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 ロッソが立ち上がり暖炉に薪を足した、シヴァ城の外は、また雪が降り出したらしい深々と冷えている。
 概ねの相談事も段落がつき、まったりとした空気になった。
「弟を見てくるわ」
 イシュタルが中座する、アッチラス大王の嫡子は9歳。黒い髪をした利発な少年、今回の祭りに大王が一緒に連れてきたのだが、大王がカノンの所へ入りびたりなので
 イシュタルが自分たちの宿舎であるシヴァ城へ連れてきた。
 イシュタルは歳の離れた腹違いの弟が可愛くて仕方ないらしく、ほとんどつきっきりで面倒を見ていた。
昼はマサカドの姫と一緒に外へ出て、街の子供達と遊んでいるようだ。

「寝るか」
ロッソが言うと皆が頷いた、入れたばかりの薪を避けて暖炉の始末をする。

 ルナはロッソと一緒に階段を上がる、4階の部屋で別れずに夫の左腕に腕を巻いた、ロッソは微笑み2人は5階の部屋へ行き休むことにした。

 2階ではヒルダが本を読んでいる。羊皮紙のノルドの神話、丁寧にページをめくる
 外は雪が降り続いている、寒さがばりばりと音を立てそうな夜だけれど、シヴァの城は大浴場から出る温気で全館が暖かい。

 物語はジークフリートが死んだ第二部になっている。
 亡夫を忘れられぬクリエムヒルドは、復讐の為エイジアのフン族王エッツェルに嫁ぐ
「愛する夫の仇を討つために、異邦人に嫁いだのね」
 夫を謀殺した兄、ハゲネとグンテルに恨みを晴らす為、策謀を巡らせるが、ゲルマニア全体を巻き込む戦乱に発展し、ついにはクリエムヒルドの部族であるブルグンド王朝は滅亡する。
 また、フン族、ゲルマニア共、あまたの勇士がクリエムヒルドの為に命を失い、これを嘆いたゲルマニア、東ゴート族の騎士ヒルデブラントに亡夫の剣バルムンクで斬り捨てられる。

 ヒルデブラント?私のご先祖様かしら、ヒルダはクスリと笑ってお茶を口にした。

 ルナは長い脚をロッソの太腿に絡ませた、鼻を髭がちくちくする頬に当てる、ごつごつした右手が指を広げ、ルナの金髪を撫でてくれた。
 愛しげになんどもなんども、すぅっすぅっと金の糸のような髪のなかを夫の指が泳いでいる。
 その刺激が心地よくて夫が愛しくて頬に唇を当てる、この男の生命を身篭った、悪阻の不快もなんのその。
 更に愛しくなって、腕に力を込めて男を抱きしめる身体を押し付ける、この身体と心で寄り添えること、それだけで感謝している。
幸せだとルナは思う、たとえ、明日、心だけになって、身体は痩せたみすぼらしい猫になっても、この心と寄り添いたい。
 食べるものが無くても寒さに震えても身体の痛みにのたうっても、この想いを宿した心がそばにあるのなら、私の心もまた、今の様に穏やかで朗らかで笑っているだろう。

 ロッソとは隣国同士で幼馴染。兄グンターの遊びについて行きロッソと遊んだ。
 小さい頃は2人よりルナのほうが体格が良くて乗馬も石打もルナが秀でていた。
 参勤交代で1年ごとにエデンの都を往復しエデンのお互いの屋敷を行き来していたがロッソの身長がルナを越えた頃からあまり行き来が無くなった。

 ロッソと別の剣術の道場に通うグンターが、ロッソの道場と試合をすることになり、グンターの応援に行って久しぶりに成長したロッソを見た。
 ロッソは大声で仲間の応援をし、勝った者を称え負けた者を励ます。闊達な態度と笑顔、ルナの目はいつしか幼馴染の赤毛を追っていた。

 参勤交代が無く国許に居る年は、兄が心配するのをよそに塀の外へ警護の供も連れずに、ベルと2人で薬草やハーブを取りに行きロッソが馬を休ませる泉で薬草を洗い、ロッソを待った。

