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顔料と染料の違いとは?特徴や見分け方についても解説!
インクジェットプリンターを購入する際に、「顔料」や「染料」といった記載を見る機会がありますが、両者の違いがよく分からない方もいるのではないでしょうか。
顔料インクと染料インクの違いを理解しておくことで、用途に合ったプリンターを選べるようになります。今回は、顔料と染料の違いや特徴、用途や用紙について解説します。
顔料インクと染料インクの違い
顔料インクと染料インクの違いは印刷をする際のインクの付き方にあります。顔料インクは用紙の表面にインクを定着させ、染料インクは用紙にインクが浸透することで色が付く仕組みです。
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この色の付き方の違いは、印刷物の仕上がりにも大きく影響します。
顔料インクと染料インクは得意な印刷物や用途が異なるため、あらかじめ特徴を理解して使い分けることが大切です。
ここからは2種類の塗料の特徴や、メリット・デメリットを詳細に見ていきましょう。
顔料インクとは
顔料インクとは、粒子が大きく水や油といった溶剤に溶けきっていない塗料のことです。
顔料インクが印刷用紙の表面に定着することで色を出すため、印刷物がくっきりとした仕上がりになります。
また、顔料インクは染料インクと比べて水や光に強く、長期保存にも適しています。
顔料インクのメリット
顔料インクには次のメリットがあります。
印字がはっきりとしていて鮮明
使える用紙が豊富
印刷後にすぐ乾く
顔料インクはインクが印刷用紙の内部に染み込まず用紙の表面に定着するため、普通紙やマット紙などさまざまな用紙で使用でき、印字がはっきりとしていることが魅力。
写真などに求められる細かな色の表現度よりも、表やグラフ、ドキュメントといった見やすさが求められるシーンで効果を発揮します。速乾性があり、印刷物を乾かす時間が必要ない点もビジネス向きといえるでしょう。
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顔料インクのデメリット
顔料インクのデメリットは次の通りです。
写真印刷には向かない
染料インクよりも値段が高い
顔料インクは文字や色が鮮明に印字されますが、色の表現度では染料インクに劣ります。そのため、特に写真プリントのような、細かな色使いが求められる印刷物には向いていません。
また価格面においても、染料インクよりもコストがかかります。
染料インクとは
染料インクとは、粒子のサイズが非常に小さく水や油といった溶剤に溶ける塗料のことです。
染料インクはインクを用紙に染み込ませることで色が付きます。そのため、グラデーションや発色といった、色合いを表現する力が抜群です。
顔料インクで印刷したものと比較すると、染料インクで印刷したものの方が透明感のある仕上がりになります。
染料インクのメリット
染料インクには次のメリットがあります。
細かな色の表現が得意
光沢紙にも色をきれいに表現できる
顔料インクと比較して安価
速く印刷できる
染料インクはインクが紙の内側まで浸透するため、写真をプリントする際に色が鮮やかに仕上がることが魅力。光沢紙などに印刷する際にも、表面のツヤ感を保てます。
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また、顔料インクと比べて値段が安く、印刷スピードも速いことから、自宅でたくさんの写真をプリントするときに向いているでしょう。
染料インクのデメリット
染料インクのデメリットは次の通りです。
完全に乾くまでに時間がかかる
水や光に弱い
染料インクは印刷物が乾くのが遅いことが難点。印刷したばかりの印刷物を重ねておくと、インクがほかの紙にうつってしまう恐れがあるため注意が必要です。
また、水や光に弱いというデメリットもあります。水などでぬれるとじんでしまう場合があり、光に当たると色あせしやすいため、印刷物の保存方法にも気をつけなければなりません。
顔料インクと染料インクはどっちがいい?使い分け方
顔料インクと染料インクには長所と短所があるため、どちらがいいかは一概に言い切れません。両者の特徴を知って使い分ける必要があります。
顔料インクと染料インクを使い分けるポイントは、両者の用途や適切な用紙を考えて選ぶことです。まずは、それぞれの用途や適している用紙の違いをしっかりと理解しておきましょう。
顔料インクと染料インクの用途
顔料インクと染料インクには次の用途があります。
<顔料インクの用途>
グラフや図、プレゼン資料などを印刷したい
印刷物を長期間保存したい
顔料インクは印字がはっきりとするため、おもにグラフや図、プレゼン資料などの印刷に適しています。
また、顔料インクは水や光に強いため、ビジネスシーンで使用する資料などを長期間保存することも可能です。
<染料インクの用途>
写真をプリントしたい
細やかな色合いを表現したい
染料インクは細かな色合いまで表現できるため、写真のプリントにぴったり。
染料インクは顔料インクと比較して値段が安価というメリットがあるため、家庭で気軽に写真をプリントする際には染料インクを使うとよいでしょう。
顔料インクと染料インクのおすすめ用紙
顔料インクと染料インクのよさを引き出すためには、それぞれのインクに適した用紙を選ぶ必要があります。
たとえば、インクが用紙に定着する顔料インクは、光沢紙に印刷してしまうとにじむ可能性があり、仕上がりがいまいちになることも。
光沢紙のようにツヤのある特徴をいかしたいのであれば、染料インクを使用します。
顔料インクと染料インクのおすすめ用紙を下記にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
<顔料インクにおすすめの用紙>
普通紙
マット紙
写真用紙(顔料インク用)
画材紙
<染料インクにおすすめの用紙>
写真用紙(染料インク用)
光沢紙
ファイン紙
写真用紙は「顔料インク用」や「染料インク用」、両方に対応するものなどさまざまな種類があるため、確認してから選ぶとよいでしょう。
写真用紙の種類は「写真用紙とは?種類や選び方、光沢紙との違いについても詳しく解説」の記事で紹介しています。
顔料インクと染料インクの見分け方
顔料インクと染料インクはインクの名称から判別できます。
顔料インクは「Pigmentインク」、染料インクは「Dyeインク」とも呼ばれ、それぞれ頭文字から顔料インクは「P」や「PG」、染料インクは「D」や「DYE」と表記される場合があります。
インク
呼び名
表記
顔料インク
Pigmentインク
P
PG
PIG
染料インク
Dyeインク
D
DYE
たとえばキヤノンの場合、黒インクには2種類の表記があり、「PGBK」が顔料、「BK」が染料です。
また、顔料インクと染料インクは色の種類も異なります。顔料インクの色はBK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の4色のみ。染料インクはメーカーやプリンターの機種によっては、4色以外にもLC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、GY(グレー)などがあります。
用途によって顔料インクと染料インクを選ぼう!
顔料インクと染料インクにはそれぞれ長所と短所があり、用途や得意とする印刷が異なります。
顔料インクはビジネス文書の印刷に向いており、染料インクであれば色の表現度が求められる写真プリントに向いています。インクジェットプリンターには、全色顔料・全色染料・顔料と染料を組み合わせたハイブリットインクと、3つのタイプがあるため、印刷物の用途に合わせてモデルを選びましょう。
インクジェットプリンターとレーザープリンターの違いを知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
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