SHANK (2024.10.18) at Zepp DiverCity TOKYO / 20th Anniversary Tour BRAND NEW OLD SHIT FINAL SERIES
4月から始まったSHANKの周年ツアー。実に半年もの月日が流れ、いよいよファイナルシリーズに突入。本来であれば、この日の東京公演、そして2日後の大阪公演でフィニッシュの予定だったが、悪天候で延期になった2公演が残っている。が、本来のスケジュールでは一応セミファイナルの東京公演。その記録を書いていく。
余談だが、この日は19:30開演ということで、仕事後の人にも優しい(?)時間設定だ。こういった時間設定においては、様々な意見があると思うが、個人的には平日の19:30スタートは大歓迎。
話を戻す。さすがファイナルシリーズ。会場に入ると、ステージ後方にはツアー画像のメインビジュアルにもなっているあの画の巨大な、推定庵原将平3.5人分はあろう高さのバックドロップが掲げられている。いつもであれば、巨大なボックスロゴのバックドロップだったであろう。このバックドロップめちゃくちゃかっこいいが、ツアーが終わってしまうのかと思うと、寂しくも感じてしまう。
定刻を5分ほど過ぎ、場内が暗転。お馴染みのSE「Backyard」が流れ、緑と赤の照明がステージ左右を交互に照らす。そして、ステージ下手からメンバー3人がゆっくりと登場。
「SHANKって言います。よろしくお願いします!」(庵原)
1曲目は『Set the fire』。庵原将平(Vo, Ba)が歌い始めると、準備万端と言わんばかりに呼応する客席、そしてゆっくりと袖から各自配置につきスタンバイ完了のセキュリティの面々、ライブの幕開けだ。そして、微かに2階席の方を見渡してから歌し始めた2曲目『Candy Cruise』、『620』とまずは挨拶代わりに3曲をプレイし、挨拶も早々、続いてタイトルコールされるは、『First Light Anthem』。ゆっくりと入り始めたイントロも松崎兵太(Gt, Cho)のギターを合図に一気に加速し、ライブの展開に拍車をかける。そして、『Life is...』の終わりから松崎がギターを力強くハウリングさせ、そのまま雪崩れ込むは『Hope』。まるで、曲の力強さをそのまま体現するかのようなプレイは、観ている側にも力が入ってくるし、アウトロでは早川尚希(Dr)もその勢いから立ち上がる一幕も。
続くMCでは、「平日にも関わらず集まっていただきありがとうございます」(庵原)と言いつつ、「皆さん仕事してきたんですか?」と問えば、客席の大多数からはYESの回答。すると、甲高い声で「可哀想ー!」という煽りを見せる庵原。しかし、「休んだ!」という客席からの声には「働け!!」とまるで学校の先生が叱るかのような温度感で返しているから一体どっちの立場なのか。しかし、すかさず直後に「まあ僕も働いてないんですけどね。まあこれが仕事なんですけど、半分遊びなんで。」と言っていたのも庵原らしい。
「じゃあそんな働いてきた人たちに送ります。もう今日は仕事なんかしないで、帰ってシコって寝たいって曲です。」(庵原)
そして、演奏されるは『Frustration』。演奏後、何やら松崎が笑いながら話す。
「やっぱワンマンだと締まらん。」(松崎)
「そうだね。それに後にやるバンドもいないし。もうゆっくり好き勝手やらせてもらいますよ。」(庵原)
そんなやりとりを挟みつつ続くは『Time is...』。何故かアウトロの終わりをもう一度やり直す3人。それも庵原と松崎共に真上にジャンプして締めるという、お笑いの流れかのような締め方。
そして、締めなおした直後に庵原が歌い始めたのは『Weather is Beautiful』。最初のサビの入りでは松崎が勢いよくジャンプを決め、そうそうこの光景よ!、と思わず。そして続くはタイトルコールで歓声があがった驚きの選曲『Can't keep them down』。後ろのバックドロップに使われている蛍光?塗料が、激しく変わる照明の色によって、バックドロップの様々な色味が現れていたのが綺麗だ。
演奏後、なかなか庵原がMCに入らず、そのインターバルがやけに長いと思ったのは、客席だけではなかったみたいで、次第に松崎が庵原に「今日長くない?(笑)」とツッコミをいれるところからようやく次のMCが始まる。
「良いでしょ。20年もバンドやってたらゆっくりやらせてくださいよ。」(庵原)
「HEY-SMITHみたいになんかできない。彼ら運動会みたいにやりよるけん。」(庵原)
そして、ここからステージ上でのイイカワケンとかなすの様子をジェスチャーで再現する松崎に客席からは共感の笑いが起こる。
最後は、「HEY-SMITHに届け!」と庵原が言葉を投げ、「16歳から20年バンドやって気づいたら36歳になってしまったけど、人ってそんなに大して変わらない。」という曲振りから『Midnight Glow』。そして、『Departure』、『CHOICE』とプレイ。
そして、客席からの声に反応し、先日のKUZIRAの一件にも軽く触れ、「反省して良い曲書いて戻っておいで、竜ちゃん!」と話す庵原に客席からは自然と拍手が起こった。
続いて、「皆さんが聴きたいであろう曲を演ろうと思うんですが……」という前振りから、あたかもリクエストをその場で募るのか、みたいな雰囲気になりつつも、次に演奏される曲について話し出す。
