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白鳥の飯集い

すでに先月の夏みたいな暑さの日から、コーンコーンと鳴く空をよく眺めてみると白鳥をはじめとする冬鳥がシベリアやカムチャツカから渡って来ていた。
鳥は日照時間を図る体内時計で季節を感じとっているらしい。日の出とともに動き出し、日が暮れると寝床へ帰る1日の生活環から渡りの機会を伺っているのだろう。
毎年同じ頃遡上するはずの鮭は、今年はどうも遅れているそう。三面川は種川にほとんど遡上が見られない。海中では日照より水温の方が影響するんだろうか。

先週の間日には期日前投票を済ませていた。感染症対策として、いつもより会場は広い部屋で、小選挙区と比例、最高裁判事をそれぞれ記入する場所が細かく分かれ、田舎特有の空間を広々と使った贅沢な、すこしだけ孤独なスペースに仕上がっていた。

外に出たついでに給油を済ませると、農道でたむろしている年寄りがいる。畑仕事を終えたばかりなのか、地球色のつなぎを着たままガードレールに腰掛けたり地べたに直に座ったりしながら談笑している。横を通ると一斉にこちらを一瞥した。

すこし行くと田んぼの真ん中で落ち穂をついばむ白鳥が集っている。年寄りより規模が大きい。が、近づくと群れの縁にいる白鳥らはやはりこちらの様子を伺って首を伸ばしてくる。

彼らは水辺を寝ぐらにしながら、昼間の多くを田んぼでの食事に割く。飛び立って移動するときの主な単位は家族だが、就寝や食事時、大きな渡りを行なっているときはもっと大規模の隊列を組んでいる。濁った灰色をしているため若鳥の方が大きく見えたりするが、近くで所作を見ているとその幼さは目につく。警戒心より好奇心の方が勝つ感じ。

冬鳥として渡ってくるのは白鳥ばかりではない。鴨や雁、大菱食いおおひしくいなど、様々な大きさの連中が潟湖にひしめいている。

この辺りでは鴨猟が盛んで、冬になると一度は鴨鍋をつつく。以前は口に含んだ肉に散弾銃の欠片がゴリッと混じったりしていてあまりいい印象もなかったが、鴨だし蕎麦にはまってからちょっと待ち遠しい。
鴨屋をやっていた知り合いから、今では機械式の仕掛け網のようなもので殺さずに捉えると聞いた。そういえばその昔、白鳥を食べたという話も聞いたが、肉の赤身が強くてあまり旨くないとか言っていたような。

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