染料インクと顔料インクの違い
今回は、実はあまりよく知られていない染料インクと顔料インクの違いについて説明いたします。
ある会社が行なったアンケートによると、自宅にプリンターを所有している人の割合は9割近くにものぼるそうなのですが、この数字はなんと、デジカメの所有率よりも高いことがわかりました。
多くのご家庭でプリンターが使われている一方で、プリンターの品質を左右するインクの種類については、「よく知らない」「何となく買っている」という方が多いのも事実です。
染料インクと顔料インクの違いがわかれば、大切な印刷物をよりキレイに、長持ちさせることができるので、今後のインク選びの際に、ぜひ参考にしてくださいね。
染料インクと顔料インクの決定的な違い|インクの付き方
染料インクと顔料インクの違いを、以下の表にまとめました。
染料インクは英語でDye(ダイ)、顔料インクはPigment(ピグメント)と言います。ベルカラーの商品には、日本語表記ではなくDYE、もしくはPIGと表記されているものがあります。
より詳しい特徴は、以下で詳しく解説しています。
染料インクの特徴|インクが紙に染み込んで発色がキレイ
染料インクは、水に溶け込んでいる小さな染料粒子が、紙にインクを染み込ませて発色させるタイプのインクのことです。
染料インクは、インクが紙の内部まで浸透するため発色が美しく、色味を忠実に再現したい写真印刷に向いています。
印刷スピードが早く、顔料インクに比べて低コストなので、一度にたくさんの写真印刷をしたい時にもぴったりです。
ただし、染料インクで気をつけたいのが、インクが乾くまでに時間がかかってしまう点です。
印刷してすぐの紙に触ってインクがついたり、重ね置きした紙にインクがついてしまった経験はありませんか?これは、乾くのに時間がかかる染料インクを使用しているためと考えられます。
染料インクで印刷したあとは、紙の触り方や重ね置きしないなど、取り扱いに注意しなければいけません。
自動両面印刷だと、乾いていないままプリンターに吸い込まれることでローラーにインクが付着する恐れもあります。
こんな時は、プリンターで「乾燥待ち時間」の設定をすることが対策になることもあります。設定方法は、各メーカーの公式サイトからご確認ください
もう一つ、染料インクは水や光に弱いというデメリットもあります。
印刷後の紙に水がつくとインクがにじみやすいですし、長時間光に当てておくとすぐに色あせてしまいます。直射日光が当たる室内や屋外イベントでの装飾は、品質を長く保持できないという点も覚えていてくださいね。
顔料インクの特徴|くっきりとした仕上がりはビジネス文書向き
顔料インクは、インクの粒子が大きめで、紙の内部には浸透せず表面に付着することで文字や色を表現するタイプのインクです。
顔料インクのメリットは、にじみや色あせが少なく、色や線をくっきりと印刷できることで、文字やグラフ、図などを使うビジネス向けの書類に最適です。
また、インクが紙の表面にとどまるという点では、印刷後に紙がまるまってしまう心配もありません。染料インクに比べて乾きやすいことも、顔料インクの大きな特徴と言えるでしょう。
一方で、紙の表面をこすると色落ちしやすいことや、染料インクよりもコスパが悪い点は顔料インクのデメリットと言えます。
インクの種類にこだわりがなく、できるだけ安いものを選びたいというお客様の中には、価格だけで染料インクに変えられる方もいるほどです。
もう一つ、インク粒子が大きい顔料インクでは、染料インクほどの鮮やかさは期待できません。粒子の大きさはノズルのつまりやすさにも影響してくるので、プリンターの使用頻度が高い方には定期的なヘッドクリーニングをお願いしています。
染料インクと顔料インクは用途によって使い分ける
染料インクと顔料インクには、それぞれメリットとデメリットがあることがわかりました。
印刷物の用途に応じてインクを選べば、品質や耐久性、コスパなど、インクの特徴を活かした印刷ができます。
用途別におすすめのインクをまとめると、
染料インク…光沢紙への写真印刷
顔料インク…普通紙やマット紙などへのビジネス文書
こんな使い分けができれば、それぞれのインクの特徴を最大限に活かした印刷ができますね。
また、印字不良の原因が、インクと用紙のミスマッチだったというケースもあります。この場合、染料インク・顔料インク専用の印刷用紙を使うことで改善できるので、よければ参考にしてくださいね。
1つだけ注意したいのが、メーカーによって染料インクと顔料インクの使い分けができない場合があるということです。
具体的には、エプソンは機種によって染料機と顔料機が分かれているのでOKですが、キヤノンは1台で染料と顔料の両方を使用するため使い分けは難しいようです。
染料インクと顔料インクにまつわるよくある質問
最後は、ベルカラーのサポート窓口に多く寄せられる染料インクと顔料インクに関する質問をご紹介します!
Q.染料用プリンターに顔料インクを使用することはできる?
A.染料用プリンターに顔料インクを使用することは、目づまりの原因となるためNGです。(顔料用プリンターに染料インクを使うのは大丈夫です。)
エプソンのIC69をお使いの方向けに、ベルカラーでは染料インクと顔料インク両方を販売しています。
プリンターは顔料機だけど、あえて染料インクを使いたいというお客様は、
価格
写真印刷
目づまり防止
という3つのポイントを重視している方が多いです。
Q.品質にこだわりはないのでコスパのいい染料インクを買いたい
メーカーによって使い分けができない場合があることを前提として、こんな商品はいかがでしょうか?
ブラザー LC3111 / LC3117 / LC3119 / LC3129 詰め替えインク4色 ( 純正比約2-6.2倍 ) +リセッターセット
この商品は、インクとリセッターのセット商品をブラック(BK)のみ顔料、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)は染料で販売しています。
インクのコスパは染料か顔料かで大きく変わってきますので、できるだけお安いものをという方にはこのような商品をおすすめしています。
もちろん、品質も安定していますので安心してお使いいただけます。
まとめ
プリンターインクに種類があることを知らなかった!という方は、きっととても多いと思います。
実際に使い分けてみると、「こんなに違うの!?」とびっくりするくらい仕上がりが違います。
仕上がりの美しさや耐久性、コスパを重視したい!という方は、ぜひこのページを参考に、染料インクと顔料インクを使い分けてみてくださいね。