 心待ちにして居た蹄の音を聞き、ロッソがやって来ても、幼い頃の癖で強い態度に出て、悪態をつき城へ帰ってから落ち込んでベルに慰められる。

 落ち込んでいるときは悪い事が起こるもので、盗賊に襲われた日は、もう駄目かと思った。
 けれど、心でロッソを呼んだら駿馬で飛んできて鮮やかに助けてくれた。間もなく、兄であるクロノス公爵に輿入れの申し込みがあり、ロッソにふさわしいだろうと想い、生まれた時からルナ自ら世話をしてきたグラーネという駿馬を連れて嫁いだ。

 恋という狂おしい感情を通り過ぎ自ら手向ける暖かな感情、自分の中からそれが出ると思うだけで嬉しく、それに返される暖かさが至福。

 ルナは冬が好き、こうして夫の暖かさを感じる事が出来る。

 狂おしく求める感情が去り互いを意識せずに生活をして、ふとしたときに、こうして包まれ一つで居る暖かさを感じる。身体の目は見ていなくても心の目はいつも自分を見守っている、それはルナも同じ。
 そして、夫は身体も使って愛を伝えてくれる、言の葉に乗せてルナが安心できるように、ルナが恥ずかしくなるくらい、愛してると告げてくれる。

 深い闇に居るときも、光り輝く空に居るときも。寒さの中に暖かさの中に熱さの中に、それぞれの身体と心を持ちながら、一つの魂に繋がる私たち一つの魂で繋がる男と女。
 ロッソと一つの魂から分かれて来ているのだと感じる、それを何物にも変え難い幸せだとルナは思う。
 そして、唐突に自分たちが何であったかを、思い出した。巫女がこの城に訪ねてきたときスイッチが入ったように、全てが見えた。
 羊皮紙に包まれ書庫に鎮座するのは古の神話ではなく、自分たちの恋の物語であったのだと・・

 あのときの試練が今の結びつきを創ってくれている、神話の時代に比べてロッソは飄々として人を喰った奴になったが、それはそれで頼もしい。
 横臥して夫を見つめていたけれど、仰向けになり、ごつい手を自分から握り締めて、ゆっくりと呼吸をする。
 大きな手が力強く、それでいて優しく握り返してくるロッソの匂い、そう思ったら眠っていた。

ヒルダは羊皮紙のページを戻す。 第一章ジークフリートが死ぬ場面。

 クリエムヒルドの母ウォテに騙され忘れ薬を飲み、妻ブリュンヒルドを忘れたジークフリートはクリエムヒルドと結婚した。
 ブリュンヒルドは仕方なくジークフリートを取り戻すために、クリエムヒルドの兄グンテルに嫁いだ。
 ブリュンヒルドとクリエムヒルドの間で起きた女の争い、クリエムヒルドはジークフリートとの睦言で秘密を知り、ブリュンヒルドが嫁いだときに乙女でなかったことを詰る。

 グンテルはこれをブルグンドに対する侮辱と感じ妻の罪は夫の罪であると、クリエムヒルドの夫であるジークフリートに怒りを向ける。
二組の男女の婚礼の祝宴が終わりジークフリートはグンテル、ハゲネと狩りに出かける
 ジークフリートの指には呪われたニーベルングの指環。持つものに世の全てを約束するが同時に災厄をもたらすもの。
 ブルグンド族の覇権を狙うハゲネとグンテルはこれを狙い、クリエムヒルドに聞き出させたジークフリートの弱点を狙っている。 狩りに疲れ泉に休む3人、泉の菩提樹で啼くカラス。
「なんと啼いている?」
グンテルがジークフリートに問う。
「女を知ってから鳥獣の言葉は聞こえない」
 答えるジークフリート、3人はカラスを見ている。
「教えてやろう、復讐せよと啼いているのだ」
 言葉と同時にハゲネが後ろから槍を投げる、ジークフリートの左肩下を背から貫く大神オーディーンのグングニルの槍。

