弁理士の仕事(特許、商標、実用新案、意匠登録等)
私は趣味で自己啓発、特に潜在意識を研究しています。が、実はメインの仕事は特許や商標の出願を代理で行う弁理士という仕事をしています。
弁理士は、発明者から発明を聞いて、それを特許明細書という文書にして、特許庁に提出します。代書屋、という見方もできますが、出願戦略(マーケティング戦略)まで含めてアドバイスしたり、訴訟対策(警告対策)をアドバイスすることもあります。
私は、バイオテクノロジーの研究開発に約20年間携わってきて、かなり深い知識を持っています。おそらく、若い准教授よりはよく知っているジャンルもあります。もちろん、若い准教授や助教の方が新しい知識は多いと思いますけど。
研究20年、弁理士歴18年位あるので、サイエンスも法律もどちらも得意です。すると、特許庁から拒絶理由が来ても、サイエンスの面からも法律論からも反論することが可能です。
特許庁の審査官は、中には東大卒で博士でハーバード留学、という人も稀にいますが、多くは学卒か、修士レベルです。だとすると、研究歴20年の私よりも、サイエンスの経験は浅いことが多いです。
そうするとどうなるか?ということですが、例えば、大学教授と小学生が議論する場面を思い浮かべて下さい。小学生がいくら理論的に反論しても、大学教授は、あらゆる議論に対して反論して勝てるでしょう。それは知識の深さが違うためです。
ここまで圧倒的でなくても、少し相手よりよく知っていれば、相手を言いくるめることは可能です。というのも、言葉は不完全なものであいまいな面もあるからです。
もっといえば、ディベートで、どんなに相手が正しくても、コテンパンにやっつける先生を見てきました。ものはいいようで、どんなに相手が正しかろうが、論理のすり替えなどで議論で勝つことは可能なのです。それがいいかどうかは別として。
そういう訓練を受けてきているので、多くの場合、審査官との議論でこちらの主張を認めてもらえる場合が多い、ということです。
なので、私の担当した案件の特許登録率は非常に高いです。本気でやった案件であれば、ほとんど特許になっています。開業からしばらくは特許査定率100%でした。
最近は、いろんなお客様が来られ、微妙な案件も出願するようになったので、ときどき特許にならないケースも出てきていますが、それも審判請求や分割出願という手段を使えば、おそらく特許になった可能性が高いです。お客様の予算面で途中で反論を諦める場合もありますので。
他人の発明を代理で書いて特許庁に提出して何が面白いんだ?という方もおられるかも知れません。研究者は主役ですが、弁理士はいわばサポート役で、研究者がノーベル賞を取っても、その特許を書いた弁理士は何ももらえませんし、なんら賞賛の対象にはなりません。
ですから、主役になりたい人に向いているかは不明です。
ただ、私のように研究が好きで、論文を読むのが苦にならず、科学的な議論、法律的な議論が好きな人であれば、弁理士は面白いです。拒絶理由に対する反論は特許庁との知恵比べのような面があり、いかに特許庁審査官の論理の穴を見つけてこちらの主張を通すかのゲームみたいなものです。
とはいえ、発明者や出願人にとっては、何年もの期間をかけて、多くの費用をかけて、いわば人生をかけて発明しているわけですから、1件、1件が命の次位に大切なものであることも理解しています。
場合によっては、その特許にその会社の命運がかかっている場合すらあります。ベンチャー企業の場合は、特許1つで数百億円のファンドを得ることもありますから、1つの特許の価値が数百億円、数千億円、ときには数兆円以上の価値がある場合もあります。
それほど重要な意味がありますから、全ての特許出願について、全力をかけて特許にするようにしています。そう聞くととても責任の重い仕事のように感じられるかも知れません。
が、難しくて、責任の重い仕事でもおもしろい(興味深い)と思ってやることも可能です。
一般論でいえば、何でも本気になってやれば楽しく、面白くなるものです。まして、とても複雑な戦いである、特許庁との知恵比べは相当智慧を絞らなければ勝てない場合も多いです。その知恵を出す過程は苦しいですけど、とても面白いです。
難しいものほど面白いので、楽しめます。不謹慎に思われる方もおられるかも知れませんが、難しい局面ほど、面白くなってきた、と思えます。そして、ほとんどの場合何等かの解決策は見つかります。こんなん、特許にしたらアカンやろう、という場合でも特許にできる場合もあります。
そういうわけで、私は、持っている科学的、法律的知識などの全ての知識を総動員して特許が認められるように頑張っており、ほとんど特許にできています。この仕事はとても充実していておもしろい仕事です。
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