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ASIAN KUNG-FU GENERATION (2024.10.05) at 札幌 PENNY LANE24 / Tour 2024「ファン感謝サーキット」

アジカン、久々のライブハウスツアー「ファン感謝サーキット」。昨年行われた、アルバム「サーフ ブンガク カマクラ」のツアー時に後藤正文(Vo, Gt ※以下ゴッチ)が「来年はライブハウスツアーもやりたい」と言ってはいたし、noteにも記述があったが、まさかこんなにも早く実現することになるとは想像できただろうか。
そして、蓋を開けてみれば、北は北海道から南は鹿児島まで津々浦々、全26箇所全30公演とその規模感たるや。そしてまさかのライブハウスのオオバコ界であるZeppは新宿とダイバーシティの2箇所のみ、札幌や名古屋、福岡、大阪とZeppがある各都市でさえZeppではないというハコの設定、そしてライブハウスのキャパシティゆえに各地のチケットも入手困難を見せるなど開始前から話題が尽きない今ツアー。


また、このツアーに先立って行われた神奈川県・横浜BUNTAIでの「ファン感謝祭」のステージ上でゴッチが、「ツアーでは今日(感謝祭)演ってない曲なんかも演りたい」なんて話していただけに、その選曲も気になるところ。


今回はツアー3本目、札幌PENNY LANE24公演の記録を残していく。


定刻18時になり、オンタイムで場内が暗転。特にSEも鳴ることなく、喜多建介(Gt, Cho)を筆頭にメンバー4人がステージに登場。そう、今回のツアーはサポートメンバーのいない4人編成。そして各々が楽器をスタンバイし、伊地知潔(Dr)のカウントから始まった1曲目は『振動覚』。そして『リライト』と大名盤「ソルファ」の始まりの流れでライブはスタート。『振動覚』のイントロが鳴った瞬間、当時アジカンを聴き始めた頃の初期衝動のようなものが身体中を伝ってきたと同時に、2024年現在、『振動覚』~『リライト』から始まるライブにまた立ち会えるに興奮、感謝しかない。


「こんばんは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONです。
最後まで楽しんで帰ってください。」(ゴッチ)


挨拶も早々、続くは『路地裏のうさぎ』。これは完全にリクエストファン投票の結果を受けてであろう選曲(『路地裏のうさぎ』はファン投票5位)。『振動覚』~『リライト』の衝撃で一瞬忘れていたが、このツアーは「ファン感謝サーキット」だった。そしてどこか閉塞的な空間とも言えるライブハウスに、鳴り響くこの曲が似合っている。


勢いそのままにバンドは曲を畳みかけてゆく。『Easter / 復活祭』、そしてシームレスな繋がりから『Little Lennon / 小さなレノン』。アジカンのアルバムの中でも割と「ラウド」と表現するのが相応しいアルバム「Wonder Future」。横浜BUNTAIでの「ファン感謝祭」では、1曲も演奏がなかっただけにこの2曲も嬉しい。当時このアルバムを引っ提げたホールツアーでは、"架空の街"をモチーフにしたステージセットとプロジェクトマッピングの演出が話題になったが、ライブハウスでの鳴りも間違いないものだった。


そして最初のMCでは、ゴッチがライブ前日に北海道・苫小牧市に行ってNOT WONKの加藤氏と会って、短いセッションを行ったことを話す。そしてその流れから、ゴッチも自身の立体音響展示で参加をするそのイベント「FAHDAY」の宣伝へと話が進む。「FAHDAY」に関しては以下リンクを参照。



そして、「最近、また人と人との繋がりが大切に思う」と話し始める。苫小牧にて、NOT WONKの加藤氏に現地のカフェや寿司屋に連れてってもらったり、また車で送ってもらったりと、そうすることで「そこにまた来る理由ができる」からと話し、それは人との繋がりがそうさせると話すゴッチ。


「今日も誰の真似もせず自由に、そして時より周りの人のことも気にかけて最後まで楽しんで帰ってください。」


と話し、「じゃあ、”僕らは思い合える”という曲を。」という言葉からタイトルコールされるは『エンパシー』。"エンパシー”とは、簡単に言えば”共感”という意味である。前述したように、アジカンのライブでいつもゴッチが「誰の真似もせず自由に楽しんで」と言葉で伝えてくれ、その言葉を待っている自分もいる。と同時に、決して同じ動きで一体化することだけが”共感”することではなく、個々に自由に楽しんで、それらが気がつけば混ざり合っている様も”共感”と呼んでいいのかな、なんてこの曲の歌詞を読んで感じたことがあった。