「昔の曲ってなんか演奏してて長く感じたり、あとナインスアポロにいた時の辛い思いを思い出してしまう(真相は定かでない)ので、メドレーにしました。ミュージックステーションだと思って聴いてください。」(庵原)
「それではSHANKで『S.T.S』、『Mr.Green』、2曲続けてどうぞ。」(庵原)
タモリさながらのナチュラルな曲紹介、そしてこんなにも自然に曲と曲が繋がるのか、という驚きを感じずにはいられないくらいに綺麗なメドレーだったことは間違いない。願わくばどちらもフルで聴きたかったが、ほとんど演奏されないこの2曲がこうして日の目を浴びたことの功績の方が大きい。他の同じ類の曲も今後どこかのタイミングでこうして成仏されないことを祈りたい。
そして、このブロックを『Grimy window』で締めると、松崎が徐に「何か良いこと言いそうなフレーズ(庵原曰く)」を弾き始める。
「(何か良いこと言いそうなフレーズを受けて)別にファイナルだからって何も用意してないからな!良いMC聴きたいならTHE FOREVER YOUNGのライブに行ってください!」(庵原)
そんなMCからタイトルコールされるは『Judy』。この曲もSLOW SHANKでは演奏されたことがあったものの、バンドスタイルでの演奏は、このファイナルシリーズの札幌に続き2度目。
そして、緩急つけると言わんばかりに続くは『Wall Ride』。アウトロではドープな松崎のギターソロが会場内に響き渡り、しかし、その横で庵原がモニターに腰掛けて座りながらベースをプレイしている光景も本当にSHANK。そして『Extreme』でこのブロックを締める。
次のMCでは、話すことがないからと庵原が松崎にMCを振り、「俺も話すことない」と返しつつも、松崎が話し始める。その内容は、松崎がテレビでたまに放送される党首討論が好きで見ているという話。そして、来週に控えた選挙に行こうという話。そして、真面目だった話も、「猪狩か茂木さんに総理になってもらってバンドマン減税してほしい」というオチに着地。その後、インバウンドでホテルが値上がったり、昔は高速の料金が1000円の施策を行っていた時期があり、その頃は沢山ツアーやったなあといった話のあと、唐突に紹介されるドラム早川。
そして、早川が話を始めるも早々に「もう曲入っていいですか」と庵原に話をぶった斬られる始末。しかし、松崎の様子がおかしい。
「ライブ用のジーパン忘れて、いつものジーパンと違うからおちんにこ(息子)のあたりが…(笑)」(松崎)
身体を少しむずむずしながら話す松崎に庵原がツッコミをいれるも、これが意外と次の曲の振りへとうまくリンクしてしまう。
「男は飲んだあとでもやらなければならない時もある。そんなときは自分のおちんにこ(息子)に語りかけてあげてください。『Get it up, Get it up』と。」(庵原)
そんな曲振りから始まった『Mind Games』、「ギター松崎!」のかけ声から『Knockin' on the door』、続く『Take Me Back』では、ギターソロの直前に突如ステージ中央に滑り込み、そしてギターソロをプレイする松崎。アウトロのブレイクの部分では、それについて振り返り、「最近の若いバンドよくやってるよね。あれ、みんな渡辺旭のためにやってる。」とこれまた言いたい放題。そして、『Good Night Darling』に雪崩れ込む繋ぎはもはやお決まりといっても過言ではない美しさ。
MCを挟まず次のブロックへと突入してゆく。続くは港町を思い浮かべるような青い照明が印象的だった『High Tide』。そして、『High Tide』の次にこの選曲が来るとは、とつい思ってしまった『Wake me up when night falls again』。そして、『Smash The Babylon』、『Two sweet coffees a day』とワンマンだけあってとにかく曲を畳み掛けてゆく。
「私事ですが…」と唐突にコンタクトデビューしたことを庵原が話し始める。
「今まで前から2、3列目までしか見えなかったんですが、全部見える。頭蹴られたりとかも見える。僕、血とか苦手なんで。僕らROTTENGRAFFTYみたいなバンドじゃないんで、助け合ってやってってください。」(庵原)
「じゃあ、絶対ダイブの起きない曲を。」という言葉からは『Sandpaper』が演奏され、最終ブロックに入っていく。最後のMCでは、庵原が2人に話を振ると、松崎は「ここまで頑張れたのは皆んなの笑顔のおかげです。嫁と子どもの次くらいに好きです。」との言葉に笑いが起きつつも客席から歓声があがる。そして、早川が話し始めようとすると今度は松崎がギターを鳴らしそれを邪魔する。こんな光景もすっかり早川がバンドに馴染んでいる証拠であろう。
そして、庵原の「愛と希望、夢と希望だけでバンドやってます!!」という言葉からラスト『Surface』、『Steady』と畳みかけ、「また生きて会いましょう、バイバイ!」と本編ラストは『submarine』。
程なくしてアンコールでステージに戻ってくるメンバー3人。
「最後、残り少ない時間で全部出し切って帰ります。」という庵原の言葉から『Cigar Store』、そして『My Special Reason』、更にとどめの『BASIC』を決め、この日のライブに幕を閉じた。