 瀕死のジークフリートの身体から血と共に忘れ薬が抜け全てを思い出した。 彼は愛しいブリュンヒルドの名を呼び、思いも拠らぬ不実を詫び、永久の愛を誓って息絶える。
 そのとき駆けつけたブリュンヒルド、クリエムヒルドが彼女を罵る。
「貴女が嫉妬で殺させたのね、貴女なんかブルグンドに来なければ良かったのだわ」
 かたや、ブリュンヒルドは冷静に
「哀れな人よ、彼は貴女の女に惹きつけられただけです、彼は私の夫でした、貴女が嫁ぐ遥か前、私は純潔の中に契り、永久を誓いました、本当の妻は私です、それを思い出して欲しくてブルグンドにやってきたのです」

 真実を知り半狂乱のクリエムヒルド、心にグンテルとハゲネへの恨みがわきあがり、後の悲劇に繋がっていく。

 ブリュンヒルドは暫し死した夫の顔を見つめ、呟く。
「彼はひどい裏切り者で愚か者でした、けれど、友誼に厚く、優しく、愛情豊かで純粋な人でした」
 そして家来に薪を積み上げるように指示した。彼女がジークフリートに贈った駿馬グラーネがやって来る。 薪の上に置かれ荼毘に付されるジークフリート。

 燃え上がるジークフリートの遺体、ブリュンヒルドは羽のついた兜を被り神馬グラーネにまたがり燃え盛る炎に飛び込んだ
「この苦しみはより強い絆のために、ジークフリート、今行くわ」
炎は2人を包み天まで届くほど大きくなり、やがて真っ白な光に変わり唐突に消えた。

 ヒルダはぱたりと本を閉じる一番好きな話、何度読んでも涙が零れてしまう、甘くて哀しくて切なくて。 幸せとは何にもこだわらず一つになることだと教えてくれる物語。


 シヴァの神皇区に神皇帝国全ての諸侯が揃った。 昼は祭りで盛り上がり、そこ、ここで酒が飛び交い詩が歌われ、踊りが踊られる。
 ロッソは神皇区の店の商品を買い切り、全てただで振舞った。諸侯、その家来、神皇区の街の者は言うに及ばず、シヴァの国、クロノスの国、周辺の国の住民も話をききつけやってきたから、神皇区の人口は通常の2~30倍に膨れ上がり、神皇区の城塞の外にまでテントを張り、王も貴族も平民も入り乱れて、ドンチャン騒ぎが繰り広げられた。

 レジデンツの中には諸侯の席が設えられ、イヴェント用の広間は立食の用意がされた。
 人でごった返し。ベルがいくら上手に仕切っても手が足りない、しまいに、ルナとヒルダも厨房から料理を運ぶのを手伝った。
 平服で料理や飲み物、食器を運ぶ二人を誰も王妃とは思わず、飲み物を注文する者も居た。 ルナもヒルダもかしこまりましたとニコニコしながらオーダーに応じる。
「冷たいワインをいただけますか?」
 丁寧な調子の鈴を転がすような声に振り向くと、オレンジのドレスを着てアッチラスに寄り添う巫女が居た。カノンはメイドがルナなのに気づき目を丸くした。
「これは、王妃さま、とんだ失礼を」
「いえ、赤と白どちらになさいます?巫女さま」
「あたくし、アッチラスの妻になりましたの、アッチラス王妃とお呼びくださいな」
 今度はルナが目を丸くした。
「シヴァの国も戦費が嵩みすぎて人件費を節約かしら?」
 カノンが形の良い鼻をそらして言う。
「いえ、大王妃さま、シヴァは元々、王自ら刈入れをするような貧乏国ですわ、それを、どなたかがご存知でしたら、竜も出ませんでしたでしょうね」
 ルナがにこにこ笑いながら言う、カノンの頬がぴくりと動いた。
「どうぞ、大王妃さま、赤と白お持ちいたしました」
 何かを言い返そうとしたカノンの目の前に銀の杯が差し出された、銀のトレイから絶妙のタイミングでヒルダが2つの盃をカノンに渡し、ヒルダは言葉を飲み込んだ。
「大王様が当家の白をご所望でしたので、王妃様お急ぎ遊ばせ。それからカップに着いたルージュは拭ってくださいましね、純銀なので、磨くのが大変ですから」
 ヒルダはにこにこ笑いながら言うとお辞儀をしルナの袖をひいて、さっさと厨房へ戻る。

