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アメリカとイギリスの金融教育どこまで進んでいる?

アメリカやイギリスの金融教育は、日本と比較して進んでいると言われることもありますが、本当にそうでしょうか?

進んでいるとしたら、どのくらい進んでいるのでしょう?



アメリカでは、90年代後半ではたった1州、イリノイ州だけが公立高校の卒業に必要な必修科目にパーソナルファイナンスが入っていたそうです。それが2015年には17州に増え、2023年現時点では45州ほどが、パーソナルファイナンスを高校の卒業に必要な単位項目の1つとしているようです。


イギリスでは全ての高校で、2014年以降パーソナルファイナンスの授業が必須科目になっています。また、Wellbeing(ウェルビーイング)プロジェクトが2020年から始まり、2030年までの10年間で、さらに200万人以上の子どもと若者にパーソナルファイナンスの知識とスキルを提供するという目標を掲げています。


このようにして見てみると、アメリカやイギリスの金融教育は進んでいると言われることもありますが、実は、パーソナルファイナンス(個人の資産管理の知識や活用能力)に関しては、まだまだこれからというのが実態なのです。

パーソナルファイナンスについては、まだまだ各家庭に委ねられている部分が大きく、裕福な家庭や教育熱心な家庭のみが、『各家庭で』子どもにお金の教育をおこなっている状態、と言った方が正しく、子どものファイナンシャル・インテリジェンスに大きく差があるのが実情です。


ただ、エコノミーについては、どちらの国も5歳くらいから学校教育の中に割としっかりと入っていて

アメリカでは、多くの公立小学校が、5歳(Kindergarten) から8歳(3rd grade -小3)までの期間中に、エコノミーを教え始めます。

わが家の長女の学校も、低学年から少しずつ始まりましたが、3年生の今では本格的に習っています。

また、イギリスは、レセプション(日本の年長の年)から、義務教育の中にエコノミーの授業が入っています。


パーソナルファイナンスよりも、エコノミーの授業の方が低年齢からスタートする背景は、やはり家庭ごとの経済的事情や、貧富の差を考慮しているから。

中・高校生になるとある程度、家庭ごとの違いを頭で理解できますが、小学生では難しいため、まずはマクロ経済(世界全体・地域全体)のことから学び始め、大きくなるにつれてパーソナルなこと(個人資産について)を学ぶという流れになっているのが、アメリカとイギリスの学校での金融教育の特徴になっています。

私が知っている公立高校では、ビッドコインの現在の価格から、来週は上昇するか下降するか、近い将来、数カ月後、数年後どのように変動するかの仮説を立て、理由をプレゼンするという授業をやっていました。

私が「アメリカやイギリスの金融教育が進んでいる」と最も感じる点は

アメリカやイギリスでは、社会が子どもに対して、お金のことをオープンにし、お金の知識や正しい判断力は身につけることは大事なこと、と肯定している点です。

アメリカやイギリスの金融教育は、米英社会の根底にある「主体性を育てる」教育に基づいています。

アメリカやイギリスの教育や子育ては「子どもの主体性を育てる」ことに注力しています。

(日本社会が、「調和を大事にする思いやりのある子」を育てることに注ぐ労力と同じくらい!)

米英の多くの子どもは、金融教育の前に「主体性が育っている」状態と言っても過言ではないかもしれません。

お金を増やす=リソースを上手に活用する
お金を増やす=社会に還元するお金が増える
お金を増やす=他者に分け与える喜びが増える

というような考え方が理解しやすい状態が、米英の金融教育なんですね。

その上で、お金のことを学ぶので、貯金と同時に増やすことも当たり前のことと捉え、自然とお金のことに向き合うことに積極的になっていくんです。

じゃ、どうやって道徳的に安全にお金を増やし活用するのか?

そこをしっかりとした『知識』として身につけ、知恵として行動できる

それが、『ファイナンシャルリテラシー』が高いということなんですよね。

もちろん子どものお金の教育は、増やすことを教えることだけが目的ではありません。増やし方を知るのは、お金の教育の一部であって、全てではありません。

が、アメリカやイギリスの社会や金融教育が、子どもたちに自立力、自信、主体性を与えていることは間違いありません。

これについては、他の記事に書いています。良かったら読んでみてください!


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