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風の広場

 昨日は家族に会いに日帰りで大阪。待ち合わせが早かったので、4時過ぎに猫に起こされたのを機に人間も起床。鞄には、春に買って、積読になっていた「大阪」(岸政彦/柴崎友香)の文庫版をいれて、近所の駅の始発に乗って大阪へ向かった。
 
 私は本にカバーをかけないことが多い。かけた方が本は傷まずにすむけれど、外で読むときに誰かの目に触れるようにかけないことが多い。好きな本ならなおさら。多少傷んでしまっても、気に入りの本を手放すことはあまり考えられないので状態はあまり気にしていない。
 が、大阪に向かいながら「大阪」というタイトルの本を見せびらかすのはちょっとムズムズした(自意識過剰)。けどそれも束の間。内容がよくて、ぐっと引き込まれていた。

 先日の衆院選で、維新大国となった大阪。自民に勝てる政党に入れた人が多かった結果とも読めるけれど、家族が暮らしている街。一日行っただけでも、自分の住む都市より、エネルギーが充満していると感じる。そのうち何日か刺繍しながら滞在してみたい。維新や万博のイメージからくる大阪と、私が好んで読んでいる大阪在住の岸政彦さんや、ライターのスズキナオさんの本から受けるイメージは、あまりにも違う。私は彼らの本から読みとれる大阪が好きだ。何とかならないのかな。

 今日は家族と別れたあと、一人梅田に向った。以前スズキナオさんの本、「遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ」で読んで行ってみたいと思っていた「風の広場」に行くためだ。本の中で、ナオさんは梅田エリアでいちばん気に入りの場所だと書かれている。大阪は家族に会うためにたまに行くけれど、いつも新大阪で高槻方面の在来線に乗り換えるので、梅田は2年前に砂鉄さんとナオさんのトークイベントに行って以来だ。しかし日曜、ものすごい人。けどまぁここまで来たし、とルクアとルクア1100の間にあるエスカレーターに乗る。エスカレーターは途中までは1Fごとに設けられているが、7Fからは一気に10Fまで行ける。そこから11Fまで登ればものの数分で「風の広場」に着いた。
 確かに。こんな都会のど真ん中に開けたフリースペースがあるのすごい。「風の広場」だった。名古屋にもこういう場所ってあるんだろうか。人はたくさんいたけれど、各々に過ごしていて、そのビルのテナントで働いている人らしき人が休憩したり、若者たちが自撮りしていたり、一人で雑誌を広げている人、雑談している人、色んな人が居た。たんなる映えスポット(もうこういう風に言わないのか)として機能しているわけでは無く、各々に楽しみ方がすでにあるような感じだった。いいな。今度は平日に行きたい。今度はナオさんの定番「風どん」(風の広場でどん兵衛を食す行為)を試してみたい。

 にしても大阪が心配だ。まじで余計なお世話と思われるかもしれないけど、大阪で教育を受けていくであろう小さな家族のことが心配だ。だから、関心がある。ちょっと当事者でないと関心が持てない自分にまたがっかりするとともに、これからも岸さんやナオさんのフィルターを通して大阪のことを見ていきたい。まだ絶望するには、はやい。

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