「ありがとう、ヒルダ」
 ルナが笑う、ベルが気づいてこちらを見た
「ルナさま、どうなさいました?」
「ベル、ちょっと厨房隣の支度部屋が散らかります、それから、お皿が30枚くらい割れるけれどあとで片付けますから」
ルナはそこにあった皿の山をかちゃかちゃと抱えると厨房を出た。
「ちょっと、ルナ」
 ヒルダが追ってくる、そこへイシュタルが入ってきた。 ルナが壁際のテーブルに皿を置く。ヒルダは察して部屋を出た。
「空気読めずの馬鹿女」
 ルナが皿をレンガの床にたたきつける、豪快に割れて良い音がして破片が飛び散る。
「ルナちゃん、私にもお皿を分けて」
 ルナが手でどうぞと促す。
「女好きの馬鹿オヤジ」
 これまた、派手に割れて飛び散る。二人の美女が罵りながら30枚の皿を全部割ったときヒルダがロッソを連れてきた。

「なんだ?どうしたんだ?」
 ロッソは呆気に取られて立ち尽くす。
「はい、ハイネス」
 ヒルダが箒と塵取りを渡す。
「ヒルダ、グッドジョブ」
 ルナが親指を立てて腕を前に出した、イシュタルも同じポーズをする。
「ロッソ、片付けておいてね、かがむとお腹に障るから」
 ルナはにこにこ顔に戻った。
「あぁ、そりゃ良いけど、どうした?」
「良いの良いの、お皿代とレンガの床の修理代、貴方のお小遣いから引いておきます」
「なんでだよ」
 ロッソは破片を見つめながら涙目に成った。
「自分の胸に聞いてくださいね、ハイネス」
 ルナとヒルダはメインダイニングへ戻った。
「私もオヤジから小遣いせびろう」
 イシュタルも出て行った。納得の行かないロッソはそれでも床の掃除を始めた。

 夜、ルナもロッソも盛装をした、黒のドレスに金髪が映え、薄くひいた紅もあいまって我ながら良い出来だと思う。
 ベルに手伝ってもらって締めた腰が気になったがレセプションが終わったら、平服に戻る気で居る。
 部屋の前で赤を基調のロイヤルスチュアート・キルトを着たロッソが待っていた。
「綺麗だね、ルナ」
 ロッソが目を大きくして褒めてくれた、頬が温かくなった。
「ありがとう」
 エスコートされて階段を降りて行く。
「片付けよう、子供を安心して育てられる国にするんだ」
 ロッソが歩きながら穏やかに言う。ルナはそっと頷いた。

 
 メインダイニングには大きなテーブルが数列設えられ50組の王侯貴族が着席している、主席にミハイル・ハドリアヌス皇帝とアルテミス皇妃。 すぐ向かって左側に、アークコジロー・マサカド・ティラー・カンムー夫妻、右側にウィステリアフィールド公爵夫妻、 セイワー公爵家から公爵の幼い次男と公爵の妻、ガリア王、ゲルマニア王、ラテン王・・・
神皇帝国の主だった諸侯。

 ルナはロッソと一緒に末席に着いた。向いにオブザーバーのアッチラス大王がカノンを伴って腰掛けていた。

「本日は私の為に諸侯にお集まり頂きありがたく思う」
 ハドリアヌスが立ち上がり、皇帝然として言った。諸侯が拍手する。
「この機会を設けてくれたシヴァ王に礼を言う」
 全ての視線が、ルナとロッソに集まった。
「そして、気づきをくれた、シヴァの国に感謝している」
 拍手が続く。
「我が教会の敬虔なる信者よ、聞いて欲しい。今、朕が話すことを、それぞれの国へ戻り伝えて欲しい」
 ハドリアヌスは皇帝として法王として話を始めた。 