自分は手を上げたり、手拍子したりすることなく、ひたすら目に焼きつけるようにライブを観てしまうので、傍から見たら「あいつ楽しんでるのか」って見られてもおかしくないのだが、それすらもそのままでいい、と言ってくれているような気がして。それ以来、この曲が好きで好きでたまらない。勿論、メロディーも至高。


そしてこのブロックでは、ここからはリクエストファン投票上位の曲が立て続けに鳴らされてゆく。ゴッチが曲の始まりのコードを一音鳴らしてからイントロを弾き始めた『夜のコール』、そして『十二進法の夕景』と続くこの2曲は、かつて行われていたNANO-MUGEN FES.のコンピレーションアルバムに当時収録されていた曲であるが、この2曲以外にもNANO-MUGENコンピレーションに収録されている曲のリクエストファン投票の順位は高く、どの曲も名曲揃いであることを改めて感じる。そして、『転がる岩、君に朝が降る』『或る街の群青』『ナイトダイビング』と気がつけば、アルバム「ワールド ワールド ワールド」から3曲立て続けにプレイ。『ナイトダイビング』ではサビに入る際の、喜多の跳躍が印象的で、そういった姿をドラムを叩きながらもしっかりと目にしている伊地知の姿もこちらも見逃さない。間奏では、このあと自身のメイン歌唱パートが控えているにもかかわらず、ギリギリまでステージ前方でギターソロを掻き鳴らす喜多の姿もまた最高。


そして、ここからはその喜多がメインボーカルを務める2曲が続く。まずはもはや説明不要『嘘とワンダーランド』。1番Aメロでは、弾くフレーズのないゴッチが踊るような自由な姿でステージ中央に佇んでいたり。そして続く『お祭りのあと』はシングル「荒野を歩け」のカップリング曲で、当時のワールドツアーの東京公演で演奏されて以来の今ツアーでの披露となり、実に8曲に及んだこのブロックを締めた。


「いやー建ちゃんコーナー助かるよ(笑)。」


直後のMCでそう話すゴッチ。そして恐らく直前に演奏した『お祭りのあと』を指してか、「なんか知らない曲やってた雰囲気あったでしょ」と若干の皮肉のようなものをこめて客席に笑いながら問いかける。


「でも俺たち『知らない曲演ってるな』って雰囲気に押しつぶされるくらいなら、もう「リライト」しかできない。」


「その日のセットリスト全部「リライト」になるよ。『ああ、アジカン今日は「リライト」18回演ったな…』なんつってね。」


そんなことを話しつつも、リクエストファン投票の上位に先ほど記述したNANO-MUGENコンピレーションの曲やシングル表題曲ではない曲が名を連ねていることに感謝を伝えるも、「シングルコレクションとファン投票の順位を眺めると、いかに俺たちがファンの気持ちをわかってないか、っていうのが目に見える。『あ、こんな曲ライブで聴きたかったのか!』ってね。」とも話す。


そして、『江ノ島エスカー』でライブは再開。そして『橙』へとなだれ込み、続くは『君という花』。すごい個人的なことになってしまうが、僕はこのライブ終盤で聴く『君という花』が大好きだ。それこそ、横浜BUNTAIでの「ファン感謝祭」のように、二部構成のようなライブで第一部を締めくくるようなポジションに配置されることもある。けれども、もうその日のライブでアジカンの曲を何曲も何曲も聴いたうえで聴く『君という花』には多幸感が含まれていると思うし、曲中その日のライブの様子が走馬灯のように頭の中を駆け巡る感覚になるが個人的に好きなのだ。この日も聴きながら同じような感覚になっていったのが嬉しかった。


そしてダメ押しと言わんばかりに『惑星』をプレイしたのち、本編最後の曲を鳴らす前にゴッチがまた話を始める。


「昨日行った苫小牧市民会館、3月でなくなっちゃうみたいでさ。なくなる前にそこで演れたらいいなって。あと、ライジングサンにも出たいです。こう口に出すと実現できるかなって。ちなみに僕たちはRED STAR FIELDが好きです(笑)。」


