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ケニアの食卓 エチオピア料理店

はじめに

30年近く、アジアとアフリカを舞台に、国際協力という仕事をしていましたが、最後は、去年まで3年間赴任したケニアでした。ケニアには以前にも3年間赴任したことがあり、通算6年間、母国日本以外で最も長く滞在した国です。そのため、思い出が沢山あり、その中には毎日のことである食の思い出も大きな部分を占めています。そして、近年はスマホの発達で、いつもカメラを持ち歩いている状態なので、食べることが好きな私は、ほぼ毎食を撮影しています。そこで、3年間で撮り溜めたケニアの食卓を紹介したいと思います。

エチオピア料理の思い出

エチオピア料理というと、日本ではとても珍しいエスニック料理で、食べられる料理店も少ないです。私が、初めてエチオピア料理を食べたのは、中目黒にあるクイーンシバというレストランです。ここのオーナーであるミスター・ソロモンは私が青年海外協力隊員として派遣前訓練を受けていた時の英語の先生で、そんな縁があって、このレストランには協力隊の派遣前と帰国後に行きました。料理は、基本的にカレーのようなものをインジュラと呼ばれるクレープ状の主食と一緒に食べ、とても美味しかったと覚えています。この頃、日本はバブルの最盛期で、こうした珍しいエスニック料理が高級料理として提供され、場所柄もあって、有名人が訪れた写真なども、たくさん貼られていました。協力隊参加者の私には、少々、場違いで、オーナーの知り合いでなければ、敷居が高く、入ることはなかったでしょう。

エチオピア料理と文化

仕事の関係で、2000年前後にナイロビに駐在したときには、ナイロビにエチオピア料理店が数軒あることを知り、時々、週末に食べに行きました。その当時は、ディナーを食べにゆくとエチオピアの歌や踊りが見られましたが、それらは、あまり、アフリカっぽくなく、むしろ、シルクロードの民族に共通したものがあります。アフリカと言っても、やはり、広いです。北アフリカのエチオピアは、いわゆるサブサハラ・アフリカとは人種的にも文化的にもかなり違いがあります。料理に話を戻すと、私はインジュラもカレーのような料理も大好きでしたが、一般的に日本人に好まれるとは限りません。インジュラはテフと呼ばれる穀物の粉を発酵させてから焼くので、独特な酸味があり、これが好まれないようです。

近所のエチオピア料理店

去年までの3年間、ナイロビに再び赴任すると、やはり、エチオピア料理店は数軒あるのを知り、そのうちの一軒である街中のレストランへ行きました。自分の知っている通り、インジュラの上に数種類の料理が乗った料理が出てきて、堪能しました。それから何ヶ月も経ってから、住居を構えたロイサンブー地区を探検していると、近所にもエチオピア料理店があることが分かり、それからは、何度もそのレストランを訪れ、シェフにも顔を覚えられるほどでした。この地区は大学が2つもある学生街なので、ちょっとお洒落でカジュアルな店が多く、このレストランもお洒落だけれど、敷居は高くなく、懐にも優しいです。

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豪快な盛り付け

初めてケニアでエチオピア料理を見たときには、その豪快な盛り付けにびっくりしました。何しろ、日本のピザLサイズの何倍もあるインジュラの上に、全ての料理が乗ってくるのです。それを一つの皿から、数人で手を突っ込んで食べます。こうした食べ方は、日本ならば、同じ鍋を突くようなもので、各々の皿から食べるのとは、また違った良さがあります。さて、料理の内容ですが、実は、勉強不足で、ここの料理の名前は知りません。辛うじて、チキンカレーが「ドロワット」と呼ばれることだけ、覚えています。そして、最初、このレストランでは、数種の料理が供されるセットは野菜料理のみでした。ところが、ある日、セットに肉料理も入れて欲しいというと、後日、肉料理も入ったセットができました。上の写真は野菜料理の一人分のセットで、下は、肉料理も付いたセットの2人分です。

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ブラウン・インジュラ

基本、3年間のナイロビは単身赴任でしたが、最後の半年間は妻が来て、エチオピア料理店にも一緒に行きました。すると、おっさん一人で行くより良いことがあるものです。妻はレストランの店員とすっかり馴染みになり、特別メニューも教えてもらいました。なんでも、インジュラにも種類があって、ブラウン・インジュラの方が一般的な白いインジュラより美味しいそうです。そう聞いたので、予約してブラウン・インジュラを食べました。見た目は確かに茶色で、白いものより何かの味が強い感じがしました。私にとっては、どちらが美味しいというより、どちらも違った風味があると感じました。

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エチオピアン・コーヒー

エチオピアのコーヒーは、日本で一般的な欧米式の入れ方ではなく、アラビアと同じように小さなカップにひいたコーヒー豆を入れ、そこにお湯を注ぎ、上澄みだけを飲みます。写真には、エチオピアン・コーヒーを収めなかったので、その代わり、レストランで出しているコーヒー豆のパッケージを下に載せます。ただの紙袋に簡単な絵を印刷しただけですが、なかなかお洒落です。後で、このコーヒーも自宅で美味しくいただきました。

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まとめ

日本から見るとエチオピアは遠い国で、その国の料理を食べる機会も稀です。でも、ケニアにとっては近隣国であり、そのため、料理店も複数ありますが、その料理や文化は、明らかにケニアとは違う文化圏に属していることが分かります。まあ、日本のことを思えば、やはり、中国や韓国、それから東南アジア諸国など、近い国々であっても、料理やそれ以外の文化も日本とは異なります。一方、あまり、よく知らない遠い地域のことは、なんでもごちゃ混ぜに考えてしまいがちですが、料理というものを通じて、そうした違いの一端を知ることができます。こういうところが、食べ物の面白いところです。

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