 1000年前、我が始祖はラテンの国で当時乱れた神皇の教えを憂い原点に戻り、そこから新たに教えの道を見つけ、神の兵をもって帝国を築いた。 皆の先祖の協力もあり、今日の帝国がある。
以来、教えは清いもの美しいものとして始祖より流れてきた・・・が
どんな清い川も流れるにつれて、色々なものが流れ込み徐々に汚れていく朕は汚れが悪いとは思わない、それは、肥やしとなり食物に変わり人を飢えから救ってくれる。

 ただ、人には時として貪りという毒が芽生え自分だけ特別だと言う想いが全て一つのものから離れる原因になり、神と言う光、そして、人の中の光から離れることに成る。

 怖れずに自分の罪を見つめたい。朕と先代は貪ることを気づかずに、していた。皇帝になったことの本当の意味を考えず自分が特別であると思いあがり、人を踏みにじり、一人である不安から逃れるために、快楽を求め、背徳を求め。外見が違う、信仰の仕方が違う
数代前は神皇教徒ではなかった、そんな理由でクロイツェラーを差し向け、蹂躙してきた。

 シヴァの国へやってきて、貪りと言う盗賊に襲われ、供も皆、倒されシヴァ王に助けられた。 シヴァ王は朕を慰めるために聖夜祭を大きく広げ。我が遠戚のマサカドを呼んでくれた。 エデンの道場で同門でもあった、朋、マサカドとここ数日夜を徹して話をした。今まで、誰も朕とこんなに話してくれたものは居なかった。
 皇妃、アルテミスとも解り合える事が出来た、神皇教会は本山を始祖の場所に戻そうと思う。 我が舅、ガリア王とラテン王の協力を得て、ラテン王国ロマーナンにあるパチドラ大聖堂で、もう一度原点に戻ろうと思う。
 
 ハドリアヌスは訥々と、しかし雄弁に熱く語った。
根回しがしてあったから、諸侯から驚きの声は無く熱い拍手だけが沸いた。

 この戦いの趨勢を、朕はあるものから神が勝つと聞いた。朕が勝つものだと思っていたが、そうではなかった、神の代理人たる朕という人間ではなく、今、朕の中にある気づき、これこそが神の勝利なのだと思う。
神の勝利は、皆が気づきそれぞれが何であるかを思い出すこと、貪りあうことではなく、与え合うこと。

 胸の奥底、身体の奥底から沸く温かい感情を互いに注ぎあうこと、それを朕も時折しか思い出せぬ。
 ゆえにパチドラへ行き、いつも思っていられるようにしたい、そして神皇教会はそれを教える教師でありたい、他に教えることで自らが学ぶこと、それこそが神皇神学の骨頂なのだと、始祖の言葉にもある。


 マサカドはカウントベリーでブラバス国教を造り本山にするという、ここでも真の自分を見つめるものが増えるだろう
 この島は遠戚、マサカドに任せることにしたこの諸島に素晴らしい教えが広まることを願う。そして大陸の神皇と肩を並べ切磋琢磨できることを・・・
 教会税以外の過剰な税は廃止する、今にそぐわない戒律も取り止める、時代とともに、皆と話し合いながら、教えを広めて行きたい、神の国で共に生きたい。

 さぁ、シヴァ王の心づくしを皆で楽しもう、年明けにはカウントベリーをパチドラへ移す。さぁ、楽しもう別室広間に酒肴が用意されている神の恵みに・・・感謝を!!


 ハドリアヌスが立ち上がった、諸侯も立ち上がる。拍手の中皇帝と皇妃が広間へと出て行く、拍手で2人を見送るルナは視線に気づいた。
大王に並んだカノンがこちらをじっと見つめている。視線を返すと怯えたように、あわてて視線を逸らした。
諸侯も皇帝につられて部屋を出る、一同が広間に集うとハドリアヌスが杯を上げ乾杯と叫んだ。
諸侯も唱和する宴が始まった。


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