【音楽雑記】#16 Stevie Wonder「愛を贈れば」に耳が釘付けになった。(1979年③)
初めて聴いたときの状況をはっきり覚えている曲が数曲ある。その一つが、スティーヴィー・ワンダー「愛を贈れば(Send One Your Love)」 だ。
この曲は1979年の「シークレット・ライフ」の収録曲。
この曲を初めて聴いた時は、なんて神がかった曲なんだろうと思った。
それまでにも彼のヒット曲、「可愛いアイシャ」「マイ・シェリー・アモール」「サンシャイン」などは耳に入っていたはずだが、あまり関心が向いておらずスティーヴィー・ワンダーをしっかり認識していなかった。
「シークレット・ライフ」がFMラジオで流れてきた。
当時のFMラジオは夕方の時間帯によく新譜アルバムを全曲オンエアするような番組があった。カセットテープをスタンバイしてエアチェックができるような番組だ。このアルバムも1979年10月リリースの新譜としてラジオでオンエアされていたのだと思う。
自分が学校から帰って寝転んでうとうとしていた時、「スティーヴィー・ワンダーの新しいアルバムです、、」と言ってこのアルバムが紹介された。
そして寝ながら、耳が釘付けになったのが「Send One Your Love」だった。
フランジャーがかかったハイハット、チリーンというベル。
転調を繰り返す不思議なエレピのコード進行。
独特なメロディーラインと歌いまわし、特徴のある声。
アクセントとなるガットギター。リバーブ深めで厳粛なコーラス。
この上なく美しいハーモニカソロ。
浮遊感いっぱいで、それまで聴いたことのない未来の曲のようだった。
すぐにスティーヴィー・ワンダーとはどんな人なのかを調べた。
その時まで人となりも過去のヒット曲との関係も何も把握してなかった。
コンセプチャルなアルバム「シークレット・ライフ」
このアルバムは映画のサウンドトラックとして制作されたらしい。
鳥のさえずり、自然界の音がSEとして使われ、同じモチーフの繰り返しもある。全体を通して物語になっているような統一感があり、少しスピリチュアルな雰囲気もあるアルバムになっている。
インスト曲も多いが、歌モノのクオリティはやっぱり高い。前作「キー・オブ・ライフ」における溢れ出る才能がまだまだ続いている感じだ。
スティーヴィーの元妻(シリータ・ライト)が歌った、「Come Back As A Flower」も個人的に大好きな曲だ。この頃までのスティーヴィーがつくった曲のいくつかは神がかり的に凄いと思うが、この曲もその一つだ。
さらにWikiによれば、1985年の大名曲「Overjoyed」も実はこの「シークレットライフ」に入る予定もあったが一旦お蔵入りになった曲らしい。そう言えば雰囲気に通じるものがある。「イン・スクエア・サークル」より「シークレットライフ」に入っているほうがしっくりくる。
スティーヴィー・ワンダーは1980年前半にお茶の間にも浸透
スティーヴィーは「シークレット・ライフ」の後、今やサプライズ演出で定番のバースディソング「Happy Birthday」が収録されたアルバム「Hotter than July」(1980)、続けてベストアルバム「ミュージックエイリアム」(1982)をリリースする。
ちなみに「シークレット・ライフ」には、日本語で子供たちが歌っている「愛の園 (AI NO SONO)」という収録曲があるが、この曲は翌1980年に西城秀樹のシングルとして発売された。とても意外な選曲だった。
秀樹がテレビで子供たちとテレビで歌っていたの薄っすら記憶している。
そして、1982年あたりには、来日時のライブがテレビのゴールデンタイムで放送されてた。当時TDKのカセットテープのCMにも出演していた。
こんな感じで、日本でスティーヴィー・ワンダーはかなりお茶の間に浸透していった。
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