#29. 新卒で知財を目指すなら大規模知財はいかが?

 就職活動シーズンということで、たまにはこんなタイトルの記事を書こうと思い立ちました。私はJTCで働く企業知財です。結構前の記事になりますが自己紹介記事は↓になります。

 また、知財部の仕事については以下の記事もありますので、ご参考までに。一部、内容重複してるかもしれませんが。


1.大規模知財の良いところ

 まず大規模知財というと、50人以上もくは100人以上の部隊を想定しています。

 このくらいの規模の知財がある企業は、たいていが出願件数も多いはずですし、外国出願も多いはずです。ということは出願、権利化に多くの予算が充てられている企業ということになります。特許出願だけに注目しても、アイデア発掘→出願→中間処理→年金管理と様々な業務がありますので、多くの出願をしている企業でないと権利化のスキルは上がりにくいと思います。外国に関しても同様で、この仕事は経験してなんぼの世界だと思っています。特に外国の制度は、仕事しないとホントに身につかないです。なので、様々な出願業務を数多く経験できることが一つ目のオススメポイントになります。

 次に、大規模知財だと、役割がしっかりと分かれていることが多く、狭く深くスキルを伸ばすことができるというのが二つ目のオススメポイントになります。出願部隊と、権利を活用する部隊と、契約担当部隊と、この辺りが分業できていないと、一個のアイデアを深く掘り下げたり、一件の特許のクレームを深く検討するなんてことはできないと思います。また、分業されてるとOJT制度も整っているケースが多く、新人から即戦力であることを求められることも少ないと思います。

 三つ目のオススメポイントは知財規模が大きい=会社規模が大きい、ことになるので、サラリーマンとしての研修カリキュラムが整っていたり、多くの同期の仲間が作れることです。いきなりベンチャーや小規模事務所でキャリアを開始するより、上司ガチャ(職場ガチャ)のハズレの確率も減ると思いますし、同期に助けられる場面もあると思います。

 その他、企業によりますが福利厚生や保険など大企業に勤める恩恵がそれなりにあると思います。

2.さらに好ましくは

 大規模知財の中でも、その企業における知財部の位置付けというのも大事です。企業内で知財部のプレゼンスが高い企業が特にオススメです。

 これは知財に限らないのですが、その企業の花形の部署に配属される方が企業内における出世争いで有利になることが多いです。

 裏を返すと、知財のトップが毎回、開発からスライドしてくる企業はちょっとプレゼンスが低めなんじゃないか?と疑っても良いかもしれません。就職活動の学生は何を質問しても大丈夫ですから、そんな質問をしても良いかもしれません。また、会社のホームページから役員の経歴を見ることで、そういう情報を得ることができるかもしれません(goso@弁理士さん情報)。また企業知財が、本社部門なのか、管理部門なのか、事業部門なのか、によってもプレゼンスは異なります(知財女子会オンライン#公式#さん情報)。また、知財部門が独立した本部の企業や、独立した会社になっている企業もありますので、その企業の社員さんからその辺りの情報が得られると良いかもしれません。

3.大規模知財のデメリット

 と、ポジティブな情報を集めたので、どうぞ来てください!的な終わり方にしようも思いましたが、ネガティブな情報もいくつか。

 まず、知財部門を毎年、新卒採用していない企業もあること。法務は募集しているが、新卒採用の際に知財部門を希望できないという話も聞きます。

 また、オススメポイントであげた役割が分かれていることをデメリットと感じる人もいると思います。ジョブローテされるまで同じ仕事をずっと続けることが基本になると思います。幅広い仕事をしたかったり、事業企画に密接な立場になることを希望する人にとっては物足りなく感じる場面が来ると思います。

 あとは、新卒で企業知財に行くと、その後に開発職に就くことが難しいということも挙げておきます。可能性はゼロではないと思いますが、知財といえど得意な専門技術を入社後ももてるような環境でないと難しいと思います。


 就職活動は、いろんな企業を回ることをお勧めします。社会人なったら、そんな経験できないし、質問にも答えてもらえなくなります。何社落ちても、自分に合う一社が見つかれば完全勝利だと思います。

 被害妄想かもしれませんが、ツイッタラーの私がTwitter見てると、大企業=悪、と思ってらっしゃる方もいそうな気がして、こんな記事を書いてみました。

 学生の方で、もっと質問がある方はTwitterの方にDMいただければ身バレしない程度に回答いたします。よろしくどうぞ。

記事を読んでいただきありがとうございました。 支援をいただければ、また新しい記事を書くモチベーションに繋がります。よろしくお願いします。