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サービスと言うと

「お客様は神様」
「接客や接遇、おもてなし」
「おまけや値引き」

のような言葉を想像しますが、サービスの本質はそこではありません。
誤解を恐れずに批判覚悟でハッキリと言いますが、

日本のサービスは「おかしい」

と思いませんか。

大きな声で元気な挨拶。
同じことを100回聞かれても懇切丁寧に答える。
慇懃無礼なマニュアル通りのおもてなし。
お客様は常に神様、どんなに大声を出されても傾聴するのがプロ。
クレームも真摯に受け止めてファンにしよう。
高級ホテルや某テーマパークのようなサービスを真似しよう


日本のおもてなしは「素晴らしい」と称賛されていますし、
それは私も認めます。

とはいえ、
働いている人は「心の底から納得して」そのサービスを提供していますか。過剰要求に対しても引きつった笑顔で接客し、自宅へ帰ったらクタクタに疲弊していませんか。


昭和の右肩上がりの時代なら、少々のストレスに耐えてもその先に給料アップや充分なボーナス、昇進がありました。社会全体が景気が良かったので、「まあ、そんなこともあるよね」で社会全体がお客様は神様を許容していたのかも知れません。

先日、地上波の人気番組で某テーマパークで掃除を担当する方が水で地面に絵を描いてくれるサービスに感動したという話が紹介されていました。

卓越した素晴らしいサービスですね。
15年間アルバイトとして働き、今年、ようやく社員になれたそうです。

感動はいらないから正社員にしてくれって、話ですよね。

Twitter界では「働いている人にも魔法をかけているのか」と話題になっていました。

便利なコンビニの裏でボロ雑巾のように働かされている現実も、私たちは知ることになりました。私はコンビニをほぼ毎日利用していますし、企業の商品開発力や流通の仕組み作りは世界一だと思いますし、それは日本の誇りです。

なのに、

それなのに、惜しい。本当にもったいない。

その素晴らしい企業の持つ力を、ぜひ「働く人」への幸せにも向けてあげて欲しいのです。

誤解を恐れずに言います。

日本のサービス業は基本的にやりがい搾取だと私は感じています。

とは言え、

本当に問題の根が深いのは、経営トップや管理職には「やりがいを搾取している」自覚はないと思うのです。なぜだかわかりますか。

どうすれば、年々高まる顧客の「際限の無い」過剰要求と、従業員満足を両立させられるかの手法が分からないのです。

大企業批判がしたいのではありません。上場企業や地方自治体からもたくさんのお仕事をいただいています。

学歴も高く、優秀な方が経営トップにいらして、人徳もある素晴らしい方々ばかりです。本社にも優秀な人が集まっています。

そして、どうしたら顧客からのクレームが減らせるか、従業員満足を実現できるか、日々考え、頭を悩ませています。(たぶん)

だから、サービスにしても経営にしても、本質に立ち返りましょう。ということです。行き過ぎた過剰サービスや、過剰な先進的やりがいへの依存から脱却するためには「本質」を深く学ぶ必要があります。

昭和は終わり、平成の失われた30年、そして令和。
正規雇用は激減し、給料も増えない、
生活の不安を感じながら仕事をする人たちに

「サービスとはお客様の声を丁寧に聴くことだ、お客様の勘違いで大声出されても、それは勘違いさせたこちらが悪いのだから、とにかく謝罪。ご理解いただけるまで丁寧に謝罪。」

こんな風に、
昭和の浪花節的研修講師はいまだに精神論こそ美徳と信じて、それを現場に強制します。すると、現場はどうなるか。

疲弊します。

当たり前です。

現場を疲弊させている主たる原因は、
賞味期限の切れた昭和スタイルのおもてなしを未だに
現場の納得感がないまま、教育と称して指導しているからです。

だから、疲弊して当たり前なのです。
正しい「サービスのありよう」を教えてもらえないまま、

戦場に送り出されるのです。タケヤリ持って死んで来いと現場は言われているのです。死ぬときは、口角上げて笑顔でね、と。

私は昭和58年から鉄道の現場で駅、車掌を経験し、
常識では考えられない様々なクレームやトラブルと向き合って来ました。

現場の大変さは現場を実際に体験した人にしか判りません。

「傾聴しようにも怒鳴るだけで人の話を聞かないお客」や「言ったものがちで権利ばかり主張するお客」におもてなしなど通用しません。

研修で習った接客など、過剰要求をしてくるお客の前では無力です。

疲弊した現場では若い人を中心にメンタルをやられて休職したり、早々に退職してしまう人が増えています。昭和や平成の牧歌的な時代とは異なり、今、サービスの現場は非常にデリケートでナーバスです。顧客の要求レベルが高すぎるのです。

その時代の急激な変化に目を向けることなく、「最近の若い人は根性がない、努力が足りない」と嘆きますが、それは時代遅れの接客マナーをいまだに現場に押し付けているからなのです。

iTunesで音楽をダウンロードする時代にレコードの針の品質管理を教えているようなものです。

繰り返しますが今、日本では急激に社会環境が変化しています。従来型のサービスや会社運営への価値観、経営手法、規模や売上の拡大を目指すだけでは事業の継続が難しくなっています。人もどんどん辞めて行きます。

当たり前です、私だって現場の状況と上から指示される「サービスとはこうあるべき」との乖離に耐えかねたら辞表を出します。それがまともな人の思考です。いい人から辞めていくのです。

取ってつけたような枝葉のテクニック論や精神論、根性論、やりがい搾取は終わりにしませんか。

令和の時代のサービスや経営の価値観をグローバルスタンダードに合わせたい。そんな想いで「サービスや経営の本質」を発信しています。

私はカリスマ経営者ではありませんが、「日本のサービスは明らかにおかしい。もっと現場を大切にするべき。それが企業経営においても、最適解」という想いを毎日発信しています。

YouTubeでもご批判はたくさんいただきます。

それでも、私は「今、日本のサービスのありようは絶対におかしい」と声を大にして社会に一石を投じたいと考え、YouTubeやnoteなどで、未来の若い人たちがもっと安心して穏やかに暮らせる社会の実現を目指しています。

【参考】
私のYouTube動画で最も痛烈に批判コメントをいただいている動画です。ぜひご覧ください。今の日本では受け入れられない思想だとは、私も思います。日本はなんだかんだ言っても、「お客様は神様」ですので。この呪縛が取れるまであと何十年かかるのやら。



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