょうか。
という計算が必要になります。

1分間のコマ数は60×60の3600コマ、それを104で割れば答えが出ます。しかし、これが割り切れず、34.615…
3600をちょうど割れるテンポ100とかにすれば良かったのに、とここでちょっと後悔しましたが、ま、そこは少しずつ辻褄合わせればなんとかなります。いずれにしろ、1拍が34.615、3連音符の場合は11.538コマとなることが分かりました。

それに基づいて、歌詞の母音と「あいうえお」を合わせ、さらにいろいろな動きを加えていきます。

どの母音の形をどのタイミングで前に出すかというのを設定していく地道な作業。今は「い」
どのタイミングでどんな動きをするのかを決めていきます

なるべくたくさんの部分が動くようにします。そうすることでアニメーションが生き生きとしてくるのです。しかし、それはつまり作業がとても大変になることを意味します。今回は一つの動きを4人で共有しても良かったのですが、少しずれていたりほんのり腕の高さが違ったりすることで逆に現実味が出るかな、と考えて一人ずつ設定しました。

髪の毛は頭の動きから少し遅れて動くようにしました。法被も腕の動きから少し遅れて動くようにしています。ちょっと大袈裟くらいの動きがちょうど良いです。

2Dのアニメーションとしては難易度の高い一回転もクロノブランが披露してくれます。これは裏面の絵も準備して一緒に動かし、ある時点でその裏面が上になるようにしています。

2Dキャラなので横から見るとペラいのです

3Dキャラクターの作成

オーケストラメンバーは3Dです。Blenderという立体をつくるアプリを使っています。ゼロから作っている時間がなかったので、拾い物の人形にボーンを入れて動かしています。

オーケストラメンバーの骨格

何気にメンバーによって髪の色とか肌の色とか微妙に変えています。楽器はティンパニ、シンバル、クラリネットは自作ですが、その他は椅子などの小道具も含めて拾い物です。

オーケストラは粘土人形を意味するスカルプチュア楽団という名前にしました

流れている音色全ての奏者はいないですが、そこは普段の一般に放送されている歌番組と同様な話。不思議と違和感はないものです。

同じくアニメーションソフトへ取り込み動きを付ける

オーケストラの動きは打楽器の目立つ動きは音にしっかりと合わせ、その他の楽器は音がない時は構えていない、程度の合わせ方にし(締切の都合上)、体を動かして気持ちよく演奏しているように見える工夫をしています。

Blender で立体を作ってアニメーションをさせるHowto動画も作りましたのでぜひ参考にしてみてください。

この動画ではBlenderの中でアニメーションを作っていますが、この人形をUnityに移して同じ方法で演奏をするアニメーションを組み立てています。

ストーリーを意識して全体を組み立てる

メイン会場はもちろんテレビ塔のある名古屋の栄広場です。画像とunityで組み立てた特別ステージをもとに空間を作ります。

栄広場特別会場の出来上がり

空の写真の前に栄の写真の空部分を透過処理したものを重ね、その前に芝の地面、その上にステージ、両サイドに拡大映像が流れているような仕様にして、一番手前にAIに描いてもらった群衆の後ろ姿を重ねています。
unityの中で3Dと2Dを重ねている部分もあれば、映像編集ソフトの中で重ねている部分もあります。
しっかりと見るといろいろと少しおかしな部分もあるのですが、不思議なことにアニメーションとして見ているとそのあたりは勝手に脳が補正してくれます。

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