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アクションの授業。
1年目の最後のアクションの授業。
今まで習ってきた、基礎の殴りや蹴りを組み合わせて、アクション映画さながらの流れを1人ずつ順番にやっていった。
友人達が流れをどんどんこなしていく。
先生も覇気があり、芝居もさすがプロという感じだ。
対して私は、自分の番がくるまでの間に
徐々に体がおかしくなってくるのだ。
どうしよう。
復習して完璧にこなさなければ。
失敗しないようにシミュレーションしなきゃ。
皆に迷惑をかけてしまう。
皆を困らせてしまう。
という思考が一瞬で頭を駆け巡り、動悸が激しくなる。近づく度に激しさが増す。
お腹も痛くなり、呼吸も荒くなってくる。
腕、手、指先……痺れと震えを感じる。
落ち着かなきゃ。大丈夫、できるから。と深呼吸をして落ち着かせる。
だけど出てきた症状はすぐには改善しない。
時間も進んでいく。
焦る。どうしよう。怖い。
判断が出来なくなってくる。
頭が真っ白になる。
まるでプチッと穴が空いて、広がるように。
自分の番。
始める前にお茶を飲み、再び壁に手をついて深呼吸して、落ち着かせる。
皆の方を向く。
皆が見てる。
ああ、怖い。
失敗するのが怖い。
でもやらなきゃ。役者だから。芝居だから。
手合わせ。
避けて、また避ける。
焦りと判断がつかない状態でやってるから途中からわからなくなる。
きっと皆、
なんで最後の方なのに覚えられてないんだ
出来てないじゃん
って思ってるんじゃないか。
イラついてるんじゃないか。
バカにしてるんじゃないか。
そう考えながら止めて、殴って、避けて、殴って、蹴って、また避けて…
ああ泣きたい。震えが止まらない。
頭が真っ白。動きがわからなくなる。焦る。
だけど皆は教えてくれる。ありがたい。
そして心の中で、
何も出来てなくてごめんなさい。
困らせてごめんなさい。
迷惑かけてごめんなさい。
って謝る。
皆のことは信頼してないわけじゃない。
皆は悪くない。
だけど、過去のトラウマがどうしても皆に重なってしまう。
そしてまたごめんなさいって心の中でつぶやく。
終わって、もう1度やる。
そしてもう1度、落ち着けと壁に手をつく。
皆は焦らなくていいよ、大丈夫だよ、
そう言ってくれる。
嬉しい。
でも足を引っ張ってる。
わからなくなってる。
なんで皆みたいに出来ないんだ。
なんでいちいち怖がるんだ。
なんで1歩踏み出せないんだ。
なんで震えが止まらないんだ。
なんで動悸が治まらないんだ。
ただでさえ自分は皆に迷惑かけてるのに。
叫びたい。叫んだら少しは吹っ切れそうなのに。
そう思ったら泣けてきた。
心臓が痛い。お腹が痛い。頭が痛い。手足が震えて痛い。辛い。しんどい。吐きそう。崩れ落ちそう。
けど、やらなくちゃ。
何度もやる。
そして本番。撮影した。
結局、ところどころ間違えてる。
皆はちゃんと出来てるのに。
役に入りきれてない自分が情けない。
帰ってまた泣く。気持ち悪い。自分が気持ち悪い。
そしてまた自責をする。
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