笑顔で話し、本編最後、タイトルコールされたのは『海岸通り』。アジカンの中でいつも聴く曲かって言われたら、その類には僕は入らないけど、たまに聴き返してはため息を漏らしてしまうくらいに、確実に「名曲」だなってこの日ライブで聴いて改めて感じた。また、4人だけで鳴らす『海岸通り』に出会ったのが久しぶりすぎてその新鮮さを感じているうちに曲が終わりそうになりかけた。「シンプル」というよりか最小限の音の重なりが、ただただ曲が美しく感じた。


本編が終了し、ほどなくしてアンコール、まずはゴッチが一人で戻ってくるその手には巨大なQRコードが印字されている。


「アジカンのアンコールは撮影OKなんですけど、それを逆手にとってこれを持ってきました。」


と話し始めるのは、先日クラウドファンディングが開始になった「APPLE VINEGAR -Music Support-」。以下詳細。今ツアーでは場内に募金箱も設置されている。



そして、「撮影は良いですけど動画を撮るとソニーの偉い人が来て…」とジョーク交じりに動画は禁止であることを改めて伝える。


そして、「ファン感謝サーキット」という名だけあり、「ファン感謝祭」でも披露した弾き語りを行うことに。


「何を演ろうか悩むんだけど、結局はこの曲が一番良いんじゃないかって思う」、そう話して演奏されたのは、『ソラニン』。歌い上げると、ゴッチに紹介されて登場するのはCosmostudio(喜多・山田)の2人。結成された経緯なんかを話しつつ、終始「ASIAN KUNG-FU GENERATION”さん”」と喜多が言っているのにじわじわきてしまう。そして本人自ら「アジカンのレア曲」と称して演奏されたのは『雨上がりの希望』。そしてステージ上に伊地知が呼びこまれ、「Cosmostudio loves 伊地知潔」でプレイされるは、伊地知作曲の「潔の暴れロック」ならぬ『冷蔵庫のろくでもないジョーク』。山田貴洋(Ba, Cho)のメインボーカルが聴ける数少ないタイミング、公式+内の動画に留まらず、今後もこうして度々目の前に現れることを期待しつつ。


そして喜多の紹介からゴッチが再びステージに戻り、アジカン4人が揃い、メンバー紹介。喜多、山田を紹介したのち、


「次に紹介する人の加入25周年と結成28周年を題してこのツアーを行ってます。あ、ここペニーレーンはナンバーガールの解散ライブの場所だよね、復活したけど」と前置いて、


「神奈川県横浜市金沢区からやってまいりましたASIAN KUNG-FU GENERATIONです。ドラムス、伊地知潔。」


そして伊地知のドラムプレイといい、完全にナンバーガールの「OMOIDE IN MY HEAD」のソレを再現したのち、伊地知のドラムが叩き始めたリズムは『ブルートレイン』。そしてアンコール最後、この日最後に鳴らされたのは、アジカンが現在進行形で鳴らすパワーポップ『出町柳パラレルユニバース』。アジカン16年振りの札幌PENNY KANE24公演に幕を閉じた。


ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2024「ファン感謝サーキット」
2024.10.05 札幌  PENNY LANE24
SetList
1.振動覚
2.リライト
3.路地裏のうさぎ
4.Easter / 復活祭
5.Little Lennon / 小さなレノン

6.エンパシー
7.夜のコール
8.十二進法の夕景
9.転がる岩、君に朝が降る
10.或る街の群青
11.ナイトダイビング
12.嘘とワンダーランド
13.お祭りのあと

14.江ノ島エスカー
15.橙
16.君という花
17.惑星
18.海岸通り

Encore
19.ソラニン (Gotch弾き語り)
20.雨上がりの希望 (Cosmostudio)
21.冷蔵庫のろくでもないジョーク (Cosmostudio loves 伊地知潔)
22.ブルートレイン
23.柳小路パラレルユニバース


後書き


実に16年振りとなったアジカンのペニーレーンでのライブ。当時のことは以前回顧録としてざっくり書いているので、もしよければ。


また、このツアーが解禁になる前に大偏見で書いたツアーの会場予想のnoteも下に載せておきます。


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